飲食店開業における設計施工会社の選び方。絶対外せない3つのポイントとは？
当社運営の「店舗デザイン.COM」を統括する石井。今回は設計施工会社選びについてのポイントを語ってもらった
運営10年。数々の出店者、そして設計施工会社に関わってきた
当社シンクロ・フードは、飲食店の出店・運営に関わる様々なWEBサービスを提供しています。不動産情報の提供、飲食店と内装デザイン会社のマッチングサービス、厨房機器の販売、さらに求人サイトの運営まで、幅広い分野で飲食店の皆さまをサポートしてきました。そんな当社が培ってきた飲食店の出店・運営ノウハウを、ここでは数回に渡ってお届けしていきます。
第3回目となる今回は、飲食店を出店する際の設計施工ノウハウについてご紹介。特に設計施工会社の選定方法について詳しくお伝えしていきます。
話を聞いたのは、当社運営の「店舗デザイン.COM」を統括する石井昌彦。設計施工会社を幅広く紹介する「店舗デザイン.COM」は、今年で運営10年を迎え、デザイン会社の登録数は約450社、これまでのマッチング件数は7,000件を超えるほどになりました。これまで数多くの出店者、そして設計施工会社に関わってきたからこそのノウハウをここではお届けしていきます。
━━まずはじめに、飲食店運営における店舗デザインの役割について教えてほしい。
店舗デザインには大きく分けて3つの役割があります。まず1つは集客力の向上です。お客様が店選びをするうえで、内装は重要なポイントになります。そのため、料理や接客のクオリティーと同じように、店の“売り”として力を入れていかなければなりません。そして2つ目は売上への貢献です。席数ひとつとっても、売上は大きく変わってきます。売上目標を達成するためにはどれぐらいの席数が必要なのか、そのために店内をどうレイアウトすればいいのか、その辺を丁寧に決めていく必要があります。最後の3つ目は、スタッフの働く意欲を向上させるための役割です。内装が素敵な店舗は求職者も集まりやすいでしょうし、またスタッフが動きやすいレイアウトになっているかどうかによって、日々の働くモチベーションも変わってきます。これらの役割を意識ながら設計施工を行っていくことが重要です。
━━では具体的に設計施工会社の選び方について聞いていきたい。これまで数多くの出店者に関わってきたが、特に出店者が苦労している点とはどのようなものがあるか？
飲食店を出店する方にとって設計施工は分野外であるため、情報不足に陥っているケースが多々見受けられました。設計施工にどれぐらいの期間が必要なのか、どんな内容の打ち合わせが必要なのか、その辺の情報が不足していたせいで、オープン時期が大幅に遅れたり、店舗が完成したあとに補修を行ったりするケースもあったようです。
━━そもそも設計施工にはどれぐらいの期間が必要？ どのタイミングで設計施工会社を探すのがベストなのか？
たとえば30坪の物件でスケルトンの状態ですと、商談、設計、施工まで約3カ月掛かります。ですので、大体オープンの3～4カ月前には、設計施工会社との商談を始めておきたいですね。タイミングとしては事業計画を練り、資金調達も済み、あとは物件を探すだけというときです。
━━物件が決まっていない段階で設計施工会社を探しても話が進まないのでは？
物件が決まっていない段階でも出来る話はたくさんあります。事業計画を伝える過程で、店舗コンセプトについて詳しく説明したり、どのような店舗デザインを望んでいるのか、写真などを用いてイメージの共有をおこなうこともできます。また、会社によっては物件を一緒に見に行ってくれたりもするので、プロの目で物件設備を確認してもらえるのは初出店者にとっては大変心強いでしょう。
会社選定の基準は多角的に設ける
━━設計施工会社を探すうえで、あらかじめ決めておいた方が良いことは？
事業計画や店舗コンセプトは書面にまとめておいた方がいいですね。これらをしっかりと提示することで、設計施工会社からの信頼にも繋がりますので。あとは思い描く計画の中でも、何が妥協できて、何が妥協できないかをはっきりと決めておくことも大切です。予算面なのかデザイン面なのか、譲れない部分をはっきりと決めたうえで設計施工会社に伝えてください。よく初出店者の方が陥りやすいのが、ベストを求めすぎて出店が遅れるケースです。譲れない部分と、最低限超えるべきラインを決めて、それをしっかりとカバーできているなら話を前に進めた方が良いです。出店が遅れて空家賃を払う事態になると相当な痛手を被ることになりますからね。
