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世界で愛される有田焼 ~やきものの歴史と特徴を知ろう~

2017年4月28日(2017年12月11日更新)

有田焼イメージ

料理とは切っても切り離せない関係の陶磁器。日本では全国各地で特色ある陶磁器が生産されており、伝統工芸品に指定されているものも少なくありません。
今回は、なかでも最もポピュラーで長い歴史を持つ有田焼の歴史と特徴をご紹介します。

有田焼の歴史

400年を超える歴史を持つ有田焼は、佐賀県有田町とその周辺地域で製造される磁器の総称です。
1616年頃、朝鮮から渡ってきた陶工たちによって焼成されたのがはじまりと伝えられています。

有田焼は、日本だけでなくヨーロッパを中心に世界中で愛されている製品です。ドイツの名窯マイセンに影響を与え、王侯貴族のコレクションとしても残っています。
そのきっかけは江戸時代に遡ります。当時、オランダ東インド会社は貿易品のなかでも中国磁器に力を入れていましたが、中国の王朝交代による動乱と貿易制限のため手に入れることが難しくなってしまいました。そこで代用品となったのが有田の磁器です。オランダ東インド会社は、有田焼を大量に注文するようになりました。

輸出用製品への要求は厳しく、それに伴い技術も進歩しました。中国磁器を真似て絵を付けた製品が作られるようになり、さまざまな絵付けの様式が発展します。また、磁肌には白さを求められたため、それに応えるべく陶工が開発を重ねた結果、現在の透き通るような白い素地が完成しました。実際に輸出先からの「雪のように白い磁器を」という注文指示が記録に残っています。

伊万里焼との関係

伊万里焼は、焼き物を産地名で呼ぶようになった明治時代以降、佐賀県伊万里市で焼成された陶磁器に大して使われていますが、もともとは有田焼を含む佐賀県や長崎県で焼成された陶磁器全般を指していました。
前述のとおり、江戸時代にはオランダ東インド会社が買い付けるなどして世界に輸出されるようになった有田焼ですが、製品を出荷する際に使われていた港が伊万里だったことから、輸出先からは「IMARI(伊万里焼)」と呼ばれていました。
つまり、もともと有田焼と伊万里焼は同じものだったのです。
「古伊万里」と呼ばれている器は、その時代に有田町でつくられたもののことを指し、明治以降に伊万里市でつくられた現在の伊万里焼よりも、一般的に価値があるとされています。

有田焼の特徴と様式

有田焼と言えば、色彩豊かな絵付けが特徴です。その華やかさは、それまでの日本のやきものと比べれば革新的であったと言います。
白い素地と藍色のコントラストが水墨画のような雰囲気の「染付」、色絵に金彩を施した「金襴手」など、いくつもの様式が生まれましたが、現在は主に「柿右衛門様式」「鍋島様式」「古伊万里様式」の3つに大別されています。特に柿右衛門様式や古伊万里様式は、その美しさから海外で好まれ輸出品として多く生産されました。

■柿右衛門様式
乳白色の素地の美しさをいかすため余白を十分にとった絵画のような作風が特徴。明るい赤を基調に緑・黄・青色などが使われ、動植物や花がモチーフとして多用されている。

■鍋島様式
佐賀の鍋島藩直営の御用窯でつくられたもの。主に幕府や諸大名、公家などへの献上品とするため特別に製作されていたため、格調高く完成度が高いと言われている。代表的な技法は、染付と赤・青・緑の三色を基調とした「色鍋島」、藍一色で文様などが精緻に描かれた「藍鍋島」、青磁釉をかけて焼成した「鍋島青磁」。

■古伊万里様式
「染錦」や「金襴手」など、赤や金を贅沢に使った様式の色鮮やかな磁器。絢爛豪華な作品はヨーロッパの貴族たちを魅了し、室内装飾品としても価値を持った。

陶器と磁器の違いって?

陶磁器とひとくくりにされることが多い陶器と磁器ですが、それぞれ原料や製法、性質が異なります。最後に、その特徴を確認しておきましょう。

■主原料
陶器・・・陶土
磁器・・・磁土

陶器は陶土が主原料ですが、磁器は陶石を粉にした磁土が主原料です。これにより、出来上がりのきめの細かさや滑らかさに違いが出ます。

■焼成温度 陶器・・・800度~1250度
磁器・・・1200度~1400度

磁器は陶器よりも高い温度で焼き上げます。もともと陶土よりも磁土の方がガラス質が多いですが、焼成温度が高い方がガラス質がより融解し強度が増します。このため、磁器は陶器に比べて硬くて割れにくくなります。

■性質
陶器・・・水を吸収する、熱を通しづらい
磁器・・・水をほとんど通さない、熱が伝わりやすい

前述したガラス質の働きにより磁器はほとんど水を通しません。それに対し、釉薬がかけてあることが多いため一概には言えませんが、陶器は水を吸収する性質を持ちます。また、陶器は熱を通しづらく、磁器は通しやすいという特徴もあります。そのため、磁器に比べ陶器はあたたかい飲み物が冷めにくいと言えます。


今回は、有田焼・伊万里焼についてご紹介しました。器の来歴や特徴を知ることで、新しい器の選定や提供する料理との組み合わせを考えるのも楽しくなりそうですね。


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