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イタリア人に「名古屋めし」と「蕎麦」ウケた。ミラノ進出のサガミ「売り上げ好調」

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ミラノ店の店内の様子

『和食麵処サガミ』を経営する株式会社サガミチェーン(本社:名古屋市)がイタリアのミラノ市に今年1月1日に直営店を開店してから、およそ2か月が経過した。パスタの国で「日本の麵」や「名古屋めし」が受け入れられるのか注目が集まっているが、滑り出しは上々のようだ。

同社海外事業担当者は「当初の予定通り。売り上げ好調です」と胸を張る。同社によると客の7割から8割がイタリア人で、日本人は1割程度。意外と多いのが中国系で、1割から2割程度を占めているという。この点は「近所に中国系の学校があるのも影響しているかもしれません」と分析する。もちろん、そういった要素は無視できないが、味に馴染まなければ来店しないのも確か。やはり中国は同じ東アジアということで、地政学的にも和食に親しみがあるのかもしれない。日本ではインバウンド関連のニュースでは必ずと言っていいほど中国が話題になるが、ミラノでも中国系とは縁があるようだ。

人気メニュー「かつカレーうどん」

蕎麦はnessun problema! とんかつに抵抗がない理由は?

好調の理由の1つにイタリア人に、蕎麦が問題なく受け入れられた点がある。そもそも「和食麺類を提供する店舗は欧州には少ない」(同社)ために少なからずリスクは存在していた。「東南アジアでは色のついた麵(蕎麦)が珍しいせいか受け入れられにくく、思ったほど浸透してないのですが、イタリアではそういうことはありませんでした」と説明する。パスタを愛する国民は、日本のパスタも受け入れてくれた。イタリア人には蕎麦も「nessun problema(no problem=ノープロブレム)」だったということだろう。

また、「名古屋めし」と言われる味噌串かつ、味噌かつ、味噌煮込みうどん、手羽先なども人気を集めており、この点は酒を飲みながら食事を楽しむイタリア人の風習とマッチしたことが理由として考えられるという。さらにミラノは「ミラノ風カツレツ」の本場だけに、とんかつが抵抗なく受け入れられた理由となっていると同社では考えている。

味噌かつ定食18ユーロ(約2160円)、かつカレーうどん14ユーロ(約1680円)と日本の感覚からすると高めの金額設定だが、現地は全体的に食事の値段が高く、割高感はないようだ。このように多くのファクターが現地の状況にマッチしているのが好調の原因と言えるかもしれない。

入口には日本の飲食店を象徴する暖簾がかかる

2015ミラノ万博がきっかけ、1年間の長期検証営業

そもそもサガミチェーンがミラノに直営店をオープンしたのは、2015年に開催されたミラノ万博日本館内での営業がきっかけになっている。翌2016年春にミラノ市内での約1か月半のテスト営業が高評価を得たこともあり、2017年1月から再度ミラノ市内における長期検証営業(1年)を実施することになった。現地には日本人を1人派遣しているが、残るスタッフ5人はイタリア人。接客で言葉の壁がないことがプラスに影響していることも考えられる。

このように滑り出しの2か月は順調だが、同社は今後については慎重な姿勢を崩さない。前出の海外事業担当者は「今回はご縁があって、元々あったレストランを借りて、売り上げもソコソコ上がっています。今後については費用とかもう少し検討してみる必要があります。それを元に実際の売り上げのシミュレーションなどもしていかないといけません。そういった点を考えつつ、引き続き様子を見て将来の展開について判断することになるでしょう」と話していた。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/