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飲食店開業の成功率を高める! 地方自治体が運営するユニークな創業支援制度5選

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お店を開業するときに助成金や補助金が活用できることは、以前の記事で紹介したとおりだ。
参考/最大200万円も支給!意外と知らない飲食店向け補助金・助成金制度

だが、助成金以外にも特色ある支援制度があることはあまり知られていない。とくに過疎化が進む地方では、地域の活性化や人口増のため、町を上げて創業支援をしているところが多いもの。そこで今回は、地方のユニークな創業支援制度をピックアップした。

開業の不安を軽減してくれる万全の体制

■一貫した支援が受けられる「ドチャベン・アクセラレーター」

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画像は「ドチャベン・アクセラレーター」のキャプチャ

世界トップクラスのスピードで人口減少が進む秋田県の鹿角市と湯沢市。ここで起業する挑戦者を、業種を問わず支援するプロジェクトが「ドチャベン・アクセラレーター」だ。ドチャベンとは“土着ベンチャー”のことで、三段階の支援で、事業創出を目指す。

第一段階の支援である「セミナー・現地プログラム」では、テーマに応じた調査や、ワークショップ、地域の企業や住民との交流を行う。第二段階の「ビジネスプランコンテスト」では、ビジネスプランを発表。自治体ごとにいくつかのチームが選抜される。選抜チームのみ参加できる第三段階の「起業家育成プログラム」では、メンターの支援を受けながらプランを練り上げる。最終報告会の後は、資金調達や事業提携、オフィスなどの支援体制が確定し、創業に向けての総仕上げが行われる。

昨年度の受賞チームの「秋田ことづくり」は、毎月秋田から旬の果物と日本酒を届ける定期通販サービス「Fruitreat(フルートリート)」を開始し、多数のメディアに取り上げられ話題となっている。

■必要な知識と人脈が得られる「第3新創業市プロジェクト」の創業塾

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画像は「第3新創業市プロジェクト」のキャプチャ

神奈川県の小田原・箱根エリアで官民を挙げて始動した「第3新創業市プロジェクト」。職種を問わず、小田原・箱根のまちで創業したい人に対して、行政と商工会議所、金融機関、民間企業が一丸となって支援する。

最大の魅力は「創業塾」で、地域おこしやマーケティング、資金調達などの分野で活躍する第一人者を招いて行われる。全10回の講座すべてに参加したのち、ビジネスプランを提出すると、受講料はすべてキャッシュバック。受講すると法人設立の際の登録免許税が半額になる特典もある。「創業塾つながりで、仲間も、物件も、全体のアートディレクターも見つかった」という卒業生のコメントもあり、移住する人にとっても参加のメリットを得やすいプロジェクトとなっている。

地方への移住を考えている方に最適な支援制度も

■農作物に付加価値を与える「ビジネスプランコンテストin南区」

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画像は「ビジネスプランコンテストin南区」のキャプチャ

新潟市南区の農産物といえば、西洋梨の「ル レクチエ」や、いちごの「越後姫」、いちじくの「越の雫」などが有名だ。これらの農産物を使ったビジネスプランを募集し、入賞者を支援することで地域産業の活性化を図っているのが「ビジネスプランコンテストin南区」。

ビジネスプランの作成やブラッシュアップの際には、新潟市産業振興財団が相談に乗ってくれる。入賞者には10万円およびメンター制度の適用、支援事業の紹介が行われる上、最優秀に選ばれると、事業準備金として100万円が授与される。完成度の高いビジネスプランと創業資金を同時に獲得できる、一挙両得のチャンスだ。

■田舎暮らしを体験しながらビジネスを立ち上げる「EDGE CAMP」

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画像は「EDGE CAMP」のキャプチャ

「いつか田舎で店を持ちたい」と思っていても、知らない土地でいきなり開業するのはハードルが高いもの。できれば一度その土地に住んでみるのが望ましい。高知県の土佐山では、起業家養成プログラム「EDGE CAMP」に参加するメンバーに、拠点となるシェアハウスを6カ月間無償で提供している。さらに、選考の末レジデンスコースに選ばれると、プログラム参加費も無料となる。月に一度行われる合宿では、全国の過疎地で活躍する起業家や専門家が講師として招かれ、実践的な知識やノウハウを伝授。土佐山の生活に浸りながら、新しい「なりわい」を生み出すことにチャレンジできる。

■空き店舗を利用してお試し開業できる「チャレンジショップあきない塾」

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画像は「チャレンジショップあきない塾」のキャプチャ

起業を目指す人たちを支援する鳥取県の制度「チャレンジショップあきない塾」。出店を希望する人に、中心市街地の空き店舗を一定期間貸し出すことにより、新規創業者を育て、街中ににぎわいを取り戻すことを目的にしている。出店のメリットは、補助制度により賃貸料を安く抑えることができること。また、専門家にディスプレイについてアドバイスしてもらったり、独立開業時の事業計画や財務の指指導を受けたりすることができるため、「お試し開業」しながら必要なノウハウを身につけることができる。開業のハードルを高く感じている方におすすめの支援だ。

飲食店の廃業率は高いといわれるが、地域の支援を活用して入念に準備することで、開業後の「こんなはずじゃなかった!」というリスクを減らすことができる。「これから創業したい」と考えている方は、ぜひその地域の創業支援について調べてみてほしい。

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三原明日香

ライター: 三原明日香

編集プロダクションに勤務し、フリーライターとして10年以上活動。ふとしたことから労働基準法に興味を持ち、4年間社労士の勉強に打ち込む。2014年に試験に合格し、20年4月に開業社労士として独立した。下町の居酒屋で出されるモツ煮込みが好物。