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179店舗の生の声から「夏のビール対策」を探る。売上UPの鍵を握るのはナニ?

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これから夏本番に向け、ますますビール需要が高まっていくわけだが、飲食店の多くにとっては主力商品になるだけに、万全の準備をしたうえで夏を迎えたいものだ。そこでここでは、美味しいビールを提供する方法、そしてビールの売上を伸ばすための工夫について、弊社が飲食店を対象におこなったアンケート調査をもとに紹介していく。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:179名
調査期間:2016年4月25日~2016年5月1日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果はこちら

飲食店に人気のビールメーカーは?

まずは各店舗が扱っているビールメーカーについて聞いてみた。

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※複数回答可

アンケートをみると半数近くの飲食店がアサヒの商品を扱っていることが分かった。アサヒといえば「スーパードライ」が有名だが、確かに居酒屋へ足を運べば、その多くで「スーパードライ」を扱っている。“乾杯ビール”の象徴ともいえる商品といえるだろう。

2位に続くのはサッポロ。じつはサッポロは、2015年のビール類(ビール、発泡酒、第3のビール/家庭消費も含む)の国内シェアは11.8%にとどまる。これはビール大手4社の中で一番低い数字だ。しかし飲食店では違う反応を見せており、プレミアムビールの代表ともいえる「エビスビール」を筆頭に高い人気を獲得しているようだ。

3位はキリン、そして4位はサントリーと続く。キリンは近年、味の多様性を表現するようになり、昨年発表した9種類の「一番搾り」はその象徴ともいえるだろう。またサントリーといえば「ザ・プレミアムモルツ」を想像する方も多いが、このプレミアム路線は好調のようで、「マスターズドリーム」などの派生商品も続々と誕生している。

続いて飲食店がビールを仕入れる際、メーカーをどのような理由で選ぶのか聞いてみた。

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※複数回答可

最も多かった回答は「好きなブランドだから」というもの。逆に意外と少なかったのが「世間で人気のビールだと思うから」という回答。事実、サッポロのように市場のシェア率は低いが、飲食店では人気が高いメーカーもある。これは店主の好みが強く反映されての結果なのだろう。

また3番目に多かったのが「店の料理に合うから」という回答だったことも興味深い。日本のビールのほとんどがピルスナースタイルだが、その中でも「スーパードライ」はキレがあって爽快感が強い、「エビスビール」は口当たりは滑らかでホップの風味が濃いなどの特徴がある。たとえば日本料理店『分とく山』はサントリーの「マスターズドリーム」を扱っているが、その理由について、あるインタビューで店主・野崎洋光氏はこのように述べていた。

「ビールにおいて大切なのは、料理に対して入ってくる苦味とか酸味のバランスなんですよね。『マスターズドリーム』は、きめ細かさとまろやかさがあるのが魅力。バランスもすごくいいですね」

自身が考える“料理とビールの関係”を追及した結果、たどり着いたのが「マスターズドリーム」だったというわけだ。このような視点でビールを選ぶ飲食店は今後もその傾向はより高まっていきそうだ。

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2014年に開催された『ワールド・ビア・カップ』でゴールドメダルを獲得した「スーパードライ」 Photo by OiMax「The Beer」

美味しいビールは日々の努力によって実現する

ここからはアンケート結果をもとに、夏へ向けたビール対策を紹介していく。飲食店を経営される方なら、他店舗がどのような工夫をおこなっているか知りたいのではないだろうか。まずは「美味しいビールをいれるコツ」について、実際の生の声をピックアップしてみた。

「毎日サーバーの清掃を徹底。グラス・ジョッキは専用スポンジで手洗いして良く冷やす」
「毎日の水通しと、週一回のスポンジ玉洗浄。グラスは綺麗に洗い、ちゃんと拭きます」
「原価が上がってしまっても、多少多めに泡切りをする」
「メーカー主催のセミナーに参加し、正しい提供方法を身につけている」
「ビールサーバーの温度を徹底管理。 ビールの種類に応じて最適なガス圧で提供」

最も多かった回答は「サーバーの洗浄」。それも毎日おこなう店舗が多く見受けられた。営業終了後に洗浄をおこなうのは大変だが、美味しいビールには欠かせない。週に一度、スポンジ玉洗浄もおこなえば万全だろう。また、グラスは食洗器ではなく、専用スポンジで丁寧に洗うことが大切なようだ。グラスの冷やし方も適切な温度があるので注意したい。

さらにメーカー主催のセミナーに参加して、ビールの扱いについて学んでいるという店舗もあった。ビールは酒の中でも主力商品なので、こうした手間を惜しまずに学ぶことが大切なのかもしれない。

ビールの売上を上げるための工夫とは?

最後にビールの売上を伸ばすためにおこなっている「工夫」について聞いたので紹介したい。

「美味しいビールを出すこと」
「誰が飲んでも常に美味しいビールを提供することが、売り上げに 繋がる」
「最近人気の高い、世界各国のクラフトビールを多数用意。 最初の一杯は樽の生ビールを。そのあとは料理に合わせて違う種類もご提供しています」
「ピルスナーグラス以外にボルドーグラスでも提供」
「Facebook等に、夕方、サラリーマンが帰宅する頃を見計らって、美味しそうなビールの写真を載せる。それを見た方に“一杯ひっかけて帰ろうかな”と、思わせるように」

最も多かったのが、美味しいビールを提供することが売上に繋がるという意見。一杯目のビールが美味しければ、二杯目、三杯目とおかわりが続く。まずは味を追求すること、そのためにサーバーの洗浄を欠かさず、注ぎ方などの技術面も向上させる。そんな飲食店が多いようだ。

続いて多かったのが、「ほかの店舗にはないクラフトビールを揃えることで売上に繋げる」という意見。またこうしたオリジナル性の高い商品をより楽しめるように、ボルドーグラスでビールを提供する飲食店もあるようだ。ピルスナー以外のビールを提供する店舗は、今後、ますます増えていきそうだ。

さて今回は、弊社がおこなったアンケート調査をもとに、美味しいビールを提供する方法、そしてビールの売上を伸ばすための工夫について紹介した。ビール需要が高まる夏は、すぐそこまできている。多くの方が嗜む飲み物だけに、最高の状態で提供できるように準備を進めたいものだ。

「飲食店リサーチ」について
飲食店リサーチ」では、飲食店を経営する皆さまに、店舗運営に関する様々なアンケートを行っています。 アンケート結果は、飲食店の皆さまに店舗経営のヒントとして活用していただけるよう、レポート記事として公開されたり、 皆さまが利用する業務用商品やサービスなどの開発に役立つデータとなります。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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