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ITが飲食店にもたらすものとは? 「Airレジカンファレンス」開催レポート

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会場を埋め尽くす来場者たち。その多くが、飲食店経営者だった

11月19日、リクルートライフスタイル主催の「Airレジカンファ ンス2015」が開催された。これは無料POSレジアプリ「Airレジ」を 主役としたカンファレンスで、新サービス「Airペイメント」の発表とともに、「Airレジ」と提携するさまざまな会社を招いてのトークセッションがおこなわれた。今回はその模様を詳しくお伝えしていく。

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リクルートライフスタイル執行役員の大宮英紀氏の基調講演

「空いた時間で自分らしい店づくりに取り組んでほしい」

まず最初におこなわれたのが、リクルートライフスタイル執行役員の大宮英紀氏による基調講演。「Airレジ」の2年間の歩みを振り返りつつこれからの展望を語った。

「私たちは、店舗を取り巻くさまざまな煩わしさをテクノロジーの力で解決したいという想いから『Airレジ』を開発しました。『Airレジ』をご利用いただければ、膨大な時間を費やしてきたレジ作業がもっと短縮できます。そうして空いた時間を利用して、“自分らしい店づくり”に取り組んでほしい」(リクルートライフスタイル大宮英紀氏)

「Airレジ」の一番の魅力は初期費用、月額費用ともに無料で利用できるところ。導入にあたってはキャッシュドロワーとレシートプリンタを別途購入する必要があるが、それさえ用意できれば、注文入力と会計、売り上げの管理、予約の管理、レシート印刷、キャッシャー連携などの多彩な機能が利用できる。また、連携する他社サービスも豊富で、たとえば会計ソフト「freee」やクレジットカード決済アプリ「Square」などが提携している。「Airレジ」をきっかけに、さまざまなテクノロジーに触れてもらいながら、店舗の業務改善を図ってほしい。そしてそれによって得た空いた時間で、メニュー開発やサービス改善といった店づくりに取り組んでほしいという想いが、「Airレジ」開発の土台としてあるようだ。

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左からリクルートライフスタイルの大宮英紀氏、株式会社モンスター・ラボの鮄川宏樹氏、freee株式会社の佐々木大輔氏、ラクスル株式会社の田部正樹氏

「インターネットで経理でもなんでもできるという時代を作れるといい」

基調講演に続いておこなわれたのがコスト削減・開業支援にまつわるトークセッション。登壇したのは、ラクスル株式会社の田部正樹氏、freee株式会社の佐々木大輔氏、株式会社モンスター・ラボの鮄川宏樹氏。印象的だったコメントをいくつか紹介しよう。

「私たちはクラウド会計ソフトを提供していますが、スモールビジネス、特に飲食店の方はテクノロジーの活用をまだまだ出来ていない印象を受けます。それはやっぱり、使い方が難しいことが大きな理由だと思う。私たちはもっと手軽に使えるものを提供し、スモールビジネスとテクノロジーの壁をなくしていきたいと考えています。そうすることで、“インターネットで経理でもなんでもできる”という時代を作れるといいですね」(freee株式会社 佐々木大輔氏)

「インターネットサービスって便利な一方で、サービスが均一化されているので、利用者の個性がなくなってしまう懸念もある。私たちは飲食店向けにインターネットBGM『モンスター・チャンネル』を提供していますが、和食店に向けたチャンネルだけで30種類も用意しています。世の中は価値観の多様化、ライフスタイルの多様化が進んでいます。そうした傾向に応えられるようなサービスを提供していきたいですね」(株式会社モンスター・ラボ 鮄川宏樹氏)

個人店を経営する方の中には、経理作業に相当な時間を費やしている方もいるだろう。しかしIT技術が発達した現代では、この経理作業に掛ける長い時間はもはや無駄と言っていいのかもしれない。たとえば会計ソフト「freee」はインターネットリテラシーが低い方にこそ使ってほしいという想いで開発されており、特別な勉強の必要もなく使いこなせるという。こうしたサービスを試しに利用してみることこそ、より良い店づくりの第一歩になるはずだ。

