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飲食店の開業に必要な資格、届出、申請、許認可と手続きは?

商売を営むにあたり、開業・開設時には、業種業態により様々な資格取得、各行政諸官庁への申請(届出)・許認可が必要になってきます。
飲食店、食品製造販売、小売業、理美容室、保育所・託児所、薬局、病院、診療所、歯科医院、ホテル、旅館、民宿、不動産業、パチンコ店など、事業内容により必要な資格免許、許認可の内容は異なります。
今回は、カフェ、レストラン、居酒屋、バー、料亭などの飲食店の開業時に必要な資格、申請(届出)・許認可の内容を確認していきたいと思います。

目次

  1. 飲食店開業に必要な申請・許認可とは
  2. 営業許可申請書とは
  3. 飲食店営業許可証の取得に必要な営業施設の設備要件とは
  4. 必要な資格とは

1. 飲食店開業に必要な申請・許認可とは

飲食店を開業するには、営業予定地となる管轄の保健所で「飲食店営業許可証」を取得する必要があります。
飲食店営業許可証を取得するのに必要な要件と書類の申請・許認可の内容について確認してみましょう。
主な申請書類と必要な資格は以下の通りです。
  • 申請書類
    • 営業許可申請書
    • 営業設備の大要・配置図
    • 食品衛生責任者の資格証明
    • 防火管理者選任届
    • 登記事項証明書(法人事業主の場合)
    • 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書(深夜0時以降も酒類を提供する場合)
    • 風俗営業許可(キャバレー、クラブ、料亭など)
    • 特定遊興飲食店営業の許可申請(ナイトクラブ、スポーツバー、ライブハウスなど)
    • 水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合)
    など
  • 資格
    • 食品衛生責任者
    • 防火管理者
    など

2. 営業許可申請書とは

営業許可申請書(申請先:保健所)
一般的な固定店舗の営業施設で食品関係の営業をする場合に、保健所に申請する必要がある書類です。
固定店舗とは、「ビルイン型」「路面型」「商業施設型」「ロードサイド型」などが対象となります。
東京都の場合は、国が定めた「食品衛生法」と東京都が定めた「東京都食品製造業等取締条例」に基づいた申請が必要です。
業種や営業形態、取扱商品や食材によっては、複数の要件を満たして営業許可を取得する必要がありますので気を付けましょう。
また、条例は都道府県ごとに異なりますので事前に確認する必要があります。
申請する書類の様式も申請内容により異なりますので、詳細については管轄する保健所に事前に相談して確認するようにしましょう。

3. 飲食店営業許可証の取得に必要な営業施設の設備要件とは

営業設備の大要・配置図(申請先:保健所)
飲食店などの食品を製造・調理・販売する場合は、食品衛生法に基づき、都道府県知事が定めた施設基準(食品衛生法)の要件を満たした状態で保健所にチェックしてもらう必要があります。
食材や飲料を扱う業種ですので、調理場などの衛生管理を継続して清潔に維持できる設備にしておかないと営業許可を取得することができません。
ちなみに施設基準には、「共通基準」「特定基準」の2種類あり、業種によっては特定基準も満たす必要がありますので、確認が必要です。
保健所への書類提出は、対象となる営業施設の工事完成予定日の10日くらい前までに提出する必要があります。

