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個人店こそ中食分野に進出すべし。テイクアウト作戦で収益増を狙う!

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自由が丘『ポテトクリーム』が開発したポテトサラダ。左が店内用、右がテイクアウト用

2017年4月に実施される消費税率の引き上げ。昨年には軽減税率の適用範囲が発表され、適用は内・中食のみで外食は適用外とされた。これにより外食離れが進むことが懸念されているが、飲食店の中にはデリバリーやテイクアウトなどの中食分野に進出することで、この危機を乗り越えようとしている店舗もある。

中食産業の市場規模は年々伸びており、1985年が1.1兆円だったのに対し、2011年は5.8兆円と5倍以上も増加。この好調ぶりは現在も変わらないのだが、消費税引き上げに際しさまざまな飲食店が参入すれば、その競争は熾烈なものになるだろう。競争が激化する前になんとか他店舗より抜きんでて、中食も扱う店舗としての地位を確立しておきたいものだ。

というわけで今回は、飲食店でテイクアウト商品を扱う際の秘訣を紹介。自由が丘のポテトサラダ専門店『ポテトクリーム』のオーナーである上野さんにお話しを伺った。この店は個人店の中でも専門性が高く、こうした店こそテイクアウトに向いている。その成功の秘訣とは一体なんなのか? 店の特徴、商品の特徴に触れつつ探っていく。

メニューはオリジナル性の高さを追及

カフェや雑貨店が多く、連日賑わいをみせる自由が丘。駅前の喧騒からすこし離れた路地に『ポテトクリーム』はある。2013年のオープン以来、グルメ好きの地元民からも高い支持を受けている店舗だ。

もともとはテイクアウト専門で考えていたそうだが、「温かいうちに食べていただきたい」という想いもあってイートインスペースも設けた。イートインかテイクアウトかは注文の際に選択可能で、イートインの場合はスタンディングで食するスタイルだ。

「定番のサラダはいろいろとあるが、世代を問わず人気なのがポテトサラダ。その専門店があったら面白いかなと思ったのが、この店を始めるきっかけになりました」と上野さん。単純にポテトサラダを販売するだけでは惣菜店の域をでないと考え、独自メニューを開発。新しい食感を追求することで現在の「ポテトクリーム」が完成した。

ベースは文字通りクリームのように滑らかなマッシュポテト。じゃがいもは北海道の「きたあかり」と静岡県の「三方原馬鈴薯」を季節によって使い分けるなど、素材には徹底してこだわった。そして完成したポテトクリームには、さまざまな食材を使用した栄養満点のソースをたっぷりとかける。思いのほか、しっかりとお腹が満たされる点も大きな魅力となっている。

現在は、トマト系やクリーム系といった定番、そしてカレー風味などの変わり種まで、豊富なバリエーションが揃うように。「いろいろな味を試したい」「食べた感想をシェアしたい」と思わせる点もリピート率をあげている大切な要素だ。

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店内はベビーカーも入れるスタンディングスタイルを採用

購入する客を想像してパッケージをデザイン

自由が丘という土地柄もあり、もともとはショップで働く女性スタッフ、そして美容師をターゲットとして考えていたそう。「まるでカップアイスを食べ歩いているように食べてもらいたい」という上野さんの言葉通り、透明なカップに色とりどりのソースがトッピングされた見た目は、ポテトサラダのそれとは大きく異なり新鮮でスタイリッシュだ。

またパッケージもセンスがよく、同梱されている紙ナプキンには可愛らしいイラストとともにじゃがいものミニ知識まで書いてある。地元民から高い支持を得ているのは、味の良さだけではなく、こうしたディテールの徹底ぶりも評価されてのことだろう。

立地、客層を意識した商品作りが成功の秘訣

テイクアウトとイートインの割合を伺うと、6:4でテイクアウトが多いそう。時間帯としては14~15時頃、そして16~17時頃にテイクアウト客が増える傾向にあるという。小腹の空く時間帯の食べ歩き用として、そして夕飯のおかずの足しとして購入する方が多いのではないだろうか。このように店舗エリアや時間帯によって生まれるニーズはさまざまなので、テイクアウトを始める際は、まずはその辺をしっかりと見極める必要があると言えそうだ。

さて、今回は自由が丘の人気店『ポテトクリーム』の上野友和さんに話を伺いながら、その成功の秘訣を探ってみた。『ポテトクリーム』は、メニューのオリジナル性に加え、パッケージのオシャレさをはじめとしたブランディングの良さも成功の大きな要因となった。テイクアウトを始める際は、ただ手頃な商品を店頭販売するのではなく、消費者のニーズを掴んだうえで、しっかりとブランディングしていくことが成功への近道だ。

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『Potato Cream』
住所/東京都目黒区自由が丘1-25-2 1F
電話番号/03-3725-0222
営業時間/11:30~20:00(土日祝12:00~)※売切れ次第終了
定休日/水曜
http://www.facebook.com/PotatoCream

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イシイミヤ

ライター: イシイミヤ

フリーライター。ファッション誌やカルチャー系のウェブサイトでライフスタイルに関わる記事を執筆。現在はフードカルチャーに焦点を絞り、その最旬事情から老舗の妙味まで多岐にわたり執筆中。週3でアンテナショップに通い、全国の郷土菓子と未知の食材の収集を日課にしている。ビールとコーヒーのトレンドに詳しい。