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ポスト清澄白河をさがせ! いま飲食店を出店するならローカルエリアが狙い目?

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2015年に大ブレイクした街といえば清澄白河

昨年ブレイクした街といえば、まず思いつくのが清澄白河だろう。もともとこの界隈は昔ながらの商店街がありながらも、美術館やギャラリーといった文化施設も多く、アートが楽しめる下町として発展してきた。それがここ数年、アート系の書籍を扱う古本屋や若い客層をターゲットとしたカフェが急増し、その色合いはより濃いものに。昨年、『ブルーボトルコーヒー』の日本上陸1号店がオープンしたことも、街としての人気を高める大きなきっかけとなった。

そんな清澄白河に続いて、ブレイクする街とは一体どこなのか? ここでは3つの街に注目してご紹介していきたい。

『フグレントウキョウ』の店内。Photo by NHD-INFO「Giske åpnet kaffebar i Tokyo」

“奥渋谷”は引き続き要注目! 進化を続ける富ヶ谷エリア

清澄白河は、前述のとおり古い商店街の中に新しいスポットがうまく融合したことがひとつのポイントとなった。また、突然ブレイクしたというより、街のもつ雰囲気が人を呼び、徐々にシフトチェンジしていった印象がある。

そこで、似た雰囲気を持つエリアとして富ヶ谷に注目してみたい。渋谷駅から東急本店の方へ進み、そのまま代々木八幡方面へ歩くと、駅前の賑わいも落ち着き、商店街にさしかかる。いわゆる、奥渋谷といわれるエリアである。

チョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」にも出展する有名ショコラティエの店『ミュゼ・ドゥ・ショコラ・テオブロマ』の本店は、この界隈では老舗。また、2012年にはノルウェー発のコーヒーショップ『フグレントウキョウ』がオープン。最近ではワインバー『アヒルストア』やベーカリー『365日』など味とセンスを兼ね備えた実力店が増えている。

奥渋谷エリアは飲食店だけでなく、アート、ファッション系の書籍が揃う書店やミニシアターなどもあり、文化的感度の高い人が集まるエリアでもある。一人でも気軽に入れる落ち着いた雰囲気のカフェや、バーなど、小規模でも味やセンスの光る店が今後も増えていきそうだ。

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Photo by Will「Bakery」

パンの街としての新たな一面。代々木上原エリア

奥渋谷エリアの近くにはもうひとつの注目エリア、代々木上原がある。小田急線と千代田線が乗り入れるターミナル駅ではあるが、味わい深い商店街もあり下町のような温かみもある。一方、ゼロ年代のカフェブームで人気を博したカフェも健在で、スタイリッシュなカフェ、ダイニングの充実度が高いエリアでもある。

そんなグルメスポット代々木上原で最近注目されつつあるのがベーカリー。駅からは少々遠いがデンマークパンが楽しめる店として人気の『イエンセン』、昔ながらのパン店『ベーカリーふじや』、ホテル・ド・クリヨンでパンシェフを務めた実力派シェフの店『マンマーノ』、ドーナツの『ハリッツ』など、多種多様なキャラクターが揃い、なお且つ実力派が多いのも特徴だ。なかでも、住宅街の中にありながら行列ができるほどの人気店『カタネベーカリー』は『ブルーボトルコーヒー』にパンを提供したことでも話題になった。またパンの専門店ではないが、洋菓子店『アステリスク』の人気ぶりも見逃せない。

決して駅からのアクセスが良好な店ばかりではないが、いずれもわざわざ行って食べたい、と思わせるだけの吸引力の強さがある。フードカルチャーに敏感な人々が常に注目しているエリアなので、遠方からの客層も見込み、イートインだけでなくテイクアウトの充実した店舗にすると消費者のニーズにしっかりと応えられそうだ。

ローカルエリアも見過ごせない! 程よいリラックス感の松陰神社前

東急世田谷線の松陰神社前。路面電車のイメージからかローカルな香りが漂うが、三軒茶屋まで3駅とアクセスは悪くない。ターミナル駅から程よく距離をとったこのエリアは、都会の喧騒も一段落といった雰囲気で、住みやすさに定評があるようだ。

そしてこのエリアもまた古くからの商店街が充実している。最近は一人暮らしや若いファミリー層なども多く、住んでいる人のニーズに合った店が商店街の中に増えつつあるようだ。たとえば世田谷にいながら新鮮な牡蠣が食べられる『マルショウ アリク』や、予約必須の食パンで有名な『ブーランジェリースドウ』、そしてカフェ兼イベントスペース『STUDY』など、個性豊かな店が点在している。

商店街はもともと専門店の集合体。松陰神社前の商店街に限らず、活気ある商店街の中にこれから参入するなら、より独自性の際立つ店で勝負したい。そこに、“家族で楽しめる”“仕事帰りにふらりと立ち寄れる”などの、地元で暮らす人々の生活に寄り添えるアイデアがあればより良いだろう。

ローカルエリアの洗練に目が離せない

今回とりあげた3つの街は、いずれも既存の商店街とうまく馴染み、発展してきていることがひとつの特徴だと言える。商店街はその街の特性が表れる場所。まずは商店街を知ることがその街の食の需要を探るヒントになりそうだ。

また、ターミナル駅やランドマークから少し離れたところに注目が集まるのも最近の傾向と言える。利便性ではなく、訪れるまでの時間や、新しい場所を開拓することも含めて店探しを楽しむ人が増えてきたのではないだろうか。飲食店に限らず、有名エリアの裏通りなどに人気ショップが増えていく例はいくつもあるが、そういった可能性も含め、ますますローカルエリアの洗練から目が離せなくなりそうだ。

飲食店、たとえば小さな個人店を出店する際は、そうした背景を鑑みながら出店エリアを検討するといいかもしれない。

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イシイミヤ

ライター: イシイミヤ

フリーライター。ファッション誌やカルチャー系のウェブサイトでライフスタイルに関わる記事を執筆。現在はフードカルチャーに焦点を絞り、その最旬事情から老舗の妙味まで多岐にわたり執筆中。週3でアンテナショップに通い、全国の郷土菓子と未知の食材の収集を日課にしている。ビールとコーヒーのトレンドに詳しい。