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締めのラーメンを食べるのはなぜ? 飲んだあとに選ばれる理由を科学的に考察

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お酒を飲んだあとの「締め」として人気のラーメン。お酒の席でもそれなりに料理を食べているはずなのに、無性に食べたくなるのはなぜだろうか。

実は、締めにラーメンを食べたくなるのには、いくつか理由があるとされている。そこで今回は、お酒とラーメンの関係を解き明かしつつ、飲食店の「締めメニュー」について改めて考察してみた。

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「締め」にラーメンを食べたくなる理由

飲み会が終わりに差しかかる頃、「色々食べたはずなのに、なんとなく物足りない…」と感じて、締めに何か食べたくなった経験はないだろうか。こうした現象が起こる理由の一つに、飲酒による体内の糖不足が挙げられる。

お酒を飲むと肝臓では糖を分解するよりもアルコールを分解する方が優先される。そのため、血糖値が下がって、脳が「まだお腹がいっぱいではない、何か食べたい」と感じるようになる。さらに、糖は肝臓でアルコールが分解される際にエネルギーとして消費される。これにより、不足した糖、すなわち炭水化物を体が欲するというわけだ。

ちなみにお酒を飲むと普段よりトイレに行く回数が増えるが、これはアルコールに利尿作用があるため。最大で飲んだ量の1.5倍も排出するそうだ。尿には水分と塩分が含まれており、塩分にはナトリウムやカリウム、クロールといった必要不可欠な栄養素も含まれる。つまりお酒を飲むと、体にとって大切な栄養素をかなり失うことになる。

こうした理由から、栄養素を補給しようと体が炭水化物、水分、塩分を要求する。ラーメンはその条件に見事に適っている食べ物であると言えるだろう。

ラーメンのスープに秘密あり

締めにラーメンが食べたくなるのには、ラーメン自体にも秘密がある。

ラーメンのスープにはたくさんの旨み成分が詰まっているが、昆布だしに含まれるグルタミン酸や、とん骨スープに含まれるイノシン酸は、アルコールを分解するのに役立つ。グルタミン酸は、アルコールを分解する際に肝臓で消費され、イノシン酸はアルコールからアセトアルデヒド、さらに酢酸へと分解する酵素の働きを助ける。

グルタミン酸は、昆布やイワシのほか、パルメザンチーズやトマト、白菜や緑茶にも多く含まれる。一方で、イノシン酸を多く含む食材は、煮干し、鰹節、サバ、豚肉、牛スネ肉などだ。これらを踏まえてスープ料理や煮込み料理を考案すれば、飲んだあとの「締め」に最適なメニューができるだろう。

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本間純子

ライター: 本間純子

映像制作会社を経て、フリーライターに。企業PR誌で食材の開発や世界の食文化をリポートしている。CD-ROM『日本酒の郷をめぐる~北陸編』(ポニーキャニオン)では、酒蔵をたずね、酒づくりや酒にあう土地の食などを取材、執筆した。個人的には「日本のレストランで世界一周」をたくらむ。