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人手不足を解消する救世主に!? 繁盛店に聞く、外国人労働者を雇用する際の「メリット」と「注意点」

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外国人スタッフを積極的に採用している『鳥一代 本店』

飲食業界は人手不足の状況が続いている。募集を出しても応募が集まらなかったり、せっかく採用してもすぐに辞めてしまったり……。飲食店の多くが、人材の確保に苦労しているのではないだろうか。

そんな最近の飲食業界で、人手不足の新たな解決法として注目を集めているのが「外国人労働者の雇用」だ。主にコンビニや大手飲食チェーンで行ってきた外国人労働者の雇用だが、最近は小規模な飲食店でも外国人スタッフが働くのを目にするようになってきた。

しかし言葉の壁や文化の違いなど、外国人を雇用するには様々な問題がある。もちろん法律的な問題だってあるだろう。そこでここでは、外国人労働者を雇用する際のポイントについて、「参鶏湯」などで有名な『鳥一代グループ』の代表・山﨑一彦さんに話を伺ったので紹介したい。

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『鳥一代』の名物「参鶏湯(サムゲタン)」

法律的に注意すべき点は?

山﨑さんが、外国人を雇用しようと思ったきっかけはやはり「人手不足」によるものだった。

「最初は日本人を雇用しようと求人広告媒体を利用していたのですが、なかなか応募が集まらなくて。それで知り合いの中国人を洗い場で採用したのですが、それが外国人を積極的に雇用するきっかけになりましたね」

たとえば外国人留学生をアルバイトスタッフとして雇用する際は、入国管理局から「資格外活動の許可」を得ているかを確認する必要がある。これは在留カードに記載があるので、面接時には在留カードの持参をお願いしよう。もし許可を得ていなければ、申請を出すように促す。許可を得ていたら、あとは日本人同様に雇用契約書を結び、外国人留学生の雇用の事実をハローワークに届け出せば手続きは終了だ。特に難しいことはない。ただし、労務や税務に関しては、日本人従業員と対応が異なる部分もあるので注意が必要だ。
※参考:厚生労働省 東京労働局

「外国人を雇用する際に気をつけなければいけないのが労働時間です。特に雇用する外国人が学生だった場合、その労働時間は週に28時間以内と法律で定められています。シフトを組む際は、その辺を考慮する必要がありますね。また、雇用した外国人がオーバーステイだった場合、店側もペナルティーを受けるので、面接の際は在留カードの確認が必須です」

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左/ミャンマー人のチーさん、右/バングラデシュ人のギアスさん

就業後の注意点、雇用して得たメリットは?

外国人を雇う際、やはり言葉の壁を感じるケースも多いだろう。実際のところを聞いてみた。

「仕事を教える際は、英語を交えたりジェスチャーを多くしたりして、理解するまできちんと説明しています。しかし、接客を任せられるほど日本語が堪能な外国人はなかなかいないので、外国人スタッフには厨房などの裏方の仕事を主に担当してもらっています。ホールには、よほど日本語が上手くないと出していませんね」

なるほど、確かに言葉の壁はあるようだが、丁寧に接していけば問題はなさそうだ。ちなみに山崎さんは外国人労働者のこんな特徴も教えてくれた。

「コミュニケーションさえ上手く取れれば、ほとんどの方が真面目に働いてくれます。真面目さは、もしかしたら日本人よりも上かもしれない。しかも面白いもので、真面目に働く子は、その友達も真面目なんです。なので、ウチの場合は真面目な子から働きたい子を紹介してもらい、それで外国人スタッフのネットワークが広がっていきました」

在日外国人たちの多くは自国のコミュニティーを持っていることから、知り合いをどんどん紹介してくれるケースもある。人手が足りない場合は、こうした横の繋がりを生かすのも手だ。さらに山崎さんは続ける。

「外国人スタッフを雇用すると、世界各国の料理や文化を学ぶことができます。それによって色々な調味料や素材を知ることができ、当店のメニューの幅も広がりました。また、まったく日本語が分からない外国人観光客が来店すると、英語のできる外国人スタッフがオーダーを取りにいったり、メニューの説明をしてくれたりと丁寧に対応してくれます。今後は東京オリンピックに向けて外国人観光客数も増えていきますので、彼らの英語力を頼りにしていきたいですね」

山崎さんが語る通り、外国人労働者は単純な働き手としてだけでなく、インバウンド対応をはじめ様々なシーンで力を発揮してくれるはず。人手不足に悩む飲食店は、人材雇用の選択肢としてぜひ検討してみてはいかがだろうか。

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平田佐百合

ライター: 平田佐百合

情報誌の編集者として長くダイニングやホテル、エンターテインメントまで幅広い記事を担当。また中国上海にて、在留邦人向けに現地の勢いある飲食店情報を発信。ミシュランスターシェフのインタビューや飲食店スタッフとの交流から生まれた企画など、トレンドを織り交ぜた記事が得意。