━━なるほど。では、実際に設計施工会社を選定する段階でのポイントはあるか？ また、何社ぐらいに声を掛けるのがいいのか？
3社ぐらいが適当だと思います。あまり多すぎても対応するだけで大変な労力になりますからね。ただ、選定基準は複数設けておく必要があります。どのような業種・業態を手掛けてきたかという実績、どのようなテイストのデザインを得意としているのか、あとはコミュニケーションの取りやすさや対応スピードも大切な選定基準になります。ちなみに初期プランを提出してもらう段階では、安さだけで比較するのは大変危険です。料金は設計プランを調整することで抑えられますので、その辺は認識しておいた方がいいですね。
━━今、教えてもらった選定基準の中でも、特に大切なものは？
円滑なコミュニケーションを取れる会社を探すことだと思います。出店者の質問に対して合点のいく答えを返してくれるかどうか、要望をちゃんと理解してくれるかどうか……。簡単なことのように思えますが、このコミュニケーションのキャッチボールこそが良い店を作るうえでの重要なポイントになります。意志の疎通をしっかりと図れるのかを、まずはチェックポイントにしてみてもいいかもしれません。
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設計施工会社は出店をサポートしてくれる大切な“仲間”
━━選定した設計施工会社と仕事を進めるうえで特に注意すべき点は？
上の回答と被りますが、しっかりとコミュニケーションを取ることが一番大切です。設計施工を進めるていくと少なからずトラブルが発生してしまいますが、その原因を辿ると、ほとんどの場合が「伝え忘れ」や「確認漏れ」によって生じていることがわかります。そうならないためにも、打ち合わせで話した内容はしっかりと議事録を取り、必要であれば図面に書き込んで視覚化する。また、次の打ち合わせのときには、どんな話をすべきなのか、どんな資料が必要なのかを明確にし、お互いのやるべきことをはっきりとさせておく。曖昧な部分は先送りにせず、その都度解決していく必要があります。少し面倒かもしれませんが、密にコミュニケーションを取り記録を残していくことで、しっかりとトラブルを回避してほしいですね。
━━そうやって密にコミュニケーションを取るためには、設計施工に対するある程度の知識が必要そうだが？
知識はあった方がいいですけど、必ずしも必要というわけではありません。それよりも大切なのは、設計施工会社のことを「出店のパートナー」と捉え、仲間意識を持って共にゴールを目指すことです。出店者はクライアントとして設計施工会社に仕事を依頼するわけですが、ただの業者として接するのか、それとも仲間として接するのか、その意識の違いでコミュニケーションの質が変わってきます。設計施工は、出店にまつわる様々な要素の中でも大きなウェイトを占めますので、それを成功させるためにも、サポーターを探す意識で設計施工会社を選定し、選定したら、二人三脚で歩んでいけるよう密な関係性を築く努力が必要です。
━━では最後に、「店舗デザイン.COM」で設計施工会社を探す際のポイントを教えてほしい。
現在、「店舗デザイン.COM」には450社の設計施工会社が登録しています。高級店のように洗練されたデザインを得意とする会社から、居酒屋のように大衆的なデザインを得意とする会社まで、本当に様々な設計施工会社が登録しているので、この450社の中から必ずマッチする会社を見つけられると思います。まずは豊富に揃えた作品集を閲覧しながら、イメージに合う設計施工会社を探してみてください。また、ご自身の出店コンセプトに応じてくれるデザイン会社を探したいという方は、マッチングサービスを利用することもできます。これらのサービスを利用していただきつつ、最適なパートナーに出会えることを願っています。
【設計施工会社選定 3つのポイント】
・物件探しと同時期に設計施工会社探しを開始する
・円滑にコミュニケーションが取れる会社を選定する
・“業者”を探すのではなく、“仲間”を探す意識で会社を選定する
施工を終えた店にはじめて足を踏み入れる……。出店者にとっては思い出に残る大切なシーンですが、この一歩が喜びに満ちたものなのか、それとも不安を抱えながらのものなのか、それは設計施工会社の手腕にかかっていると言っても過言ではありません。石井が語る通り、出店にまつわるあらゆる要素の中でも、設計施工は大きなウェイトを占めます。正しい判断の目を養い、最適な設計施工会社を選定していきたいですね。
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