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居抜きの利点をフル活用する見極め力 (第36回)

【格段に安い初期投資】

最近、居抜き物件が増えている。以前は、スケルトン状態の物件が多かったが「小規模飲食店は、居抜き物件の方が次の借り手を見つけやすい」というのが定説になった。
居抜き物件は、店舗の内装にかけるコストが格段に安い。

 内装を新たに造ると数百万円かかるが、造作譲渡として一括して引き渡しされるため、数分の一ですむのだ。
中には、造作譲渡が無料という物件も出てきている。

 そのまま利用するのであれば、設備費はゼロ。炊飯器などの小さな機器類と調理器具、食器類を揃えるだけで良い。
現業中の物件を譲り受けた場合、それら備品でさえ不要なこともある。


【自分で作業しコストカット】

ある男性は、学生の頃から仲間とバンドを組み、青春を謳歌していた。
インディーズでCDを出し、ライブ時にはそれなりにお客が来るようになったが、その後の方向性に違いを感じ脱退。
年齢は25歳。「自分のスタイルで生きていきたい」と考えついたのが、飲食店の経営だった。

 彼が通っていた学校は、調理の専門学校。調理師の免許をすでに持ち、腕には多少の自信があったのだ。
決して適当な想いで開業を考えついたわけではなかった。

 親に頭を下げ、手にしたお金が150万円。
これに自分が貯めた資金を足して200万円強の資金を元手に物件を探し、ラーメン屋の居抜き物件を見つけた。

 造りたかった店は「食事のできるバー」。ところが物件はオシャレ感ゼロ。
壁は茶色く古ぼけ、カウンターは赤っぽい合板でいかにもラーメン屋。
それでも、付近の相場に比べて格段に安く「手を加えれば何とかなるかも」と契約した。

 カウンターは残し、壁は自分で黒に塗り替え、黒と赤を基調とした店内にした。
量販店で購入したクリップランプを店内に取り付け、愛用のギターや音楽CDを飾ると、それなりの雰囲気になった。
ただ、物件契約、食器などの購入、リフォームの材料費で、資金はなくなった。
厨房は、まったく手をつけられなかったが、それはやむを得ないことだった。


【広い厨房と狭い客席の矛盾】

当初、多少高級感のある店を造りたかったが、内装に合わせ価格設定を低めにした。
そのせいか、来客数は多かった。
しかし、カウンター席しかない店は、3人組であれば対応できたが、4人以上のお客には対応できなかった。
それでも来客が多かったのは、ラッキーだった。

 料理にもこだわり、お客の評判も上々だったが、バーとしてのイメージが強く、二次会需要が多かった。
そのため、フードメニューの構成比は低く客単価が伸びない。となると、もっと客席が欲しくなる。
ところが、客席フロアにはそんな場所はない。
店頭に椅子とテーブルを出したが、すぐに警察に注意されてしまった。

 一方厨房は、作る料理の量に不釣り合いな程広かった。ラーメン屋の頃は、厨房に複数の人が入る設定だったらしい。
敷地の3分の2が、厨房とストックスペースという造りだった。
使用していないゆで麺機や低い位置のコンロなど、使わない什器がそのままだったが、スペースが広かったので作業に支障はなかった。

 ただ、スペースが足りない客席を目にしながら、厨房を忙しく動き回っていると、釈然としない気分になってくる。
スペースがありあまった厨房が恨めしい。
一度疑問を感じると、それがストレスとなり他のことも気になってしまう。
広い厨房はムダな動きが多く、それが時間のロスとなる。
無用にお客を待たせてしまうことが、売上げの伸び悩みにつながっている気がして我慢ならなくなった。

 すぐにでも移転か改装をしたいが、小さな店なので利益額は少ない。
移転の費用を貯めるには、時間がかかりそうだ。

 居抜きでは、多少の改装をすることがあっても、厨房とフロアのスペースを変更するような大掛かりな改装をすることはない。
変更しやすい所と、できない所を見極めることこそ、居抜き物件の利点を最大限に活用できるコツなのだ。


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