仕入先を見直すタイミングはいつが最適？ 「守り」と「攻め」の仕入れ術

日々の業務で忙しいとついつい後回しになりがちですが、定期的にやっておきたいのが「仕入先」や「食材」の見直しです。何より食材の値上がりに頭を悩ませている仕入れ担当者も多いことでしょう。

最近は「食材の値上げ」が頻繁にニュースになっています。「北米の大豆が不作」「中国の消費需要が減少」など、世界的な需給バランスがすぐに仕入れ価格に影響しますし、国内においても気象の影響などで食材価格が短期的に変動します。

そんななかで、「割安感のある食材」も出てきます。この春は「たけのこ」「イワシ」「桜海老」「ぶり」などに値ごろ感があるようですが、旬の食材はメニューに季節感を演出することができるので積極的に活用したいところですね！

食材や仕入先の見直しは、どんなタイミングでおこなうのが良いのでしょう？　4つのポイントを紹介します。

1、食材の高騰で原価率が上がってきた
現在、「肉類全般」「乳製品」「大豆製品」などの値上がりが続いています。食材高騰の対策としては「食材の見直し」「メニュー改編」「価格の見直し」などが考えられますが、お店の味やイメージを維持するためには、まずは「食材の見直し」から着手したいところです。とはいえ、質を落としてしまっては意味がありません。同クオリティーの食材で、かつ安く仕入れられる仕入先を確保しなくてはなりません。そのためには、常にアンテナを張り、新しい業者とも積極的に付き合っていく努力が必要です。

2、他店のメニューで「これはおいしくて安い」と感じた
他店のメニューが、自店舗よりも美味しくて、かつ価格も抑えられているとき。あるいは、行列ができる店で食べてみて、コスパに感心したとき。「安くて良いもの」を出している他店舗があるということは、その食材に対して改善の余地があるということ。気になった食材について改めてリサーチしてみましょう。

3、仕入れ食材の品目が増えてしまっている
「食材の数」が知らず知らずのうちに増えていませんか？　同一食材をできるだけ多様なメニューに展開して食材数を絞ることができれば、原価率をおさえることにも繋がります。

4、看板食材を作りたい
肉ブームが続く今、たとえば宮崎県の尾崎牛などは集客にひと役買ってくれるトレンド食材とも言われていますが、この尾崎牛のように味とネームバリューの2つを備えた食材を用いることができれば店の大きな武器となります。季節や価格の変動リスクを考慮して、看板食材は「肉」「魚」「野菜」などから2つ以上確保できると望ましいです。また、看板食材に取り入れやすいものとして「地域の特産品」があります。

仕入先や食材の見直しは、価格高騰などに対処する「守り」のためだけではありません。ポジティブな「攻め」の見直しについて３つご紹介します。

1、流行りの食材を季節メニューに取り入れる
「話題のあの食材を食べてみたい！」という新しもの好きな消費者のニーズに応えるため、新鮮味のある食材を季節限定メニューなどに取り入れてみましょう。万能調味料「マッサ」や「アボカドオイル」などを既存のメニューにプラスするのもおすすめです。SNSによる波及効果も期待できます。

2、看板メニュー、力を入れたいメニューの質を思い切って上げる
現在人気があるメニュー、または、これから売り込んでいきたいメニューに関しては、原価率を上げる覚悟で質にこだわるのも手です。価格は抑えつつ、高品質のものを提供できれば、それが店の魅力となり大きな集客効果が得られます。たとえ単品で利益が出せなくても、そのメニューにマッチするドリンクをおすすめする、ほかのメニューで利益を確保するといった工夫をおこなうことが大切です。

3、少量扱いOKの仕入れ業者、専門卸業者を活用する
かつては、「仕入れ総額をまとめないと割高になってしまう」「安定供給してもらうためにも総合卸が安心」という側面もありましたが、最近は新進気鋭の専門卸業者が成長していて、それぞれ「珍しい輸入食材」「提案力」「小ロットOK」「スピード配送」など差別化ポイントがあります。ニーズに応えてくれる専門卸業者を探して、総合卸と専門卸をバランスよく組み合わせていきましょう。

さて今回は、仕入先、食材を見直すタイミングについてお届けしました。
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