では、許可を得るのに必要な設備要件とは?
「共通基準」
  • 営業施設の構造
    • 場所、建物、区画、面積 … 清潔で清掃しやすく耐久性のある建物構造で使用目的に応じた区画と広さがある。
    • 床壁天井 … 床壁は耐水性があり排水がよく天井を含め清掃しやすい構造である。
    • 明るさ、換気、構造、害虫 … 既定の明るさ(50ルクス以上)と換気設備があり排水がよく、ネズミや昆虫等の防除設備が整っている。
    • 洗浄設備 … 食材や器具等の洗浄設備(1槽の大きさが、幅45cm × 奥行36cm × 深さ18cm 以上のシンク)がある。従業者専用の手洗い設備(幅36cm × 奥行28cm 以上)と消毒装置がある。
    • 更衣室 … 厨房などの作業場外に更衣室などの衣類を脱着できる場所がある。
  • 食品取扱設備
    • 器具整備 … 規模に応じた厨房機器類、食器類、グラス類などが揃っている。
    • 器具配置 … 調理作業や清掃、洗浄をしやすい位置に設備機器が配置されている。
    • 器具の材質 … 耐水性で洗浄しやすく、熱湯、殺菌剤等で洗浄が可能な器具。
    • 保管設備 … 食材食品、調理器具等を衛生的で清潔に保管できる食器戸棚などの設備がある。
    • 計器類 … 冷凍冷蔵庫などの設備には、見やすい箇所に温度計を設置している。
  • 給水及び汚物処理
    • 給水設備 … 飲用できる衛生的な給水設備がある。貯水槽、井戸水等を使用する場合は、年1回以上、水質検査を行い、成績書を1年間保存する必要がある。
    • トイレ … 店舗規模、従業者に応じた数のトイレがあり専用の手洗い設備と消毒装置がある。
    • 汚物処理 … 店舗規模に応じた容量の汚物処理設備、ごみ箱などが整っていいる。
    • 清掃器具 … 客席、厨房など作業場専用の清掃器具と格納設備がある。

「特定基準」
  • 飲食店営業(一般的なレストラン、居酒屋、バーなど)
    • 冷蔵設備 … 食材の保存に十分な容量の冷蔵設備を設けている。
    • 洗浄設備 … シンクは2槽以上。食器洗浄機がある場合は必ず2槽以上でなくてもよい。
    • 給湯設備 … 洗浄と消毒のための給湯設備を設けている。
    • 客席 … 明るさ10ルクス以上にして、換気設備を設けている。
    • 客用トイレ … 飲食をさせる場合は、調理場に影響のない客用トイレを設けている。専用の手洗い設備が必要となる。
  • 喫茶店営業(カフェ・喫茶店などで食べ物を提供しない場合)
    • 冷蔵設備 … 食材の保存に十分な容量の冷蔵設備を設けている。
    • 客席 … 明るさ10ルクス以上にして、換気設備を設けている。
    • 客用トイレ … 飲食をさせる場合は、調理場に影響のない客用トイレを設けている。専用の手洗い設備が必要となる。
  • 菓子製造業(パン屋、ケーキ屋など)
    • 施設区画 … 施設は製造、発酵、加工、包装を行う場所、製造された商品置場、その他の必要な設備が作業区分に応じて区画されている。作業場外に原料倉庫を設けている。
    • 機械器具 … 製造量に応じた数と能力のある混合機、焼窯、平鍋、蒸し器、焙焼機、成型機その他の必要な機械器具類を設けている。必要に応じ冷蔵設備を設けている。
  • 食料品等販売業(弁当屋、惣菜屋など、調理加工を要しないで販売する営業)
    • 東京都の条例許可業種となる営業対象。
    • 取扱量に応じた陳列ケース、陳列台、取扱器具を備えている。
    • 冷蔵設備 … 冷蔵設備は、常に5℃以下、法的な保存基準以下に冷却できる冷蔵設備を設けている。
    • 蓋つきの専用運搬容器がある。
    • 発酵乳、乳酸菌飲料を扱う場合は、汚染を防止された空瓶置き場が設けられている。
    上記以外にも「自動車での営業」「引車(リヤカー屋台)営業」「臨時出店(縁日、祭礼等)」「給食(学校、病院、社会福祉施設等 )」「行商(豆腐などの食品)」「弁当等人力販売業(弁当類、そう菜類)」など細かく分類されています。
    「特定基準」は業種業態や営業施設により細かく異なるので、店舗のデザイン設計施工に詳しい内装施工会社やデザイン設計会社に相談して、スムーズに営業許可が取得できる準備をしておきましょう。
    その他、所管する保健所等にも相談するようにしましょう。

