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居抜き物件は本当に得か? (第61回)

【イニシャルコストを大幅カット】


 最近特に注目度の高い居抜き物件。スケルトン状態の物件から店舗を造るより、初期にかかるコストが安く済むのだから、当然だ。
 飲食店の場合、特殊な設備を要し、特に給排気と排水の設備は大きなコストがかかってしまう。また、厨房の防水加工や防火に配慮しつつ、営業許可の下りる厨房を造らなくてはならないため、お客から見えない部分であるのに、軽々しくコストカットできない。こう考えると、すでに営業許可が下りている物件を選ぶ方が賢明だと言える。



【汚れていても動作環境は快適】


 Aさんは、居抜き物件でラーメン店をはじめた。約3年の間、別の人がラーメン店を経営していたその物件は「衛生面でトラブルがなかったのが不思議」というほど汚かった。コンロ周りのステンレスには油がこびりつき、フードも色が変わり、なぜか床を歩くとベタベタした。
 一つひとつの厨房機器を細かくチェックすると、オープン時にどれも新品で購入しており、動作にはまったく問題がない。欲がないのか、汚れていることに気後れしているのか、造作譲渡料はわずか30万円という破格値。あれこれ考えたが、立地がいいことも加味し契約を決めた。
 新たに購入したのは、食器類と備品のみ。什器類は、そのままで十分だった。ただ、徹底的に掃除をしなければ調理をする気にもなれない。2週間かけて壁を磨き、床を洗い、薄汚れたカウンターは削って化粧合板を張り付けた。厨房機器も徹底して清掃したことで新品のようになり、「あの汚れは何だったのか?」と思うほど、ピカピカになった。厨房機器は10年以上使えるものも多い。汚れているとはいえ、まだ3年しか使っていないのだから、動作環境は快適だった。
 約1年後、Aさんは止むを得ない事情で店を移転することとなるが、その時には店舗造作を70万円に設定し、「安い」と言われたそうだ。



【機器は長い目で見て判断を】

 ところが、逆のパターンもある。
 Bさんは、カフェバーができる物件を探し、駅に近いビルの地下に物件を見つけた。元々は、こだわりのカレーを特長にするオシャレなカフェが長年あった物件。リニューアル移転するために撤退した空き店舗で、オープンから10年経っているとは思えないほどキレイだった。
 厨房も油汚れ一つない状態で、機器類も問題なく作動するとのこと。Bさんは、契約時に機器類の通電確認を行うとの条件にも納得し、迷うことなく契約した。
 契約の日、すべての電気機器類はスイッチを入れ、動くことを確認。ただ、冷蔵庫などは「冷気が出てきた」というだけでOKし、再びスイッチを消した。
 オープン準備を始め、再びスイッチを入れたが、冷蔵庫の冷えが甘い。4枚ドアの大型冷凍冷蔵庫で、ドア1つ分が冷凍庫になっているが、ここが十分に冷えず、冷蔵庫と変わらない温度にしかならない。慌てて修理を依頼したが、型番が古く部品がそろわない。しかも燃費が悪いからと、節電タイプのものを熱心にすすめられた。Bさんは、光熱費や修理コストを考えると、買い替える方が賢明と判断した。
 新しい冷凍冷蔵庫はかなり安くしてもらったものの、厨房の奥にあるため搬入も一苦労。カウンター前の仕切りを一旦外すという大掛かりな作業となり、工事費もかかってしまった。
 冷静に考えれば、機器のほとんどは10年以上の月日が経過している。メンテナンスが行きとどいているとはいえ、その後、順番に入れ替えが必要になってくるのは間違いない。そこまで計算していなかったと嘆いても、それは後の祭だ。
 居抜き物件は、イニシャルコストを低く抑えるメリットがあるが、中古であることを十分に理解し、事前の確認とその後のコストまで見越しておきたい。そうしなければ、逆に損をしたということになりかねない側面もあるのだ。

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