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飲食店がTVや雑誌に取り上げられるための実践的な広報術とは?

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広告宣伝費をあまり掛けられない。そんな店舗こそ、地道な広報活動を

飲食店を成功させるための重要な課題である「集客」。看板の設置、DMの送付、タウン誌への出稿など、集客方法にはさまざまな種類がある。なかでも最近は、Webを利用した集客が主流になりつつあり、広告宣伝費の多くをWebサービスに費やす店舗も増えているようだ。

一般的に飲食店の広告宣伝費は、売上の3%以内に抑えるのが適切だと言われている。たとえば1カ月の売上が200万円の個人店なら、6万円程度を広告宣伝費として利用できるというわけだ。しかし、大手グルメサイトの有料プランを利用すれば、あっという間に予算を消費してしまう。どの媒体にお金を掛けるべきなのか、頭を抱えている経営者も多いのではないだろうか。

店舗の宣伝はお金を掛けることだけがすべてではない。TVや雑誌に取り上げられるように広報活動をおこなっていくのもひとつの手だ。狙い通りTVや雑誌に取り上げられれば、その集客効果はグルメサイト以上のものをもたらしてくれる。一過性の集客にならないよう、再来店を促すための対策をしっかりと練っていれば固定客の獲得にも繋がるというわけだ。広告宣伝費をあまり掛けられない小規模店は、ぜひ広報活動の技を身に着けておきたいところだ。

TVディレクターや雑誌編集者の目に留まるためには?

では、どのような広報活動をおこなえば、TVや雑誌から取材を受けられるのだろうか。ここでは雑誌の制作過程を紹介しつつ、実践的な広報術について詳しくご紹介していく。

雑誌に掲載する店舗を決めるのは編集者だ。編集者がどのように掲載店舗を決めるのか、まずはその流れからご紹介したい。たとえば熟成肉の特集を組むとしよう。編集者はページの構成を考えつつ、肉に強いライターに取材・執筆を依頼する。そして取材前にどの店舗を取り上げるべきか一緒にリストアップしていく。ちなみにリストアップの際には、以下のようなことがおこなわれている。

①企画に沿う店舗を過去の経験、知識からリストアップする
②信頼する情報提供者から情報を得る(業界関係者、同僚編集者 etc...)
③雑誌やWebに掲載されている店舗を調べる。取材候補は実際に足を運ぶ
④足を運べない店舗は情報を徹底して調べ、掲載が妥当かを検討する

こうしてリストアップした店舗を編集長にチェックしてもらい、GOサインが出たら取材を開始するというわけだ。上で挙げた①と②に関しては、店舗側の広報活動が入り込む余地はない。広報活動は③の段階で効果を発揮する。

グルメ誌の場合、取り上げるべき定番店がある程度決まっている。そこに「新しさ」や「珍しさ」を加えるために、編集者は雑誌、Webのあらゆる情報をチェックする。特に情報の鮮度が高い『FASHION PRESS』や『ELLE ONLINE』などのニュースサイトは、一通り目を通すことが多いようだ。つまり、こういうニュースサイトに自店舗の情報が掲載されていれば、編集者の目に留まりやすいというわけだ。

ニュースサイトに掲載されるためには、プレスリリースの送付が効果的だろう。「姉妹店ができた」「新商品を開発した」など、何か新しい情報があれば、常にプレスリリースを送付しておきたい。ちなみに、雑誌は季節に合わせて特集のテーマを変えていく。春は「野菜」、夏は「肉」、冬は「鍋」といった風にだ。掲載を狙いたい雑誌の特集の傾向に合わせて、プレスリリースを作るのも有効な手立てだろう。

また、プレスリリースを送付する際、その送り方が非常に重要となってくる。プレスリリース受付用のメールアドレスに、ただ送るだけでは薄い効果しか期待ができない。可能であれば編集部に電話し、プレスリリースを送りたい旨をひと言伝えたうえで送付するのが良いだろう。会話を交わしていれば、少なからずも人情が働く。全く読まれずに放置されることはないだろう。広報活動にはこうした地道さが大切なのである。

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画像は『バーガーキング』ホームページのキャプチャ

いかに話題性を作るのかが鍵

TVディレクター、雑誌編集者は常に新しい情報、珍しい情報、面白い情報を探している。なかでも「面白い情報」は、彼らの関心をひきやすく、また仲間内でも話題になりやすい。こうした情報を提供するには、ニュースになりそうなイベントやキャンペーンを実施するのが最適だ。いくつか例をご紹介する。

無農薬野菜を使った料理や豊富なビオワインで人気を博す『キッチン わたりがらす』。「自然派レストラン」という言葉がしっくりとくる店舗だが、この店でおこなっているイベントがちょっと面白い。「オーガニックジャンキー」と題したこのイベントは、フライドチキンやホットドッグといったジャンクフードを、オーガニック食材で作るというユニークなもの。ジャンクフードなのにオーガニック……。この相反する2つのキーワードを組み合わせることで“面白さ”を巧みに表現している。

もうひとつはハンバーガーチェーンの『バーガーキング』。最近はじまった「BIG なんとか割」というキャンペーンが大きな話題になっているのだ。気になる内容は、競合店である『マクドナルド』のビッグマックを食べ、そのレシートを『バーガーキング』のレジで提示することで、人気商品である『ビッグキング』を安く購入できるというもの。このキャンペーンが『マクドナルド』の協力のもと実施されているかは定かではないが、競合店をここまで露骨に利用することは珍しく、そのイタズラ心に賞賛の声すらあがっている。

この二つの事例には「人に話したくなる面白さ」がある。つまり話題性があるというわけだ。もしイベントやキャンペーンを計画する際には、ただ売上を求めるのではなく、話題を作るためにどうすればいいか、という視点で企画を検討するのが良いだろう。そのうえでプレスリリースを作り、ニュースサイトへアプローチする。ニュースサイトに掲載されれば、TVや雑誌での掲載の可能性も広がるというわけだ。

【まとめ】
・話題性のあるイベントやキャンペーンを企画する
・企画したイベントの内容をプレスリリースにして、Web系ニュースサイトへ送付する
・プレスリリースは、編集部へ電話連絡をしたうえで送付する

さて今回は、メディアに取り上げられるための広報術についてご紹介した。メディアは一度紹介した店舗を二度三度と掲載していく傾向がある。最初の第一歩が肝心なので、手間を惜しまずに広報活動に取り組んでほしい。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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