元金融マンが積年の夢を叶える！ 音楽が楽しめるカフェ＆バー『カブトピアノ』が開業するまでの道のり

「好きな音楽を聴ける店を作りたい」と飲食店未経験から一念発起

金融業界で証券アナリストとして働いてきた板崎さん。「セカンドライフでは大好きな音楽に浸れる店を経営してみたい」という想いがずっと以前からあったという。そしてあるとき、オーディオショップで出会ったスピーカーに惚れ込んだところから、「音楽カフェ＆バー」が自分の中で具体化していった。

「まだ金融の仕事をしていた頃に見に行ったショップで偶然に出会いました。気に入ったのは、英国のATC社というメーカーのフラッグシップモデルです。見た目も美しく、パワー、音色すべて理想的でした」

その後、開業の意志を固めた板崎さんは、まず情報収集を始めた。「店の候補地を検討したり、物件の情報を見たりしていくうちに、先にデザイン会社を探してみようと思いました。物件を探すときに同行して、専門家の立場から意見を言ってくれるような人がいれば心強いと考えたからです」。そこで、物件の情報検索で閲覧していた「飲食店.COM」の姉妹サイト「店舗デザイン.ＣＯＭのマッチングサービス」に登録をしてみたのが、2016年10月のことだった。

スケジュール＆業社選定

【2016年10月】店舗デザイン.COMに登録し、デザイン会社探しを開始
【2016年10～11月】デザイン会社選び
【2017年3月】物件探し
【2017年5月】物件契約
【2017年5～6月】内装デザイン決定
【2017年7～8月上旬】内装工事
【2017年8月17日】オープン

デザイン会社選定／店舗デザイン.COMのマッチングサービスを利用
デザイン会社／株式会社クスクス
資金調達／自己資金

デザイン会社を先に選び、物件探しにも協力を仰いだ

マッチングサービスに登録すると、10件以上のレスポンスがあった。3社と実際に会って商談し、そのなかの1社を選んだ。

「マッチングサービスで一体どんな返信が来るのだろうと思っていたら、各社さんとも意外なほどこちらの知りたい情報をしっかり伝えてくれました。そのなかでもクスクスさんは作品例が私の描いていたイメージに近かったことと、レスポンスが早くて意思の疎通がしやすかったことで、決めました」

こうして開業準備のアドバイザーを得た板崎さんは、物件探しをスタート。自分が土地勘のある東横線沿線で「祐天寺」「学芸大学」「都立大学」あたりの駅から近い物件を探した。「最初に紹介を受けたのがこの物件でした。条件も想定内だったので、その後はスピーディーに進んでいきました」と板崎さん。

デザイン会社と話すうちにコンセプトが「北欧風」に固まった

「いい音で音楽を聴けるカフェ＆バーでありながら、誰でも気軽に訪れやすく、特に女性に好まれるようなお洒落で明るい雰囲気の店にしたいと考えました。クスクスさんと打ち合わせを重ねていくうちに、ノルウェーのオスロ空港のような北欧風デザインでいこうということになりました」

白い壁と白木の家具でまとめられ、一見さりげない雰囲気だが、よく見るとディテールにこだわっている。「オリジナルのソファとイスの座面に張った『ミナ・ペルホネン』の生地がデザインのポイントです」と板崎さん。少しずつ柄の違う多様なパターンのファブリックが陰影をもたらし、空間に遊び心と上品な落ち着きを与えている。また、エントランスから店内までの数メートルのアプローチには、音楽シーンのパネルが黒い壁にライトアップされ、明るい空間へと誘うドラマティックな演出がされている。

「最もお金をかけたのはオーディオセットです。ATCのスピーカー、マッキントッシュのアンプを採用しました。一方で厨房など見えない部分ではできるだけ節約しました」

店は12時にオープンし、ランチ、カフェ、17時以降のバータイムと通し営業。バータイムにはバーテンダーが作るモヒートなどのオリジナルカクテルがおすすめだ。バーボンやラムの希少銘柄も扱っている。

「店舗物件探し、内装工事など、開店までは自分の思い描いた通りに進んできました。でも大事なのはもちろん、これからです。ターゲットとしているお客様にこの店の情報をどう届けていくか、どんな風に活用していただくか、昼と夜それぞれのメニュー開発など、3年は頑張るという心づもりでじっくり取り組んでいきます」

開業する方へのメッセージ

最後にこれから開業する方にむけてのメッセージを聞いた。

「まだスタートラインに立ったばかりで、自分自身もこれからチャレンジの日々ですが、開業までに限って言うとすれば、妥協せず、自分のイメージをとことん実現させるのがいいと思います。悔いのないような店づくりが、その後のがんばりの支えになると思います」