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【新型コロナ】飲食店の倒産、2020年は過去最多。居酒屋業態に大きなダメージ

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大により、首都圏4都県への2度目の緊急事態宣言発令で幕を開けた2021年。変異株が猛威を振るい、感染拡大の影響が飲食店経営に深刻な影を落とした1年だった。業態変換や新たな事業の創設に乗り出すなど、苦境からの脱却を目指す飲食店の積極的な動きも見られたが、未曽有の事態に閉業を余儀なくされた店舗は少なくない。

今回は企業の信用調査やマーケティングなどを行う「帝国データバンク」が今年1月に発表した、2020年の飲食店事業者の倒産動向に関する調査結果を振り返る。

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過去最多、780件の飲食店が2020年に倒産

帝国データバンクの発表によると、2020年の飲食店事業者の倒産件数は780件。これは、これまで過去最多となっていた2019年の732件を超える倒産件数だ。

飲食店倒産の倒産推移(出典:帝国データバンク)

業態別に倒産件数の内訳をみてみると、最多となったのが「酒場・ビヤホール」。全体の24.2%を占める189件もの店が倒産を余儀なくされた。こうした背景には、飲み会を始めとするビジネス利用の減少や、地方自治体による夜の時短営業要請などが影響していると考えられる。

これに続くのが、「中華・東洋料理店」(105件)、「西洋料理店」(100件)、「日本料理店」(79件)だ。「酒場・ビヤホール」、「日本料理店」、「喫茶店」(68件)に関しては、2000年以降で過去最多の倒産件数となっている。

業態別件数内訳(出典:帝国データバンク)

さらに、倒産した飲食店事業者を負債額別にみてみると、最も多かったのが「5,000万円未満」で全体の79.5%(620件)を占めている。次いで、「5,000万円~1億円未満」(86件)、「1億円~5億円未満」(61件)と続いており、小規模な飲食店ほど、苦しい状況に追い込まれているようだ。負債額が50億円以上の倒産は、2013年以降発生していない。

負債額別件数内訳(出典:帝国データバンク)

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コロナ収束の兆しが見え始めた2021年末。今後は?

国内におけるワクチン接種状況が進みつつあった9月以降、感染拡大防止と経済活動の両立を目指す動きが高まっていった。11月に入ってからは全国的に飲食店の時短営業が解除となり、各地でGoToイートのポイントや食事券の利用も再開され始めている。

とはいえ、現状の飲食店需要がコロナ前の水準に回復しているとは言い難い。また、これまで経営を下支えしていた協力金が終了となるなど、資金繰りへの不安は残る。今後は新しいライフスタイルに即したテイクアウトやデリバリーのさらなる強化、スマート化を目指した店舗運営への取り組みなどがこれまで以上に重要になってくるだろう。国や自治体による支援を活用しつつ、来年以降の新たな局面も乗り切っていきたい。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。