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繁盛店に聞くメニュー戦略。半額キャンペーンで「客単価倍増」のワケ

飲食店には、原価率度外視の目玉商品や、オペレーション効率を考えたコース料理など、メニューに関するさまざまな戦略があるものです。その戦略によって、集客率や利益が変わってきます。今回は、神田のワインバー『普段着ワイン酒場 GETABAKI』を取材。

『普段着ワイン酒場 GETABAKI』店主・臼杵 慎さん

近隣の住民から愛され、週2~3で通う人も多いという繁盛店の店主、臼杵 慎さんのメニュー戦略を伺いました。

ワインに通し番号をつけ、気軽に注文できるよう工夫

━━このお店のメニューの表紙には、印象的な言葉が書いてありますね。「ゲタをつっかけてワインを飲むもよし。ニッカボッカスタイルでワインを浴びるもよし。ワインに氷をぶっこんで飲むもよし」……。この意図は何でしょうか?

臼杵:GETABAKIのコンセプトは“普段着でワインを飲める店”なんです。お店をオープンする前から、レストランでソムリエにうやうやしくサーブされるようなワインだけがワインじゃないと思っていました。家では好きな容器にワインと氷を入れて飲みますし、外国のお客さんが来たときには、サラダボールにワインを入れて提供したこともあります。そのくらいワインを日常的にカジュアルに楽しんでほしいと思っているんですよね。「ワインって堅苦しい」「とっつきにくい」と思っている人にも楽しんでほしいし、もっとワインの裾野を広げたいという思いを込めた言葉です。

━━メニューもかなり特徴的ですね。ワインリストに通し番号が振ってあって、値段も均一。たとえば「赤の1番」というふうに頼むことができます。ワインの説明文も「チリカベ、チリカベ、チリカベ……」のような感覚的なものですね。

臼杵:以前の職場で管理職を経験していたので、なんでも番号で管理したがるところがあったのです。それでワインにも通し番号つけてみたら好評でした。説明文はあえてシンプルにして、ワインに関係ないことも書いています。ワインの品種や香り、産地のことなど、専門用語を並べ立てて書くと、「難しい」と感じますからね。「注文を間違えて恥をかきたくない」という方もいらっしゃると思いますので、誰でもストレスなくオーダーできるようにしました。

「半額キャンペーン」で客単価が倍増した理由

「ワインを手軽に」という想いが込められたメニュー表

━━GETABAKIさんの特徴はリーズナブルなボトルワインが充実していることだと思います。これはチリワインなど低価格のワインを中心に取り揃えているからなのでしょうか?

臼杵:いえ、ワインの産地にこだわりはありません。純粋に自分が飲んでみて「美味しい」と思ったものだけ取り揃えています。1650円均一のワインでも仕入れ値は同じではなく、原価でいえば30%のものから70%のものが混在しています。

━━原価70%のワインはどれでしょう?

臼杵:それは秘密です(笑)。でも、見る人が見たら「この値段で飲めるなんて、すごくコスパがいい」と喜んでくれますよ。注文を誘導したい銘柄には「迷ったらコレ!」というアイコンをつけています。さらに、オーダーをボトルワインへ集約するために、グラスワインを1種類に絞る工夫もしています。その結果、ワインボトルは毎月1200本のペースで出ています。「安いから失敗してもいいか」という感じで、いろんな銘柄にチャレンジしてくれる方が多いのも嬉しいですね。

━━普段から手頃な価格ですが、土曜日にはワインが半額になるキャンペーンもされていますよね。経営的には成り立つのでしょうか?

臼杵:よく、経営的に「大丈夫?」と心配されるのですが、実は土曜日の客単価は大幅にアップしています。普段の客単価は3500円から4000円なのですが、土曜日は6000円から7000円と倍近くなります。半額ということで、お客様の「飲みたい欲求」が解放されるのかもしれません。口コミも増えましたし、土曜日は団体で来てくれる方も多くなりました。普段は常連さん中心ですが、土曜日は遠くから足を伸ばしてくれる方もいます。

━━料理とは違って、注文が殺到してもオペレーションの負担があまり増えないのもワインの魅力ですね。

臼杵:そうですね。半額キャンペーンは「お客様が喜ぶなら、試しにやってみようか」という感じで始めたのですが、想定以上に効果がありました。

「お客さんを喜ばせたい」という気持ちがメニュー開発に生かされる

8割のお客さんが注文するという「ゲタ盛り」

━━GETABAKIでは定期的にメニューを見直しているようですが、その周期はどのくらいですか。

臼杵:グランドメニューは年に2回は必ず入れ替えています。その際のポイントは季節感を意識すること。そしてワインに合う料理ということです。料理のカテゴリーにはこだわらず、せんべいや浅漬けといったものも提供しています。週に何度も通ってくれる常連さんにも楽しんでもらえるように、日替わりメニューや、週替わりのメニューも用意しています。「いつ行っても新しい料理がある」というのは来店の動機になりますから、印象に残るように心掛けています。ワインリストも試飲会で「美味しい」と思ったものがあれば入れ替えていますね。

━━主力はワインだと思いますが、料理でおすすめはありますか?

臼杵:8割のお客さんが注文するのは「ゲタ盛り」です。GETABAKIという店名にちなんで、皿の代わりにゲタを使いました。その上にワインに合うおつまみを日替わりで何種類か盛り付けています。見た目のインパクトからかほとんどのお客さんが注文してくれます。木桶に入れたバーニャカウダも人気です。

━━そのようなヒットメニューはどのように生み出しているのですか?

臼杵:いろいろと試行錯誤してきましたが、ヒットメニューを作ろうと思うと、コケたときにショックも大きいんです(笑)。「売り上げを上げてやるぞ」という気持ちでメニューを開発するのではなく、「お客さんに喜んでもらいたい」という気持ちを企画に落としこんでいけば、結果はついてくると思います。「不易流行」という言葉がありますが、店としての大事な部分は守りながらも、常に新しさを取り入れ変化していきたいですね。

想定とは違ったお客が来た場合はどうする?

━━リーズナブルなワインや料理を提供することで、想定するお客さんとは違った方が集まることもあるのでは?

臼杵:そうですね。当店のコアターゲットはミドル・アッパー層の方です。大人が普段使いで楽しめる店を想定しているので、それ以外の方、たとえば若くて宴会の席で騒ぐような方がいらっしゃった場合は塩対応します(笑)。

━━塩対応で大丈夫なんですか?(笑)

臼杵:それぐらいメリハリをつけたほうがいいのです。全員にいい顔をしていると、一番良いお客さんが逃げてしまいます。良いお客さんはトコトン愛し、それ以外にはそっけなく。その力加減の割合は100対0です。

━━全力でふるいにかけているわけですね。

臼杵:はい。コーチングの手法も取り入れながら接客をしています。その結果として、転勤した後も遠くから通ってくれたり、週5日で来てくれたりする常連さんが生まれたのだと思います。当店では常連さんの売り上げが8割を占めますから、彼らを大切にしなくては未来がありません。

━━メニューも接客も戦略を持つことで、ブレずに理想のお店を作り上げているのですね。

今回は神田のワインバー『普段着ワイン酒場 GETABAKI』の臼杵 慎さんに、メニューの戦略について伺いました。メニューを改訂する際にはぜひ参考にしてください。

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