数々のブランドを打ち出し飲食店出店を加速化。急成長するオークニ商事株式会社の歩み

会社を設立して1年後に最初の飲食店を出店

尾張良介氏は、2008年にコンサルティング会社としてオークニ商事株式会社を設立。過去に飲食業界で店舗経営の経験があったことから、2009年文京区湯島に『九州料理・焼酎ダイニング 一慶隠蔵』を出店して飲食事業に進出した。

「飲食店なら出せば儲かるという思惑があったのですが、現実にはそうはいきませんでした。6か月近く赤字が続き、自分のコンサルティングの売上で赤字を補填していました」

しかしその後、「いいものを安価に提供する」という基本に立ち返り、次第に経営は上向いたという。2012年には愛宕グリーンヒルズに姉妹店を出店。森ビルへの入店をしたことで、その後の店舗展開に弾みがついた。2015年にはお台場ビーナスフォートに300坪の大型店『産直鮮魚　魚米屋』出店を果たした。

飲食事業の拡大にあたり、マッチングサービスでデザイン会社を探した

2017年、池袋に若者をターゲットとしたお洒落で気軽なワインバルを出店するにあたり、今までと違う新しい感覚のデザイン会社を探そうと思い、店舗デザイン.COMのマッチングサービスに登録した。そこで出会ったのが、株式会社テクノス。

社歴が長く豊富な実績があり信頼できる会社だと感じたこと、デザイン事例を見て新店を任せたいと思ったことが依頼の決め手だった。その後テクノスは現在まで継続して新店舗のデザインを担当している。写真は、『鮮魚・釜飯ヒカリ屋 大崎ニューシティ店』（2018年オープン）。

2019年、出店ペースがさらに上がると、テクノスを含めた既存の取引先では新店のデザイン・施工を請け切れなくなった。そこで再度、店舗デザイン.COMで新たなデザイン会社を探し、株式会社エスパースジャパンとの取引が始まった。そして3月にオープンしたのが『ひかり屋　パトリア品川店』である。
エスパースジャパンとも、継続的に取引が続いているそうだ。現在までにオークニ商事がテクノス、エスパースジャパンに依頼した店舗は以下のとおり。

■テクノス
　・サカナメルカート　WACCA池袋店（2017年10月）
　・サカナメルカート　愛宕グリーンヒルズモリタワー店（改装）（2017年9月）
　・鮮魚・釜飯　ヒカリ屋　大崎ニューシティ店（2018年8月）
　・鮮魚・釜飯　ヒカリ屋　柏高島屋店（2018年11月）
　・魚米屋　ビーナスフォート店（改装）（2018年）
　・とんかつと釜炊きご飯　ゆきひら　イオン碑文谷店（2019年4月）
　・とんかつ　かつ良　イオン茅ケ崎店（2019年7月）
　・とんかつ　かつ良　イオン鎌ヶ谷店（2019年6月）
　・とんかつ　かつ良　イオン河辺店（2019年8月）
　・釜揚げ讃岐うどん　きぬさ屋　イオン河辺店（2019年8月）

■ エスパースジャパン
　・ひかり屋　パトリア品川店（2019年3月）
　・とんかつ　かつ良　府中フォーリス店（2019年6月）

細かいイメージや予算枠を告げず、プランニングを一任

尾張氏のデザイン会社との付き合い方には、一貫したスタイルがある。プランを依頼するときに新店の基本イメージを伝えるが、あまり細かい指定はせず、予算も決めずに一任するということだ。

「予算を設定するとその条件下でのデザインや仕様になってしまい、ベストなプランではなくなってしまうからです。もちろん、上がってきたデザインに対しても値引き交渉はしません。今までの経験から、そのほうが生産性が高いし、結果もいいと感じています」

このように信頼して任せる仕事のスタイルも、スピーディーな出店のために欠かせないことだろう。

社員の割合を増やし、福利厚生を充実させて人材を確保

オークニ商事では、従業員の待遇アップにも力を入れている。

「2018年位から福利厚生の充実に力を入れています。まず社員の割合を増やし、社員に対しては高い給与と休日の確保を実現しています。社員の定着率の高さもハイペースの出店を支える要素です」

待遇は店長クラスで500～600万円程度、休日は週２日に近いという。店舗間の社員の移動はあまりなく、任せた店舗で一定期間じっくり取り組んでもらうそうだ。

開業する人へのメッセージ

最後に尾張氏に、開業する方へのメッセージを伺った。

「飲食店を出店するとき、最初は何もわからず不安だらけかもしれません。わからない状態から抜け出し自分で判断できるようになるためには、勉強することです。経営者と会ったり本やネットの記事を読んだり、あらゆる機会を活用して自ら学び続けることが大切なのではないでしょうか」

今後もさらなる店舗展開を予定しているオークニ商事株式会社。続く新店舗にも注目したいところだ。