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ゆとり世代の年齢と特徴は? 外食企業の新入社員が育つ「考えさせる」教育術

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新人スタッフの多くがゆとり世代

3、4月は飲食店にとって従業員の入れ替わりの時期。今まさに新しいアルバイトの募集をおこなっている店舗や、新入社員の受け入れ準備に忙しい飲食企業も多いのではないだろうか。

この春から入社する学生アルバイト、また新入社員の多くは、いわゆる「ゆとり世代」と呼ばれている年代だ。ゆとり世代と聞くとなんだかネガティブなイメージを持ってしまう方も多いだろうが、一体彼らはどのような特徴を持ち、そして飲食の仕事に対してどのような想いを抱いているのだろうか。また、彼らを受け入れ、従業員として定着させていくためにはどのような努力が必要なのだろうか。詳しく考えていきたい。

ゆとり世代は「すぐに辞める」?

ゆとり世代とは、2016年現在で13~28歳の人達を指す。彼らは知識より経験を重視する「ゆとり教育」を受けてきた世代で、それまでの「詰め込み教育」世代と比べ、少ない授業時数、完全週休2日制といったゆとりある環境で学校生活を送ってきた。そうした影響からか“無理をしない”“自分の考えを大切にする”といった特徴が多くみられ、また、経済停滞が長らく続く社会の中で育ったため、経済成長期世代に比べると堅実で安定した生活を求める傾向にある。

では、仕事に対してはどのような傾向があるのだろう。株式会社イノベーションが発表したプレスリリースによると、ゆとり世代には以下のような傾向がみられるようだ。

■仕事においての「ゆとり世代」の特徴
・指示通りにしか動かない
・常に指示を待っている
・不満を感じるとすぐに辞める
・顧客よりも自分のやりたいことにこだわる
・急にふられた仕事に柔軟に対応できない
・敬語ができない
・オフィスにかかってきた電話に出ない
・コミュニケーション力が低い
※調査期間:2015年8月19日(水)~8月20日(木)
※調査対象:20~50代の会社員 男女計329人

ゆとり世代と呼ばれる若者のすべてがこれに当てはまるわけではないが、こうした傾向があることは認識しておいた方がよさそうだ。

ゆとり世代の「飲食業界で働く理由」

続いて飲食業界で働くゆとり世代の特徴を考えてみたい。特に気になるのが、彼らがどんな動機で飲食業界に入ったかだ。「飲食店.COM」がおこなった調査では次のような回答が得られた。

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※調査期間:2015年10月22日~2015年10月27日
※調査対象:求人@飲食店.COMを利用している20代の正社員希望者

20代を対象とした調査なので、ゆとり世代以外(29歳)の意見も多少含まれているが、回答の中では「人に喜んでもらえる」「専門技術を身につけられる」という意見が圧倒的に多かった。30代も同様の回答が得られているので、これは飲食業界で働く人に共通する意見だといえるだろう。

ゆとり世代としての特徴を捉えているのは「ライフスタイルに合わせて働きたい」という意見だ。ゆとり世代を多く含む20代では、27.8%の人からこの回答が得られているのだが、ゆとり世代を含まない30代の回答は15.5%にとどまった。じつに10%以上もの開きがあるのだ。これは仕事とプライベートのバランスを重視するゆとり世代ならではの傾向といえるのではないだろうか。

離職率4.8%の『スターバックス』が実践する教育法

人手不足にあえぐ飲食業界では、従業員の離職率をいかに下げるかが重要な課題となっている。上で紹介した通り、ゆとり世代には「不満を感じるとすぐに辞める」という傾向がある。この傾向がネックにならないように、しっかりと教育をおこなっていく必要があるというわけだ。

離職率が低い飲食企業としては『スターバックス』が有名だ。『就職四季報』によると近年の離職率は4.8%。これはスタッフ教育の徹底がもたらした結果だという。どのような教育をおこなっているのか簡単にご紹介したい。

『スターバックス』は学生アルバイトも正社員も分け隔てなく、のべ80時間の研修をおこなうことが決められている。研修では『スターバックス』の歴史やミッションを教えながら、基本理念である“お客様に感動経験を提供して、人々の日常に潤いを与える”という考えを叩き込む。そして研修が終了しても、日々の業務の中で徹底した教育がおこなわれるという。

その教育の中でも特に印象的なのが、「是正」と「強化」というキーワードをもとに指導をおこなっているところ。「是正」とは新人が失敗をした際に用いられる教育で、失敗を責めるのではなく、“なぜ?”“どうして?”と問いかけることで、失敗の理由を自分で気づかせることを目的としている。

逆に「強化」は良い行動をした際に用いられる教育のこと。この場合も、ただ褒めるのではなく、なぜ良い行動がとれたのかを本人に分析させる。そうすることで成功のパターンをしっかりと身につけることができ、それが自信に繋がっていくのだ。

ポイントは「考えさせる」に重きをおいた教育法

ゆとり世代が受けてきた「ゆとり教育」では、教育現場において「教える」「正解を与える」ことが中心となり、「考えさせる」というアプローチが不十分であったことが指摘されている。そうしたことからも、『スターバックス』が実施する「考えさせる」ことに重きをおいた教育法は、ゆとり世代の新人スタッフを成長させるための良い手本になるのではないだろうか。

もちろん、ゆとり世代にもさまざまなタイプがいるので、個性を見極めたうえで丁寧に指導をおこなっていくことが求められる。新人の指導担当者は、人手不足の現状を踏まえて手間を惜しまずに指導していただきたい。

ちなみに筆者は1993年生まれのゆとり世代である。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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