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「物件探しの2つの落とし穴」 (第8回)

条件よくても時間がかかる?


 物件探しにはプロがいる。それが不動産屋だ。
独特の商習慣を持つ不動産業界で、よりよい条件の物件を見つけ出すには、自分ひとりのチカラではどうにもならない。
自分の分身として、条件にあった物件を必死で探してくれるパートナーを見つけなければならない。

 ところが、実際に物件探しをしている人の中には、「なかなかいい物件が見つからない」と嘆く人も多い。それはなぜだろうか?

 ある開業希望者は、現在進行形で物件探しを続け、もう1年半にもなると言う。
彼女は、駅から5分圏内に15坪程度のカフェ&ベーカリーを始めるための物件を探している。
家賃の希望も相場を少し下回る程度でムリがあるわけではない。
そのため、条件に合致する物件が何軒かあり、その都度足を運んでいるが、「しっくりこない」と悪戯に時間が過ぎ、現在に至っている。

 彼女は2つの大きな間違いをしている。それを改善しなければ、まだまだ時間がかかってしまいそうだ。


物件探しは業者探しから


 まず一つ目の間違いは、不動産屋を最初から1軒に絞り、その担当者にまかせっきりにしていることだ。
仕事をしながらの物件探しのため、まとまった時間を作れないことは最初から分かっていた。
そのため、知人が開業したときに利用した不動産屋を頼ったのだ。

 最初は毎週のように物件情報がファックスで届けられ、週末のたびに担当者と忙しく物件を見て回ったが、ファックスの枚数は段々と減少していき、今では月に数軒程度、ゼロの月もあるという。

 以前は、「不動産屋は早めに絞り込み、親身になって探してもらう」のが基本だった。
ところが、飲食店が飽和状態となり、たくさんの店が開業する一方、採算が合わず閉店するところが多い現在では、物件の流れが速くなり、より多くの情報をいかにスピーディに入手できるかがカギとなる。
そのため、ひとつの業者に頼るのではなく、いくつかの業者とうまく付き合うことも重要になってきた。
もちろん業者を絞り込むことがすべて間違いというわけでなないが、アンテナの数は多い方が、より多くの情報を得ることができるのは周知のとおりだ。

 もし少ない業者と深い関係を築いていきたいなら、まず業者をよく選ぶことが重要だ。
不動産屋の中には、事業用の物件を専門的に扱うところがある。
それらは、広範囲で多数の物件情報を扱っている上、契約後の内外装工事業者や融資を受けるための手続きまでもサポートしてくれるところが多い。
そういった業者であれば、複数の不動産屋と付き合う以上にメリットが多いといえるだろう。

 何にしても、よく考えずに不動産屋を選ぶことは避けるべきだ。


イメージはすり合わせる


 次に、もうひとつのミスを考えたい。

 それは、実際に物件を見に行ったとき、どこがイメージと違うのか、具体的なことを何も伝えないことだ。
自分の中にあるイメージを他人と共有することは非常に難しい。
不動産屋に行けば、最初に探している物件の条件を伝えるが、それだけで共通のイメージを描けている可能性は非常に低い。
どうしてもできてしまう隙間を埋めるには、物件を見たときに、
 「このドアの感じはイメージに合う」
 「天井が低くてイヤだ」
 「近くにライバルがいるので避けたい」
などと、細かく伝えていくことしかない。
これを「面倒だ」とか、「細かいことを言って嫌がられるのではないか」と勝手な思い込みをしたのでは、いつまでもピントのずれた物件しか紹介してもらえないことになる。

 そして、それを繰り返していると、契約につながる可能性が低いと判断され、わざわざ物件を探して紹介するのではなく、たまたま不動産屋間でめぐっている物件に条件に近いものがあったときのみ、連絡がくるようになってしまう。

 さらに、その情報に返事をしなくなれば、不動産屋との関係は自然に希薄なものとなり、自然消滅するまでにそれほど時間を必要としない。


時間の不安に打ち勝って


 物件探しは時間がかかるものであり、また多くの場合、いくつかの妥協をしなければならないものだ。いつか思い描いた物件が見つかると、よほどの強い意志とたっぷりな時間があるのであれば別だが、多くの人は時間の経過とともに不安に駆られ、判断を誤ってしまう。
前出の彼女の場合、だんだん開業への熱意が冷めてしまい、逆に「物件探しにすらこんなに時間がかかってしまうのだから……」と余計なことを考えるようになり、いつの間にか自信がなくなってしまった。
他にも、物件を契約し、店をオープンさせることが最大の目標になり、肝心の営業開始時には、すっかり燃え尽きているケースも珍しくない。

 どうせ時間がかかるにしても、その期間をできる限り有意義に過ごしたい。
そのためにも、まずは業者との関係を密なものにしておくことに多少の労力を注ぎたいものだ。
それが時には自分の意思を再確認することにもなり、情熱を冷まさない最大の秘訣となることもある。
準備の段階から、すでに経営はスタートしているのだ。


■コラム
本当のゴールを見失って……

本文中でも触れたが、開業自体が目標になってしまう人は意外に多い。

30代半ばの男性が独立を決意した。
希望の物件が見つかり、融資の書類を作ったり、工事の打ち合わせをしたりと慣れないことの連続。
毎日のように工事中の店に足を運び、希望に胸を膨らませた。
メニュー開発に力を注ぎ、「やっと作りたい料理が作れる」と張り切った。
工事の遅れ、備品の不足と最後までバタバタのオープン。
シャッターを開けながら、感激の涙を流し、声をかけた友人知人でいっぱいの店を見て、達成感を感じた。
その後、店は常に火の車だったが、「俺は夢を手にした男」と満足していた。
「何とかしなければ店を閉めることになる」と実感したのは半年後。
でも、時はすでに遅かった。
開業までにはたくさんの苦労があり、いつの間にかそれをクリアしていくことが目標になり、オープンがゴールになってしまった。
彼は、「高いお金を払って天国を見せてもらった」と話す。
悲しいけれど、現実の話だ。

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