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左からリクルートライフスタイルの大宮英紀氏、八面六臂株式会社の松田雅也氏、株式会社マネーフォワードの宮原崇氏、株式会社ラクーンの阿部智樹氏

「飲食店で働く方が、少しでも時間を有効活用できるようになるとうれしい」

続いて開催されたのは業務効率改善にまつわるトークセッション。登壇したのは、八面六臂株式会社・松田雅也氏、株式会社ラクーン・阿部智樹氏、株式会社マネーフォワード・宮原崇氏。ここでも、印象的だったコメントをいくつか紹介していきたい。

「私たちはインターネット上の発注システムを提供しているんですけど、飲食店ってまだまだFAXを利用した発注が一般的ですよね。だからお店の営業が終わったあとにバタバタと発注して、FAXが無事送れたか確認してから終電に駆け込む……。こういう方、結構多いと思うんです。インターネットを利用した発注なら、FAXの送信待ちをしなくてもいいし、最悪、電車の中でだって発注ができます。こうして少しでも飲食店で働く方が、時間を有効活用できるようになるとうれしいですね」(株式会社ラクーン 阿部智樹氏)

「飲食店の経理作業って、売上の計上、仕入れの計上、入出金額の確認など多岐に渡りますが、そのデータを押さえるのはほぼ手作業です。そしてこれらの作業を完璧にこなすのは相当大変。飲食店を運営される方のモチベーションって、美味しい料理をサーブする、お客様に満足いただくってところにあると思うんです。経理作業にエネルギーを費やしていてはもったいない。私たちは、この経理作業がもっともっと楽になるよう、そしていつかゼロになるように商品を開発しています」(株式会社マネーフォワード 宮原崇氏)

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左からリクルートライフスタイルの大宮英紀氏、株式会社スマイルズの遠山正道氏

「粘り強く続けてこれたのは、内面にあるものが支えてくれていたから」

最後におこなわれたのが、『Soup Stock Tokyo』を運営する株式会社スマイルズの遠山正道氏と、ITジャーナリスト林信行氏、そしてリクルートライフスタイルの大宮英紀氏によるトークセッション。テーマは「未来の店舗経営を考える ~自分らしいお店を作るには?~」。ここで語られた遠山正道氏のコメントをご紹介しよう。

「『Soup Stock』はビジネス的には本当に厳しい部分がありました。話題になって売上が上がっても、最終的に黒字になるかは別問題。いつ潰れてもおかしくなかった。そんな状況でも粘り続けられるたのは、やっぱり自分の内面にあるものが支えてくれていたからだと思います。

私たちは何か新しいことにチャレンジするとき、4つのことをポイントにして、“やるか、やらないか”を見極めています。1つ目は“本当にやりたいかどうか”、2つ目は“必然性”、3つ目は“意義”、そして最後が“今までになかったという価値”です。

たとえば『Soup Stock』には“世の中のファストフードを変えたい”、“女性が気軽に入れるファストフード店を作りたい”という想いがあった。そしてスープを主役にしたファストフード店は、まだ日本にはなかった。つまりやるべき理由があったわけです。この自分の内側にある想いや理由が結局は大切。もちろん、やりたいこととビジネスのバランスも大切ですけどね」

今や年商80億円を売り上げるようになった『Soup Stock Tokyo』。11月には株式会社スマイルズから分社化し、さらなる発展が期待されている。そんな遠山氏が語る事業にかける想いは、出来立てのスープなみに熱いものだった。トークセッション終了の際には、会場を埋め尽くした観客から盛大な拍手が送られていた。

「Airレジ」を主役にしながら、「Airレジ」にまつわる話だけでなく、飲食店の刺激となる話が散りばめられていた今回のカンファレンス。いろんな登壇者が語っていたが、こうしたITサービスを用いることで、メニュー開発やサービスの向上といった、飲食店の本質的な課題に取り組む時間が確保できる。経理作業などに時間を取られている経営者の方は、一度、導入を検討してみてはいかがだろうか。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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