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居抜き物件の相場をエリア・業態ごとに公開! 東京23区平均は242.2万円

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居抜き物件を利用すれば設計施工費と厨房設備費を大きく抑えられる

飲食店を開業するためにかかる費用は、物件取得費、設計施工費、厨房設備費、求人広告費とさまざまな種類がある。開店後の運転資金を十分に確保するためにも、これらの初期費用をなるべく抑えたいところだが、その方法として効果的なのが「居抜き物件」を利用することだ。

ご存じの通り「居抜き物件」とは、前テナントの厨房設備、家具什器が造作として残っており、それらを売買したうえで賃借することができる物件のこと。居抜き物件を利用すると、初期費用を抑えられたり、開店準備期間を短縮することができたりとさまざまなメリットがある。資金面のリスクをなるべく減らしたい出店希望者にとっては心強い味方というわけだ。

というわけで今回は、居抜き物件の魅力や相場について、「飲食店.COM」の独自データを用いながら紹介していきたい。出店を検討している方はぜひご参考にしてほしい。

居抜き物件の魅力は、大きく2つ

まずは居抜き物件の魅力を簡単におさらい。大きな利点は「コスト削減」と「スピーディーな出店」の2つだ。

一番の魅力は費用を抑えて出店できること
先ほども触れたように、居抜き物件では前テナントの厨房機器や空調設備、インテリアなどをそのまま使用することができる。そのため出店費用の中でも大きな割合を占める設計施工費、そして厨房機器の購入費を抑えることが可能となる。もちろん前店の内装を生かしつつ、改装をおこなうケースも多い。その場合でも、スケルトン物件より安い費用で収まるのが通常だ。

準備期間を短縮することで空家賃の発生を防げる
居抜き物件は出店までスピーディーにこぎつけられる点も大きな魅力だ。大規模な改装をするなら話は別だが、店内のレイアウトを変えたり、壁紙を張り替えたりする程度の改装であれば短期間で済む。極端な例を挙げれば、物件を契約してから1カ月で売上をあげることだって可能というわけだ。この開店準備期間の短縮で空家賃の発生を抑えることができ、それは運転資金の確保にも繋がる。

スケルトン物件と比べると850万円も安く出店できることも

実際のところスケルトン物件と居抜き物件では、開業費用にどれぐらいの差がでるのだろうか。出店希望者に向けたノウハウを紹介する書籍『成功する小さな飲食店の始め方』を参考に、具体的な例をあげてみよう。

繁華街で15坪、客数20席、家賃20万円という条件で開業費用を比較すると、スケルトン物件では2,230万円、居抜き物件では1,380万円かかるという。居抜き物件のほうが850万円もお得というわけだ。詳しく内訳を見てみると設計施工費で430万円、厨房設備費で380万円、そして家賃で40万円も差が出てくる。

東京都内の居抜き物件の相場は?

では実際に居抜き物件はいくらぐらいで取り引きをされているのだろう。業態ごと、エリアごとの譲渡募集額相場をランキング形式で紹介する。

■業態別 譲渡募集額相場
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※2015年1月1日~2016年1月1日の期間で「飲食店.COM」に登録された居抜き物件データから、譲渡募集額の平均値を算出

トップ3をみると1位が中華、2位が焼肉、3位が和食という結果に。重飲食の中でも特に設備投資が必要な業態が上位にランクインしている印象だ。

中華料理店では強い火力を実現するための厨房設備が、そして焼肉店では煙やにおい対策のための排煙設備が設置されている。譲渡相場が高額なのは、こうした設備・機器が強く影響しているのだろう。一方、バーや弁当店、カフェなど、比較的シンプルな設備の居抜き物件は相場が低い傾向。16位の寿司店については、営業年数が長い、狭小物件が多い傾向にあることも理由として考えられそうだ。

■エリア別 譲渡募集額相場
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※2015年1月1日~2016年1月1日の期間で「飲食店.COM」に登録された居抜き物件データから、譲渡募集額の平均値を算出

エリアごとの相場ランキングをみると、1位が港区、2位が中央区、3位が千代田区という結果に。これらのエリアには六本木や新橋といった人気駅が含まれていることも影響を受けているが、家賃が相場よりも高いエリアは、造作譲渡代金も比例して上がってしまう傾向があるといえる。

一方で、世田谷区や杉並区のような住宅エリアは相場が低くなることがわかった。最近は住宅立地でのグルメニーズが高まっている傾向にあるので、開業費用を抑えたい方はこうしたエリアでの出店を目指すのもいいだろう。

居抜き物件で失敗しないために

居抜き物件は資金的な面では大きなメリットを感じるが、「理想のレイアウトに近づけるのには限界がある」「設備・機器の老朽化が思ったより進んでいて修理費がかさんでしまった」なんて声もよく聞く。

居抜き物件での出店を考える際は、自分の理想をはっきりと描き、譲れる部分、譲れない部分、さらに設備・機器においてチェックすべき点を明確したうえで慎重にことを進めたい。必要であれば専門家や業者に意見を聞くこともできるので、初めて出店する方はプロの力を借りてみるといいだろう。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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