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外食の未来は「IoT」が創る!? 3Dプリンタで調理、顔認証カメラで客の嗜好を知る……。

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フィクションの中にしか存在しなかった世界が、現実味を帯びてきた!

最近、VRという言葉を耳にする人も多いのではないだろうか。VRとはバーチャルリアリティー(仮想現実)のこと。さまざまな分野への導入が期待されており、特に今年は“VR元年”と言われ大変な注目が集まっている。

また、昨年は3Dプリンタの実用化が話題になるなど、少し前まではフィクションの中にしか存在しなかった世界が、俄然現実味をおびてわたしたちの目の前に広がっている。現在当たり前のように使用している携帯電話も10年前、20年前と記憶をたどってみると、高解像度のカメラが付属したり、電子決済の機能が追加されたりと、めざましい技術革新が繰り返されてきたことに驚くばかりだ。

テクノロジーの進歩は飲食業界においても多大な影響を与えてきた。集客をサポートするWebサービス、そして予約管理や売上管理をサポートするアプリまで。他業界に比べるとアナログ的な手法が根付く飲食業界においても、徐々にテクノロジーの力が浸透しているのを実感している方も多いはず。

そんななか、飲食業界におけるテクノロジー利用について、いま新たな流れが出来つつあるのをご存知だろうか。その流れの中心にあるのが「IoT」だ。今回はこの「IoT」の基本から未来の可能性までを考えてみたい。

そもそもIoTとは?

「IoT」とは“Internet of Things”の略で、簡単に言うと、「モノのインターネット」のこと。この考え方自体は昔から存在してはいたが、ネットワーク環境や電子機器の進歩によって実用性が高まり再注目されているのだ。

これまでのインターネットは、コンピューターネットワークを意味し、それに付随する“モノ”もプリンタ等のパソコン周辺機器に限定されていた。しかしIoTは、これまでITとは無縁だった“モノ”にもインターネットとの相互性が生まれ、かつネットワーク上で情報の共有や管理が行えることが大きな特徴となっている。

IoTで何ができる?

IoT技術を利用したサービスをいくつか紹介してみよう。

■SmartThings
家庭内にさまざまなセンサーを取り付けることによって、外出先からでも照明や空調、室内環境のモニタリング、セキュリティなどをチェックできるシステム。スマートフォンを用いて使用する。

■SMS Audio BioSport In-Ear Headphones powered by Intel
イヤホン型の端末でランニング中の心拍数、走行距離、消費カロリーが分かる。SMS Audio以外にも装着して心拍数や走行距離などを計測しデータ化するデバイスは多数存在する。

■Kolibree
しっかりと歯が磨けているかどうかをチェックしてくれる電動歯ブラシ。アプリとの連携によって磨き残し部分をモニタリングしてくれる世界初のIoT電動歯ブラシ。

このように、私たちの生活環境にこれまでも存在した“モノ”がIoTとして新たな可能性を広げている。

IoTで実現する新しい飲食業界

もちろん飲食業界にもIoTは参入してきている。開発段階のデバイスも含め、いくつかご紹介しよう。

■おかわりコースター
グラスを置くだけでおかわりのオーダーができるコースター。グラスにセットされているLEDランプの信号をカメラで読みとり、ネットワーク上の商品情報と照合して会計システムに情報を送信。自動でオーダーが入るサービス。

■XYZ Food Printer
3Dプリンタの製造、販売で知られるXYZプリンティングが開発した3Dフードプリンタ。3Dプリンタを利用すれば、これまで手作業では困難だった複雑な形を成形することができるようになるが、このXYZ Food Printerは、3Dデータが保存されているクラウドに接続することもできるので、より多彩な形を表現できるようになった。海外では、2ツ星レストランも3Dプリンタを使用したメニューを試作中なのだとか。

■Mr.SAM
一見したところシリコン製の調理用スプーンのようだが、イオンセンサーによって食品中の塩分量を測定し、スマートフォンアプリと連動してデータを蓄積できるツールだ。塩分量のコントロールは人間の味覚では判断がつきにくく、つい塩分過多になりがちだ。製品化が進めば、飲食業界や医療の現場でも活躍が期待できそう。

■Griller
肉料理、それも塊肉をいかに美味しく調理できるかを目的に作られたグリル。もとはアウトドアをテーマにしたプロトタイプ開発コンテスト「CAMP HACK DAY 2014」から誕生したもの。まだ開発段階ではあるが、バウムクーヘン等への応用も可能になる予定だとか。

IoTの普及でどう変わる!?飲食店の未来

リクルートテクノロジーズが開催したイベント「CNET Japan Live」では、IoTやウェアラブル端末が導入された“未来のレストラン”をコンセプトにした展示が紹介された。

例えば、ジェスチャーや音声認識によって操作ができるデバイス「Kinect(キネクト)」を使い、注文をとる方法。ここでは天に向かって祈るポーズをとると、天井のスクリーンから女神が現れて注文をとってくれるというユニークなコンセプトを紹介。また、顔認証カメラを利用した装着型のデバイスで、来店した客の来店頻度や注文の趣向などを瞬時に分析するサービスも紹介された。

これらのIoT技術が実用化されれば、飲食業界が抱える人手不足などの問題を軽減し、またエンターテイメント性のあるデバイスであれば、飲食店に新たな楽しみ方を付け加えてくれるはずだ。引き続き、IoTのニュースから目が離せない一年になりそうだ。

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イシイミヤ

ライター: イシイミヤ

フリーライター。ファッション誌やカルチャー系のウェブサイトでライフスタイルに関わる記事を執筆。現在はフードカルチャーに焦点を絞り、その最旬事情から老舗の妙味まで多岐にわたり執筆中。週3でアンテナショップに通い、全国の郷土菓子と未知の食材の収集を日課にしている。ビールとコーヒーのトレンドに詳しい。