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『Rocks off』若林康史さんに聞く、「自然派ワインの魅力」と「良いワイン業者の見分け方」

最近じわじわと人気を集めている自然派ワインやオーガニックワイン。しかし、間違った知識や保管方法により、その魅力を損ねてしまっている飲食店もあるようです。

自然派ワイン。透明だがにごっているのがわかる

そこで、毎年フランスのワイナリーまで視察に行くという神奈川県藤沢市『ワイン&リカーズRocks off』の若林康史さんに、自然派ワインの魅力や、正しい取り扱い方についてお話を伺いました。

自然派ワインとオーガニックワインの違いとは?

若林さんと奥様、伊の生産者マルコ・ブラッティ氏

━━「自然派ワイン」と「オーガニックワイン」はとても混同しやすいですね。その違いはどこにあるでしょうか?

若林:オーガニックワインは、化学肥料や除草剤を使わずに作られた無農薬のぶどうを原料としています。ワインはビールや日本酒と違って、製造過程で水を加えません。なので、ぶどうが地中から吸い上げた水分がそのままワインになるんです。その水に、たっぷり農薬が含まれていたら……? ちょっと嫌ですよね(笑)。オーガニックワインは無農薬の畑で作られているので、そういう意味では安心ですが、醸造の工程では通常のワインと同じように添加物を使っているため、完全にナチュラルとは言えません。そこから一歩進んで、醸造も伝統的な方法で作られているのが自然派ワインです。無農薬のぶどうを天然酵母で発酵させ、酸化防止剤である亜硫酸塩やその他の添加物を、まったく、もしくはほぼ使わないで造られます。つまり、自然派ワインとオーガニックワインの大きな違いは、添加物ということになります。

━━ボトルを見て、違いを見分けることはできますか?

若林:見分け方のポイントとして総亜硫酸塩の量というものがあります。当店では50mg/リッター以下を自然派と呼んでいます。残念ながらエチケット(ラベル)に書かれていることはほぼないので問い合わせが必要です。

━━若林さんは10数年前から自然派ワインを中心に扱っておられますが、最近人気が出てきたと実感することはありますか?

若林:はい。昔は手に入れやすかったのですが、今は競争が激しくなってきていて、たとえば60本注文したのに20本しか仕入れらないというようなことはありますね。やはり、健康志向の方を中心に人気が高まっています。ぼく自身、毎晩妻とワインを2本飲んでいますが、自然派ワインだとまったく二日酔いしません(笑)。あとは通常のワインと違って、にごっていたり澱が浮いていたりするので、その見た目のショッキングさから「飲んでみたい!」という需要が高まっているようです。

━━若林さん自身はどういうところに魅力を感じますか?

若林:やはり面白さですね。大量生産のワインだと、作り手側の限界を感じるんです。格付けを意識して味を調整したワインだとどれも似たような味になってしまいます。自然派ワインは、添加物で味の調整をしたり、フィルターを通したりしていないので、ぶどうそのものの味わいと豊かなフレーバーが楽しめます。それに「三振か場外ホームランか」というくらい振り幅があるんです。ハズレもひどいけど当たりもすごい。ホームラン級のワインは価格的価値を超越してしまいますね。たとえば5000円のワインが数万円のワインとは次元が違うおいしさを感じさせてくれるんです。この面白さは通常のワインにはないものですね。

保管方法や提供など、取り扱いに気をつけることは?

自然派ワインはエチケットが賑やかなものも多い

━━自然派ワインは、瓶の中で酵母が生きているので「ナマモノ」と同じように保管に気をつけなければいけないと聞きましたが。

若林:そうです。当店のウォークインセラーは、12.5℃の設定です。業界でよく言われていることですが14℃以下での保管が望ましいです。亜硫酸塩の少ないワインは、酸化よりも熱の耐性にマイナスな面を見せますので、入手後は、その温度での保管に努めること。カウンターに出しっぱなしにしていると熱劣化してしまいます。この点で、日本の無添加ワインの生産者たちが、実は、結構怒っています。フラッと立ち寄った飲食店さんで、常温のまま置かれていたり、SNSの写真で、カウンターに放置された自分のワインを見たりしてショックを受けているのです。自然派ワインは繊細なので、慎重に扱ってほしいですね。

━━保管同様、お客様に提供するときにも注意が必要なのでしょうか?

若林:自然派ワインは、気圧に左右されるんです。雨の日と晴れの日でもワインの味が違います。また、飲み頃もワインによって異なります。開けてすぐおいしく飲めるものもあれば、生きた酵母が空気に触れたときに独特の匂い(還元臭)を発するので、翌日以降に飲んだほうがいいものもあります。個体差があるので、自宅で何度か飲んだり、自然派ワインを出しているお店に聞きにいったりして、知識と経験を積んで慣れる必要があります。

━━飲食店が「初めて仕入れよう」と思ったときに、良いワイン業者を見分けるポイントはありますか?

若林:仕入れ先は、たいてい、業者卸かインポーターになると思います。業者卸の場合、自分でワインの勉強をしなければなりません。インポーターなら、仕入れたワインを味見しているので、その日のコンディションや飲み頃について教えてくれるはずです。ワインの知識に自信がないという方にはおすすめですね。まず自然派ワインを中心に輸入しているインポーターに問い合わせて、自分の商圏内にある酒屋を紹介してもらうのが良いでしょう。自然派ワインに力を入れているインポーターでも、ほとんどは他のワインも扱っているので、「あのインポーターから仕入れたから自然派ワインに違いない」と誤解しないよう注意は必要ですね。

━━なるほど。自然派ワインは少量生産のところが多いので、ほしい銘柄がないこともあるのではないですか?

若林:それは大いにあります。自然派ワインはフレキシブルな買い方をするものなのです。たとえて言うなら、農作物を市場に注文する感覚に近いですね。毎回同じものが買えるとは限らないので、ワインリストもきっちりと作りこまないで、柔軟に変更できるようにしておくほうが良いでしょう。

自然派ワイン初心者におすすめの一本

若林さんおすすめの一本「ヴァンクゥール・ブラン」

━━自然派ワインの中で、若林さんおすすめの銘柄はありますか?

若林:王道は「ピエール・オリヴィエ・ボノーム/ヴァンクゥール・ヴァンキュ ブラン」ですね。通常のワインとの違いが明確にわかると思います。自然派ワインは、白のほうがわかりやすいんです。というのは、白のほうが発泡しやすいので、赤より多めに酸化防止剤が入っているんですね。そうすると味が引き締まって、アタックが厳しく、酸を強く感じるのです。ところが自然派の白はなんとも言えないくらい「ほんわか」しているんですね。この違いが楽しめる一本です。通年とはいえませんが、1年のうち8カ月くらいは比較的安定して手に入りますし、値段も飲食店が手を出しやすい価格帯になっています。この銘柄の2015年版は、二次発酵で微炭酸になっていますが、自然派ワインを扱うならそれを笑って楽しめるようなおおらかさも必要だと思いますね。

━━自然派ワインと合う料理などはありますか?

若林:個人的な意見ですが、やはり、ほぼ無農薬、無添加で作られているワインなので、可能な限り手作りの料理と合わせてもらいたいですね。天然酵母が生きているので、キノコなどの菌類やチーズなどの発酵食品とも合いますし、「うまみ」成分がたくさん含まれているので、出汁や味噌との相性も良いんです。ぜひ試していただきたいですね。

今回は神奈川県藤沢市の『ワイン&リカーズRocks off』の若林さんに、自然派ワインの魅力と、取り扱い上の注意点について伺いました。自然派ワインを仕入れる際にはぜひ参考にしてください。

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