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ワトソン君を助手にしてあなたも一流シェフに!? 人工知能で作る斬新メニュー

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ついに人工知能でメニュー開発をする時代がやってきた。「シェフ・ワトソン」というアプリをご存知だろうか? これはIBMが開発したアプリで、使用したい食材を入力するだけで、これまでにない斬新なメニューを提案してくれるというもの。すでに、あの名店『レフェルヴェソンス』が、シェフ・ワトソンを利用した新メニューでフェアを開催するなど、飲食業界に新たな可能性を示している。

シェフ・ワトソンは、人間のように自ら学習・思考・分析を行うスーパーコンピューター「ワトソン」がベースになっている。IBMの創始者であるトーマス J.ワトソンにちなんで名づけられたこのコンピューターは、“もはや人間の脳よりも優れているのでは”と言われるほど優秀で、すでに三井住友銀行で働くことが内定。ゆくゆくは融資業務を担当する銀行マンとしての活躍が期待されている。

このワトソンに、9,000以上ものレシピや食品化学に関する知識、さらに人間の嗜好を記憶させたのがシェフ・ワトソンである。彼(シェフ・ワトソン)はこの膨大なデータをもとに、特定の食品がいかに作用し合うかを分析。私たち人間が思いもよらないような斬新なメニューを提案する。

使用方法はいたって簡単。まず料理に使用したい食材を選択する。食材は4つまで選択可能で、たとえば2つだけ選択すると、自動的にほかの食材が組み合わされる仕組みになっている。さらに日本料理やフランス料理といったジャンルの選択ができ、特定の成分を避ける機能もある。シェフ・ワトソンはこれらの選択条件をリアルタイムで処理し、多彩なレシピを瞬時に提案。材料の分量や作り方まで教えてくれるのだ。

実際に使用してみるとどうなる?

さてここからは、実際にシェフ・ワトソンでシミュレーションを行ってみたのでご紹介したい。選択した条件は以下の通りだ。

■食材
牛肉(リブアイ)、赤ワイン

■料理ジャンル
日本料理

食材には牛肉と赤ワインを選択。この2つの食材を選択した時点で、シェフ・ワトソンが、シナジー効果を得られるであろう食材として「緑茶」を勧めてきた。

面白そうなので緑茶を採用。すると、この3つの食材を使用し、さらに日本料理的な要素を加えたメニューとして、「Japanese Beef Rib Eye Braise」と題された料理が表示された。

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表示されたメニューはローストビーフのような見た目。画像は「IBM Chef Watson」のキャプチャ

メニュー名をクリックすると各材料の分量や作り方が表示される。英語ではあるが、かなり丁寧に作り方が解説されている。

肝心の緑茶はというと、どうやらソースの材料として使用するようだ。緑茶の持つコクを生かすのだろうか……。

今回はシミュレーションのみで実際の調理までは行わなかったが、評判通り、意外な食材の組み合わせをシェフ・ワトソンは提案してくれた。最後に、実際にシェフ・ワトソンを利用した『レフェルヴェソンス』のシェフ・生江史伸氏のコメントが印象的だったので少しご紹介したい。

「自分だけならば、決して生まれない素材の組み合わせを提案してくれる。ワトソン君と上手く付き合っていけば、メニューのバリエーションを増やすことに繋がるはず」(フェア開催時のコメントより)

料理は、人間が長きに渡り磨き上げてきた文化である。それだけに、コンピューターが人間の知識や経験に勝るまでにはまだ時間が掛かるだろう。しかし、シェフ・ワトソンの学習力、そして提案力は、料理界における固定概念を変化させるだけの可能性を感じることができる。近い将来、レストランのメニュー開発担当として、彼が採用される日がくるのかもしれない。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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