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飲食店の販路拡大に効果アリ! 「ネット通販」に必要な申請と注意点は?

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Photo by iStock.com/tortoon

飲食店運営が軌道にのってきた経営者の中には、インターネット通販に興味をもつ人も多い。店舗以外に販路を広げることができ、かつ厨房を効率的に稼働させることにもつながる。売上や生産性を向上させるためにも、インターネット通販はぜひ検討したい施策だといえる。そこで今回はインターネット通販に向けてのステップについて詳しく考えてみたい。

小売業の注意点

飲食業とインターネット通販を含む小売業は異なる業態であり、「自店舗の人気メニューをネット通販で販売したら飛ぶように売れる」と簡単に思ってはいけない。具体的にはどのような違いがあるのだろうか。

1、原材料、賞味期限、製造元などの食品表示を飲食店より厳密に行う必要がある
小売業の場合は、購入と消費は別の場所で行うケースが多く、購入者と消費者が異なる場合(お土産など)も多い。そのために、原材料や賞味期限、製造元などをしっかりと明示することが食品表示法で求められている。

2、包装・物流コスト
小売業の場合、商品パッケージ代、通販の場合は配送料など様々なコストがかかる。商品が冷凍・冷蔵商品であれば、保冷剤や保冷バッグなども必要になる。これらのコストを見込んだ値付けが必要となってくる。

3、インターネット通販の場合、競合も多い
インターネット通販は、全国各地に販売することが可能となる一方で、競合も実店舗とは比較にならないほど多くなる。自店舗や商品を見つけてもらい、選んでもらうための工夫が必要である。

Photo by iStock.com/Elena_Danileiko

何を販売するか?

販売する商品については、次のパターンが考えられる。

・自店舗で製造したオリジナル製品
・他社に製造を依頼した、自店舗に関連するオリジナル製品
・自店舗で使用している他社製品

自店舗で製造したオリジナル製品とは、例えばカフェで提供していたクッキーなどの焼き菓子やベーカリーを販売するということが挙げられる。飲食店の場合は飲食店営業許可を申請しているはずだが、自店舗で製造したオリジナル製品を小売で販売する場合は改めて管轄の保健所に相談する必要がある。筆者が以前関わったカフェでも、持ち帰り可能な商品の販売を始めるにあたり、菓子製造業の申請を行っている。実際にどのような許可申請が必要になるかは商品や製造工程によって異なるので、まずは相談してみよう。

鎌倉にある『きたかまくら日々響』は、漢方茶屋(カフェ)と自社サイトでのオリジナル漢方茶の通販、催事販売を組み合わせて展開しており、メディアへの露出も多い店舗である。横浜・川崎でチョコレートカフェを展開している『バニラビーンズ』は、元々小売業からスタートしているが、カフェと店頭物販・楽天でのインターネット通販をうまく展開しているよい例だろう。

続いて、他社に製造を依頼した自店舗に関連するオリジナル製品とは、例えば人気ラーメン店の味を自宅でも楽しむことができるラーメンセットや、人気カレーショップのレトルトカレーなどがイメージしやすいだろう。これらは飲食店が製造しているわけでなく、専門メーカーに製造を依頼している。このケースはメーカーと協力しながらオリジナル商品を開発できるメリットがある。しかし、メーカーの工場は一度に大量の製品を製造するため、ある程度の販売数量が見込めないと開発してもらえない、大量の在庫が発生してしまうデメリットがある。

そして、自店舗で使用している他社製品とは、例えば人気メニューに使っているこだわりの調味料や地元の農家から仕入れている野菜を販売するということである。比較的手軽に始められる反面、近くのスーパー等でも購入できる商品との差別化が難しく、利益も低くなることが多い。

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通販へのステップ

いざ販売商品が決まったら、まずは店頭で販売してみることを勧める。インターネット通販の場合は自店のホームページで販売する場合も、楽天やyahooなどのショッピングモールで販売する場合も、販売ページの作成や決済システムの導入、物流準備やSEO対策などでコストや時間がかかる。それに対して実店舗の場合は、陳列スペースさえあれば、すぐに始めることができる。値付け、セールストークなど色々試しながらお客様の反応を確認しよう。

店頭販売である程度の成果が出たら、インターネット通販に取り組む。保健所に確認を取って店頭販売をしている場合、通販開始にあたって改めて必要な許可申請は無い。自店のホームページで販売する場合は、ショッピングサイトの作成や決済システムを準備する必要がある。また楽天などのショッピングモールに出店する場合は、準備にかかる手間は少ないが、月額や売上に応じた手数料が必要になってくる。

飲食業と小売業は似ているようで異なる業種であり、しっかりとした事業計画を立てて実行することが必要である。一方で、インターネット通販に進出することで、売上アップや知名度向上にもつながる。専門家のアドバイスなども取り入れながら、挑戦してみてはいかがだろうか。

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若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/