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「指入りラーメン事件」や「バイトテロ」も他人事ではない!? 飲食店のトラブル、万一のときの対処法

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9月、『幸楽苑 静岡清水インター店』で提供された子ども用ラーメンに、指らしき異物が混入する事件が発生した。ショッキングな事件であると同時に、その事後対応についても今回は話題となった。店舗と『幸楽苑』本部との間で正確な情報共有がなされず、公式サイトで1か月後に発表した謝罪文でなお「指ではなく爪の一部」という誤った説明をしてしまったのだ。

もとをたどれば、「スライサーを使っていた従業員がけがをした」という、どんな飲食店でも起こり得る事故だ。もちろんその事故に関わった食材を適切に廃棄しなかったなどの問題もあるが、本部が事件の詳細を把握できずに誤った発表をしてしまったことがさらなる批判を呼んでしまった。

アルバイト従業員が飲食店やコンビニエンスストアの冷蔵庫に入った写真を投稿するなどの「バイトテロ」が話題をさらったのは2013年。いったんは収まったものの、ほとぼりが冷めた頃になるとまたどこかでトラブルが起きる。2016年1月には、アルバイト学生が北海道・登別温泉のホテルで食器洗い用の流し台に入った写真をツイッターに投稿したというニュースもあった。

さらに飲食店なら「食中毒」のリスクを避けては通れない。ほかにも「お茶をこぼしてお客様にやけどを負わせてしまった」「店の設備が壊れてけが人が出た」などの事例もある。スタッフ教育やマニュアルの整備などで事故を起こさないように入念に対策をとっておくことが一番大切だが、それでも何か起きてしまうリスクは常にあるというわけだ。そこでここでは、そうしたトラブルに対して「もし起きてしまったときの対処法」を確認しておきたい。

「異物混入」などのトラブルが起きてしまったときに大事な4つのこと

1、速やかに責任者が謝罪する
できるだけ素早く上司、店長が謝罪をする。そのために、「何かあったらすぐに報告」することを日頃から従業員に徹底しておく必要もある。「異物混入」「熱いお茶でやけど」などの被害を受けた相手がこれ以上悪感情を長引かせることがないようにするには、誠実に頭を下げることが一番だ。

2、状況を説明する
問題が起きてしまった経緯、原因を被害者に正確に説明するほか、他のテーブルのお客様などにも必要に応じて説明を。都合の悪い事実を隠して、あとで発覚してしまうのが最も避けたいパターンだ。

3、適切な補償をする
怪我であれば病院の治療費、洋服を汚してしまったらクリーニング代などのほか、被害の程度によってお見舞い金なども必要になる。

4、風評など2次被害を避けるための対策をとる
トラブルをSNSで拡散されてしまうのを避けるためには、その後も正確な情報を出すこと。その場を収めたあとは、店の張り紙やウェブサイトでお詫びと今後の対策などを明記し、自ら情報発信をすることが大切だ。

「バイトテロ」が起きてしまったら? 3つの対策

アルバイト従業員の悪ふざけが、結果として店を閉店に追い込むこともある「バイトテロ」は、最も対処が難しい事例かもしれない。それでもやるべき対策はある。

1、従業員教育の不徹底を認めて店主の名前で素早く謝罪する
2、店の管理状態について生じてしまった不安に対して、「食材の廃棄」「設備の洗浄」などの対応をし、さらに情報発信も行う
3、問題の発端となった投稿主に投稿削除を求める

これらをスピーディに行おう。

「店で飲食後に食中毒になった」と言われたら?

数人が同時に食中毒になる場合はすぐに原因が特定できるが、そうではない場合もある。もし食事をしたお客様から「食中毒になった」と言われた場合にはどうすべきか。

まず飲食した日時と食べたものを確認し、病院で診察を受けてもらう。病院が食中毒だと診断し、さらに保健所が因果関係を調査するという流れになることを説明。そして結果を待つ間に、他のお客様で同様の事例がないかどうか調べてみる。最終的に「食中毒は店の料理が原因ではない」という結論になる可能性もあるが、トラブルを大きくしてしまったらSNSに感情的な投稿をされてしまうリスクもあるので、丁寧に適切に対応することが大切だ。不明点があれば早めに保健所に問い合わせてアドバイスを受けよう。

食中毒を出してしまった場合は、「営業停止3日間」などの行政処分を受け、一方では食中毒被害者に謝罪と補償を行わなくてはならない。大変な痛手となるが、この場合もできる限り被害者・関係者に説明責任と礼儀を尽くし、保健所の指導にきちんと従って対策をとることで、その後のリカバリーを早めることができるはずだ。

リスクに備えるには保険を活用する手も

「食中毒を出してしまったとき」を含め、損害賠償が生じるケースについて幅広く補償を受けられる各種の保険商品がある。食中毒対策は「生産物賠償責任保険(PL保険)」、店内事故などは「施設賠償保険」の対象で、これらの補償内容を飲食店向けに組み合わせた保険商品も販売されている。営業停止処分を受けたときの休業損害を補償する特約もあるようなので、“もしも”のときに備えるためにも調べておくとよいだろう。

万全の対策を練っていてもゼロにはできない飲食店のリスク。もしもトラブルが起きてしまったら、素早く冷静に対処し、被害を最小限にとどめるようにしよう。

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ほんだこはだ

ライター: ほんだこはだ

グルメ、ライフスタイル、旅、恋愛、まちづくりなどの記事を各種サイトに執筆中。大手グルメサイト、ローカルビジネスサイトで多数の飲食店取材を経験。オシャレ食材を家庭料理にして食べるのが趣味。