※参考 デザイナーの流儀
飲食店の内装の保健所検査では、どのような点をチェックされるのか、何が必要になるか教えて下さい。

4. 必要な資格とは

飲食店の営業許可を受けるには、営業施設ごとに「食品衛生責任者」を設置する必要があります。
また収容人数が30人以上の営業施設については「防火管理者」を選任する必要があります。

  • 食品衛生責任者(申請先:保健所)

    食品衛生法で飲食店などの営業をする場合は、施設ごとに食品衛生責任者を定めて設置しなければならないと義務づけられています。
    食品衛生責任者は、営業施設で食中毒の発生や食品衛生法違反がないかどうかを適切に管理して運営する必要があり、店舗の従業員に衛生教育などを実施しなくてはなりません。
    食品衛生責任者の資格は、食品衛生協会が実施している保健所長が認定した講習会の受講を終了することで取得することができます。
    その他に、栄養士、調理師、製菓衛生師、船舶料理士、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師等の食品衛生管理者資格の保有者については、講習を受けなくても食品衛生責任者の資格を取得することができます。


  • 防火管理者(申請先:消防署)

    飲食店に限らず不特定多数の人が出入りする防火対象物となる建物や施設などの場合は、消防法に基づいた防火に関する講習会の課程を修了した管理者を設けなければなりません。
    飲食店の場合は、施設の収容人数が30人以上の場合に管理者を選任して管轄の消防署へ防火管理選任届出書の提出する必要があります。
    防火管理者には、「乙種防火管理者」「甲種防火管理者」の2種類があります。

    • 甲種防火管理者の区分
      • 飲食店、美容院、アパレル店、ホテル、旅館、病院、診療所などの不特定の人が出入りする施設等で、収集人数が30人以上、かつ延床面積が300平方メートル以上の場合。
      • 救護施設、乳児院、介護施設、老人ホームなどの自力避難困難者が入所する社会福祉施設等で、延床面積に関係なく収容人数が10人以上の場合。
      • 共同住宅、学校、図書館、美術館、工場、事務所などの特定の人が出入りする施設等で収容人数が50人以上、かつ延床面積が500平方メートル以上の場合。
    • 乙種防火管理者の区分

      甲種以外(延べ面積が甲種防火対象物未満のもの)の防火対象物(乙種防火対象物という)の防火管理者になることができます。例としては複合型商業施設でのテナント等があります。
      なお、収容人員が甲種防火対象物の人数未満であれば防火管理者の選任は不要です。

      規定されている収容人数は、施設で働く従業者数も含めた人数ですので客席数などを計画する際に注意する必要があります。
      例えば延床面積が300平方メートル以上の飲食店の場合、客席数が25席あり常駐する従業員が5名であれば、収容人数は30人となり「甲種防火管理者」が必要になります。
      飲食店の収容人員の算定基準について、基本は(従業者の数+客席の人員)となるようですが、従業者がフルタイムの正社員なのか時間帯アルバイトなのか、客席が固定式なのか可動式なのかにもより計算方法が決められています。
      また、消防用設備等の設置基準についても出店する業種業態や入居する建物の構造などにより細かく基準が設けられています。
      「防火管理者」を設置するかどうか微妙な収容人員、席数の場合や、「消防用設備等設置基準」を満たしているのか判断できない場合は、賃貸借契約前に内装会社や管轄する消防署に相談するとよいでしょう。


業種業態や開業するエリアにより施設要件は細かく規定されています。
いざ開業する時に「保健所の許可がおりない」「消防署の許可がおりない」「追加工事が必要になってしまった」といったことにならないように、デザイン設計会社との打合せはしっかりと行い、自分でも管轄する行政諸官庁へ相談と確認をするようにしましょう。

※参考 デザイナーの流儀
飲食店の内装工事の消防検査を受ける場合、飲食店側はいつ、なにをする必要があるのか教えて下さい。



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