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飲食店の「雨の日」集客対策。客足を維持するための3つの方法と心がけたいサービス

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雨がちになる6月は、ゴールデンウィーク後の客足の落ち込みと重なるので、飲食店にとってはダブルパンチ。「雨の日の集客」に頭を悩ませる店主も多いはずだ。じつは、6月の雨シーズンに備える対策は1~2ヶ月前に始めることが望ましい。なぜなのか? そして効果的な雨の日対策とは……?

ということで、飲食コンサルタントの白岩大樹氏に、とっておきの秘策を紹介していただいた。

飲食店で「雨の日クーポン」を配るのがNGな理由

多くの方が思いつくのが、雨の日にご来店のお客様に「ワンドリンクサービス」や「10%割引」のクーポンを提供すること。しかし白岩氏は、この方法はあまりおすすめできないという。

「天候を見てから、『雨だから今日はサービスします』とSNSで発信するのは簡単ですが、どこの飲食店でも実践していることなので目を引くのは難しいと思います。それにこうした雨の日のサービスは、『他店が10%割引なら当店は15%割引』といったような、差別化のないサービス競争に陥りがちです。また、不特定多数にサービス券を配布した場合には、『特典目当てに1回だけ来店してみようか』という人が訪れますが、そういうお客様はリピートしません。単純な『雨の日クーポン』はできるだけ避けたいところですね」

誰でも普通にやってしまいそうな雨の日対策にまずはダメ出しをして、白岩氏はさらに続けた。

「一番いけないのは、雨でヒマだからとスタッフに雑用やお掃除などをさせてしまうことです。そんな日にきてくれたお客様は『雨でヒマそうなのにオーダー取りに来ないし、お料理も遅い』と不満を感じ、もう再来店してくれないでしょう」

1、雨の日でも来店してくれたお客様にまず満足してもらうことを意識してサービスを

雨のシーズンに備えるためには、もっと前から周到な準備をしていくことが大切だそう。

「梅雨シーズンのための対策は4月、5月から始めましょう。まずは、雨にもかかわらず来店してくださったお客様を精一杯おもてなしすること。雨の日はお客様も少なめなので、そんなときはフロアに出て積極的にお客様と会話するなかで、『なぜ雨でも来てくれたのか』の背景をリサーチしてみましょう。おそらく『帰宅する通り道』『近くの会社に勤務している』というように、近隣の方が多いはずです」

近隣に住んでいる、または近隣で働いているお客様はリピーターにもなりやすい。お客様の印象に残るように精一杯のもてなしをしたいところだ。

「さらに、『今日は雨の中ご来店いただいたのでこちらのデザートをサービスします』とサプライズで特典を提供。お客様に『今日来てよかった』と思っていただくことが大切です。そしてメールアドレスやLINEのIDをいただく、またはフェイスブックで友達申請をするなど、お客様と何らかの形で繋がるように努力しましょう」

2、雨の日に来店してくれるお客様の属性を把握し、それに沿う対策を練る

さきほど白岩氏が語った通り、梅雨の集客対策は4~5月から始めることが大切。具体的には、雨の日に訪れるお客様の属性を把握し、そのうえでターゲットに合わせた雨の日のサービスを検討する。誰彼かまわず集客するのではなく、狙いを定めたうえで集客するのが鍵というわけだ。

ちなみに以下の属性のお客様はリピーターになりやすい傾向にあるので、4~5月の雨の日に、このようなお客様が多く訪れているようならチャンスだ!

・近隣の方…雨の日の来店が最も期待できるグループ
・お一人様、年配の方…一度気に入ったお店にはリピートしやすい
・カップル、グループ…いつも決まった場所でデートや定例会をしている

白岩氏はさらに続ける。

「雨の日でも来ていただけるお客様を獲得できそうな、『近隣』に対してはさらに積極的なアプローチもおすすめです。『近隣にチラシをポスティング』もいいのですが、日中にオフィスビルにあいさつ回りをしながらサービス券とチラシを配布する『外回り営業』をすればより効果的です」

3、「雨の日にやることマニュアル」を作る

雨の日は、その日の集客ばかりに注力するのではなく、次に繋がる行動を取ることが大切だと白岩氏は語る。

「雨の日単独でお客を呼ばなくても、飲食店は月単位で売上を立てられればOKです。この視点に立って『雨の日にやるべきこと』を考えましょう。一番大事なことは来てくれたお客様を大切におもてなしすることですが、それでも時間が余った場合は『顧客リストにご挨拶メールを送る』などの作業をおこなうのがよいでしょう。ただし『雨の日のサービスをおこなっているのでご来店ください』といった内容をメールするのではなく、たとえば『時間を持て余す雨の日だからこそ、改めてお客様に感謝しています』というようなご挨拶ハガキを手書きで作ることを私はご提案しています」

手書きのハガキは、メールなどとは違いお客様の印象にも残りやすい。時間があるときはぜひ実践したい作戦だ。また、こうした雨の日にやるべきことをスタッフで共有できるよう、マニュアル化しておくことも大切だという。

「雨の日であっても、お店の中の雰囲気が外から感じられるお店は入りやすいです。入口に傘立てを置くのは当然として、雨だけどあえて扉を少し開けておくとか、窓を開けておくなどして、店内の音や温度が外から感じ取れるようにするといいですね。これらをまとめた『雨の日マニュアル』を作って、スタッフ誰でもできるようにしておきましょう」

白岩氏は以下のような、スタッフ向けの「雨の日マニュアル」を作ることを提案してくれた。

【雨の日マニュアルの例】
1、傘立てを準備し、入り口は入りやすい雰囲気かチェックする
2、ご来店のお客様に「本日は雨にもかかわらず…」とお礼を述べる
3、「雨の日サービス」をプレゼントして、会話をしながら顧客カードの記入をお願いする
4、空いた時間があったら既存顧客へのハガキ「雨の日レター」を手書きする
5、お客様情報の打ち込み作業

今回は、飲食店の集客を手掛けるコンサルタントの白岩大樹氏にお話を伺った。単純な「雨の日クーポン」よりも効果がありそうな対策の数々、すぐできるものも多いので、ぜひ活用していただきたい。

shiraiwa_daiki
『アップ・トレンド・クリエイツ』 代表 白岩大樹氏
1976年熊本生まれ。中央大学卒業後、板前として「なだ万」に勤務。2000年より『牛角』のスーパーバイザーを務め、2004年より、OGMコンサルティングにて集客コンサルタントとして活躍。2009年アップ・トレンド・クリエイツ設立。「汗を流すコンサルタント」として、飲食店アルバイトをメインにコンサルティングを展開中。現場を直接動かすスタイルで数々の収益向上を実現している。
http://upt-c.jp/

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ほんだこはだ

ライター: ほんだこはだ

グルメ、ライフスタイル、旅、恋愛、まちづくりなどの記事を各種サイトに執筆中。大手グルメサイト、ローカルビジネスサイトで多数の飲食店取材を経験。オシャレ食材を家庭料理にして食べるのが趣味。