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飲食店のデリバリーって本当に儲かるの? 「UberEATS」利用店が語るリアル事情

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Photo by iStock.com/BalkansCat

海外では人気サービスとして定着しつつあるオンラインの配達サービス。日本でも少しずつ普及が始まるなかで、飲食店のデリバリー業務を代行する「UberEATS(ウーバーイーツ)」が上陸したのは記憶に新しい。

当初は渋谷区、港区などの都内中心部のみ利用可能であったが、継続的に提供エリアを増やしており、昨年9月29日のサービス開始より現在は約1.5倍にエリアを拡大。さらに昨年12月12日より事前予約機能を追加、一部レストランの注文受付開始時間を従来の午前11時から午前10時に変更と、より活用しやすくなった。

デリバリーサービスは飲食店の販路を広げる意味でもとても興味深いサービスだが、実際のところはどうなのだろうか。「UberEATS」に登録しているレストラン『恵比寿 ガパオ食堂』の高橋朋也さんにリアルな事情を伺った。

「UberEATS」に掲載されている『ガパオ食堂』の紹介ページ

「UberEATS」登録のキッカケ

都内で3店舗を展開している本格派タイフード・レストラン『ガパオ食堂』。『恵比寿 ガパオ食堂』では9月29日のサービス開始日より「UberEATS」を利用しており、また2017年2月からは『青山 ガパオ食堂』、『渋谷 ガパオ食堂』、そして姉妹店である『寿司酒場 おもてなし 青山本店』も続けて利用を開始。また、2017年4月からは『青山ゼロカフェ』での展開も予定している。

「UberEATS」の登録に踏み切った理由を聞くと、『ガパオ食堂』として提携する以前から、高橋さん自身がUberブランドへ絶大な信頼を寄せていたことが分かった。

「Uberが展開する日本のハイヤー、海外の自家用車タクシー(UberX)も利用したことがあり、もともとファンだったんです。また、偶然にもUberJapanの本社が近く、ランチなど良くご利用いただだいていました。Uberのジャケットを着てご来店いただいたスタッフさんに話しかけて顔見知りになり、その後『UberEats』のご提案をいただき、すぐに実施の決断をしました」

もともとUber事業は配車アプリからスタートしている。昨年から日本でも利用が可能となり、今では世界約70カ国、400以上の都市で親しまれるなど、デリバリーサービスと同様にメジャーな存在だ。利用者側から見ると、どちらのサービスもアプリを使って気軽に利用できることが魅力的だが、注文を受ける側は大変なのでは……と思いきや、細かなところまで気配りがされているとのこと。「システムがよくできているので、デメリットを感じたことはありません」とキッパリ。

「お客様がアプリで注文すると、店舗用のiPadにすぐ反映されるんです。iPadで受注処理、配達員さんの手配、その間に注文された商品を準備……と、非常にスムーズに進められます。他社サービスの場合は業務中に電話オーダーが入り口頭での注文となってしまうので、手を止めることがなく助かっています」

人気メニューの「ガパオごはん」(980円)

高橋さんから見た「UberEats」の魅力

ガパオ食堂では、人気メニューの「ガパオごはん」(980円)、「マッサンカレー」(980円)などを提供している。注文者が配達を頼んでから手元に届くまで、所要時間は平均して30分ほど。自社で配達員を雇う必要がなく、しかも効率よく配達することができるというのは飲食店側にとってうれしいことだ。実際、「UberEats」を利用するメリットは大きいと高橋さん。

「コックの未稼働時間が減り、仕事の充実感がアップしました。また、『UberEats』を利用したことで、普段ご利用いただけない方々に、『ガパオ食堂』の料理を提供できるようになったのも大きなメリットです」

掲載料や手数料など、気になる料金形態は非公開ではあるが、ガパオ食堂での「UberEats」の売り上げを教えてもらうと、全体の約1/4~1/5と想像以上。1日にランチ20~60食程度、ディナータイムは10~50食程の注文が入るという。

ところで、店によっては注文商品と一緒に店舗で利用できるクーポン券などを添えることもあるそうだが、『ガパオ食堂』では配達時に“次”に繋げるための工夫はしているのだろうか?

「クーポンは入れていませんが、忘年会などのフライヤーは入れるようにしています」

『恵比寿 ガパオ食堂』の店内の様子。配達員が食事に訪れることも

「UberEats」の利用で思わぬ福音も

最後に、「UberEats」を当初から使用しているガパオ食堂ならではの温かなエピソードも教えてもらった。

「配達員さんに素敵な方が多いんです。実際にご来店いただいたり、レシピ本と調味料を購入いただいてご自宅でタイ料理を作ってくださった方もいらっしゃいます。こうして配達員さんとの交流が生まれたことも嬉しいです」

今後、デリバリーサービスが活発化することが予想される飲食業界。客側からすると、アプリひとつで注文から会計までスピーディーに行え、店側としては効率よく注文を受けられる。さらに売り上げ、仕事の充実度も伸びるとなれば、こんなに嬉しいことはない。

今回『カパオ食堂』に語っていただいた「UberEats」以外にも、「ファインダイン」や「楽びん」などさまざまなデリバリーサービスがある。配達エリアや料金形態など、サービスごとに違いがあるので、もしデリバリーを始めるのであれば自店舗にあったサービスをよく検討したいものだ。

『恵比寿 ガパオ食堂』
住所/東京都渋谷区恵比寿南2-1-1 恵比寿大森ビル 2F
電話番号/ 03-3712-0222
営業時間/11:30~L.O. 14:30/18:00~L.O. 22:20(ドリ
ンクL.O.23:00)
定休日/無休
席数/55席

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逆井マリ

ライター: 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。