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2022-11-30 13:31:49.0

増え続ける飲食店スタッフの労災。ケガや事故を未然に防ぐには?

近年は飲食店スタッフの労働災害事故が増え続けています。厚生労働省によると、2011年に4,150人だった飲食店従業員の死傷災害発生数は、2018年に5,000人超、2021年に5,095人にのぼりました。ここでは、増加の一途をたどる飲食店での事故を防ぐために、気をつけるべきポイントや対策についてご紹介します。
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労働災害で特に多い事故とは

飲食店で発生する労働災害で特に多いのは、「転倒」「切れ・こすれ(切り傷)」「やけど(低温・高温の物に触れる)」「腰痛につながる無理な動作・不自然な姿勢」の4つです。

■転倒

転倒の原因で特に多いのが、床の水や油などによる「滑り」、障害物に引っかかることによる「つまずき」です。また、食材・料理・食器・ゴミなどを運搬する際にも転倒が多く発生します。床が濡れたり汚れたりした時は、滑って転ぶことがないよう、すぐに拭き取りましょう。また、清掃中の場所は床が濡れている可能性があるため、普段以上に注意して通るのが大切です。もちろん乾いた床で滑ることもあるため、急いでいても走らないようご注意を。

つまずきを防ぐためには、足が引っかかる物を通路に置かないよう、常に整理整頓を心がけてください。運搬中の事故は、前方や足元がよく見えないことで起こるため、大きい物や重い物は車で運ぶ、数人で手分けして運ぶ、何回かに分けて運ぶようにしましょう。通路が暗いと事故が起こりやすくなるため、十分な明るさを確保することも重要です。

■切れ・こすれ(切り傷)

事故の主な原因は、包丁やスライサーなどの刃物、割れた食器、開けた缶の鋭利な部分、食品加工用の機械です。刃物を使う際は手元から目を離さず、使い終わったらすぐに安全な置き方で所定の場所へ戻しましょう。刃物を使っている人とぶつかって切り傷を負う場合もあるため、人の後ろを通る際には声掛けを習慣にしましょう。スライサーを使う時は、押し棒を活用するようにしてください。

割れた食器は、目に見えやすい場所だけでなくシンクの中に入っている場合もあるため、ゴム手袋をはめて洗い物をすると安心です。串や割れた食器といった危険物がゴミ袋などに混入していることもあるため、作業中は長いエプロンや軍手を着用し体を保護すると安心です。

機械による切断・巻き込まれ・挟まれなどを防ぐためには、食品加工用機械の定期的な掃除や点検が欠かせません。機械に不具合が生じた際の確認・調整・修理、食材の出し入れは、機械が完全に停止した後にコンセントを抜いてから行いましょう。作業の終了後や機械から離れる時も必ず電源を切り、コンセントの抜き忘れがないよう注意してください。

■やけど(高温・低温の物に触れる)

やけどの主な原因は、油・料理・スープ・飲み物・熱湯など。熱いものを運ぶ際に転ばないよう、濡れた床を拭く、通路に障害物を置かないなど、清掃や整理整頓を徹底しましょう。熱いものを運搬する際は人にぶつからないよう、周りへの声掛けも忘れずに。

フライヤーを使う際は、長いエプロンや長靴、耐熱の手袋を着用することで油はねから身を守れます。油の交換などフライヤーのメンテナンス時に高温の油に触れてしまう事例もあるため、くれぐれも注意しましょう。コーヒーの抽出後にフィルターを出す際には、熱いコーヒーや熱湯がかからないよう慎重に作業してください。
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■腰痛につながる無理な動作・不自然な姿勢

重い物を持ち上げる、不自然な姿勢で作業を続けるなどの動作は腰痛を引き起こすことがあります。重い物は複数人で持ち上げる、運ぶ時は台車を使う、不自然な姿勢での作業には機械を導入するなどの対策を講じましょう。機械に頼れずどうしても不自然な姿勢を取らざるを得ない場合は、作業する椅子や台の高さが適切になるよう調節を。姿勢の不自然さが軽減するよう工夫したうえで、姿勢を変える時間や十分な休憩を確保する、交代制にする、途中で腰痛予防の体操を行うなど工夫しましょう。

必要に応じて腰に保護ベルトを装着し、定期的に健康診断を受けられる体制を整えることも大切です。また、気温が低いと腰痛の発生・悪化リスクが高まるため、店内が適温になるよう室温管理をしましょう。厨房内は暑くなりがちなので、熱中症にもお気をつけください。

飲食店では顧客満足度を重視するあまり、スタッフの安全がおろそかになりがちですが、店舗を順調に運営できるのはスタッフが健康だからこそ。スタッフの中から「安全の推進管理者」を選任し、安全な職場を目指すことが大切です。スタッフから「ヒヤリハット」の事例を聞き取るなどして、自店の労働環境を今一度見直し、事故防止策を考えたうえで、スタッフ一人ひとりの意識改革を進めていきましょう。