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低糖質メニューが集客の鍵に。4つの人気店が実施する糖質対策とは?

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何かと問題になる“糖質”。そもそもナニがいけないの?

ここ数年、糖質を制限した低糖質メニューが話題になっている。メディアでも多数取り上げられており、糖質の摂取量を意識している方も多いのではないだろうか。

糖質とは、砂糖をはじめとした「甘さを感じるもの」だけを指すわけではない。ご存知の通り、主食とする炭水化物、たとえば米や小麦、イモ類に含まれるでんぷんも糖質のひとつだ。ちなみに、糖質の役割は体内を循環しエネルギーを供給すること。また、血糖値を上げるという役割もある。

ところで、糖質の摂りすぎによって引き起こされる健康被害とはどのようなものがあるのだろう。前述したように、糖質は体のエネルギーとして利用される栄養素である。エネルギーとして利用されなかった糖質は、肝臓や筋肉に取り込まれて中性脂肪として蓄積される。これによって起こる体の変化が肥満だ。また、糖質によって上昇した血糖値を抑えるために、すい臓からインシュリンというホルモンが分泌されるのだが、中性脂肪が多いとインシュリンの機能を悪化させ、その結果糖尿病を発症させるようだ。2012年に実施された厚労省の調査によると、日本の糖尿病患者は950万人。さらに、糖尿病予備軍は1,100万人であると報告されている。

こうしたことから始まった対策が低糖質メニューである。低糖質メニューは日本やアメリカを中心に研究されており、糖尿病対策や肥満解消に有効な食事療法として確立されている。こうした低糖質メニューは、これまで家庭や医療現場の食事で用いられてきたが、最近は飲食店でも取り入れられようになった。そこで今回は、飲食店で実施している糖質対策についてご紹介していきたい。

糖質制限食の基本は、代用食材を用いること

糖質を制限するためには、糖質を多く含む食材を、ほかの食材で代用する必要がある。しかし糖質を含む食材は、料理の中で重要な役割を果たすこともある。具体的にどのような手法を用いればいいのか? 4店舗の事例を見ていきたい。

■メニューに糖質量を記載し、徹底した糖質制限を行う『Botanica』
とことん味にこだわった低糖質メニューを提供している六本木のレストラン『Botanica』。糖質制限コースは事前予約制。メニュー表にはそれぞれの料理に含まれる糖質量が記載されている。気になる総糖質量はランチ全4品で約17g、ディナーは全7品で約24gとなっており、通常のコースと比較すると約7分の1程度。具体的にはパンやデザートなどの糖質を制限しているようで、パンは小麦粉を使用せず、小麦粒の表皮部分である「小麦ふすま」を使用。また、デザートでも砂糖の代わりにパルスィートを使用し糖質量を抑えている。

■焼肉で得られる満足感はそのままに、糖質を制限したコースメニューを提供する『焼肉矢澤』
焼肉店では珍しく、糖質制限コースを提供している『焼肉矢澤』。メニューは北里研究所病院糖尿病センター長である山田悟氏監修のもと開発。サラダや肉メニュー、そして〆の「牛骨の長期熟成麺」など、全11品のコースメニューが供されるのだが、その総糖質量はわずか22.2g。まずサラダから食べるという肥満対策の基本的な食事法を取り入れつつ、〆の熟成麺では糖質ゼロの麺を使用するなど、様々な工夫が取り入れられている。

■あのスイーツ界の雄『オーボンヴュータン』でも糖質制限メニューが
日本におけるフランス菓子の先駆者・河田勝彦シェフが率いる『オーボンヴュータン』。ケーキは糖質の塊というイメージを持つが、『オーボンヴュータン』ではそのイメージを覆し、糖質を制限したケーキを開発・販売している。なかでも、いちごのタルトに注目したい。生地は小麦粉の代わりに大豆粉を使用しており、ワンホールあたりの糖質量はおよそ20g。6分割すれば1ピースあたり3.5g以下というから驚きだ。こうした河田シェフの取り組みは他店にいい影響を与え、糖質制限を実施するケーキ店が増えるきっかけになるだろう。

■簡単な対策で糖質量を制限しつつ、『エミュ』得意の野菜メニューで満足感を与える
恵比寿の人気フレンチ店『エミュ』。こちらでも糖質制限コースを用意しており、全7品のメニューに含まれる糖質量はおよそ2.5g。デザートでは人工甘味料を使用して糖質を抑えているようだ。もともと、野菜のメニューを得意とする『エミュ』。糖質を抑えたメニュー構成でも、たとえば「能登島の赤土野菜と土浦の完全無農薬野菜のエクスポジション」といったスペシャリテがあるため、ゲストを十分に満足させることができる。『エミュ』のように、野菜を得意とするレストランこそ、糖質制限コースを設けたいところだ。

さて今回は、糖質対策を実施している飲食店をいくつかご紹介した。糖質を抑えると料理の味にも影響してくる。そのため低糖質メニューを取り入れるのはたやすいことではない。しかし、上手に開発できれば店の“売り”に繋がるだろう。まずは人気店の低糖質メニューを視察することから始めてみるのもいいかもしれない。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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