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飲食店の原価率、平均値は33.3%。87店舗のリアルな調査結果を公開!

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Photo by iStock.com/diego_cervo

飲食店経営者にアンケート調査を行っている「飲食店リサーチ」。今回は「メニュー戦略」についてアンケートを実施。各店の原価率をはじめ、料理・ドリンクの販売戦略、そして注文を増やすために行っている工夫など、リアルな飲食店経営者の声を交えつつ、その効果的な手法について探っていく。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:87名
調査期間:2017年4月24日~2017年4月30日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果はこちら

一般的な飲食店の原価率は30%が妥当だが、実際は?

まず聞いたのが、売り上げに対する原価率について。一般的には30%が妥当な数値だと言われているが、実際はどのくらいの原価率が平均となっているのだろうか。

アンケートによると原価率の平均は33.3%。妥当と言われている数値に近い結果となった。ただ、洋食は原価率35%以上の店舗が目立つなど、業態によっては原価率を少し高めに設定している店舗もあるようだ。

メニューに写真を載せている店舗は約6割

次に尋ねたのが、メニューをアピールするために、メニューブックに写真を載せているか否かという質問。最も多かったのが「載せている」と答えた62.1%。次いで「載せていない(今後も載せる予定はない)」が21.8%、「載せていない(今後載せていきたいと思っている)」が16.1%と続く。

6割以上もの店舗がメニューに写真を載せていることから、多くの店舗で視覚から入る情報を大切にしていることがわかる。

品数やSNS映えするメニューで勝負

経営者として今回のテーマで気になることといえば、他店の売れているメニューとその販売戦略だろう。そこで、続いては一番売れているメニューと、その販売戦略について質問をした。気になるコメントとともに見ていこう。

「一番売れているのはコース料理(6500円)。来店されたお客様の8割がオーダー。材料にこだわりがあるため単品価格は同業態に比べて高めだが、品数の多いコースを設けることにより単品で頼むよりお得感を感じて頂いているのだと思う」(居酒屋・ダイニングバー/原価率30%)

「季節のコース。品数豊富で旬の高級食材を使用するため、コストは高めになるが美味しいという事でリピートに繋がっている」(和食/原価率35%)

複数回答があったのが、「コース料理=売れているメニュー」となっているケース。品数が多く、お得感のあるコース料理は色々なメニューを味わいたいという客の心理をよく掴んでいる。これはコース料理だけでなく、単品メニューにも言えることだ。「○種盛り」「~の盛り合わせ」といったメニューは、少しずつ違う味を楽しめるのでお得な気分を満喫できる。

「おつまみの5種盛り合わせ。30種類くらいの前菜から3つを選んでもらい2つはお店のおまかせに。残りの2つをおまかせにすることによって、提供時間や原価率、賞味期限が近いものを使う事ができる」(居酒屋・ダイニングバー/原価率29%)

このように盛り合わせの内容を「お店のおまかせ」とするのもおすすめだ。店にとっては原価率や食材の消費などの面で幅が生まれるというメリットがあり、客側にとってはどんな食べ物が出てくるのかといったワクワク感を楽しむことに繋がる。

Photo by iStock.com/Artit_Wongpradu

また、SNSでの宣伝が集客への施策として定着しはじめている昨今、見た目のインパクトを重視したメニューも人気メニューとなりやすい。

「原価率関係なくSNS受けする目玉メニューを月替わりで用意している」(その他/原価率30%)
「牡蠣三種(生牡蠣、焼き牡蠣、牡蠣グラタン)。原価率65%と高いが、コストパフォーマンスがよく、集客力抜群の目玉商品として売り出しています」(居酒屋・ダイニングバー/原価率40%)
「ローストビーフ丼。メニュー名にバリューがあり、また近隣他店では提供していないため」(カフェ/原価率30%)

ローストビーフ丼を始めとするSNS映えするようなメニューは、見た目の華やかさも相まって、口コミでの宣伝効果が狙える。ただし、メニューによっては原価率が高いこともあるため、ほかのメニューで原価率の調整をするなど工夫が必要となるだろう。

「海老のカタラン風。手間暇かけて仕込む濃厚な海老ソースが他店にない旨みでリピート率が高い」(洋食/原価率25%)
「メインであるブランド豚を使った豚の角煮。製法を説明することで付加価値を高めている」(和食/原価率40%)
「自家製ハム。手間暇かかるが他店舗と差別化が図れる」(居酒屋・ダイニングバー/原価率32%)

「他店にはない料理」というのも売れるメニューのキーワードのひとつだ。上記のように手間暇をかけて仕込む料理は時間がかかる分、他のお店との差別化を図るメニューとしておすすめ。「自家製」「当店だけ」などの煽り文句を付ければ、自分のお店だけの特別感を演出できる。

Photo by iStock.com/hungryworks

声掛けの以外にも注文を増やす工夫はたくさんある

最後に、店として販売を強化したい「おすすめメニュー」の注文を増やすために行っている工夫について尋ねたところ、さまざまな対策が寄せられた。リアルな経営者の声を見ていこう。

「メニューをご覧になっているお客様に、積極的に『コースが人気です』とおすすめしています」(居酒屋・ダイニングバー/原価率30%)
「その名の通り、しっかりと口頭でセールスをする」(カフェ/原価率32%)

注文を増やす定番の工夫として多くの店舗が取り入れているのが、接客時の声かけ。オーダーを受ける際や来店時などに口頭でおすすめメニューを伝えることによって、客に確実にアピールができる。以下のように、メニュー表を使ったアピールと組み合わせればより効果的だろう。

「メニュー表でのアピール強化。写真の大きさや文面が特徴となる」(イタリア料理/原価率33%)

メニュー表を使ったアピールは、文字の大きさや色、写真などを上手く使うことで、視覚的におすすめメニューを印象付けられる。ちなみに、左開きのメニューの場合、左上から右下へと視線が流れていくので、おすすめメニューを左上におくとアピールしやすいということも覚えておきたい。

Photo by iStock.com/Thinglass

カフェや居酒屋・ダイニング等では、手元のメニューとは別に店内や店先にメニューが書かれた黒板を設置しているという店舗も多い。

「メニューブックとは別におすすめメニューを書いた黒板を使い、アピールする」(カフェ/原価率30%)
「メニューブック以外に、壁に季節のメニューと新作を張り出しています」(洋食/原価率50%)

メニューブックや黒板でおすすめメニューをアピールする以外にも、SNSを活用して告知を行っている店舗も多いようだ。

「ウェブページ、SNS等でアピールする」(和食/原価率35%)
「Facebookへの投稿。POPを店頭・店内に貼り出ししている」(ラーメン/原価率34%)

TwitterやFacebook、InstagramといったSNSでのアピールは、今まで自分たちの店舗を知らなかった新規顧客をターゲットとすることも可能だ。SNSに掲載した商品を目当てにお店に訪れてくれるので、上手く行けば人気のメニューとなるだけでなく、新規顧客を掴むきっかけにもなってくれる。

ヒットメニューを作るには、「SNS映え」や「お店独自のメニュー開発」といった戦略はもちろん、客にしっかりとおすすめのメニューをアピールすることが大切である。今回紹介したアイデアは、声掛けを始め、メニューの強調やSNSの活用などすぐに始められるものが多い。効果的な方法を実践し、メニュー強化をしてほしい。

「飲食店リサーチ」について
飲食店リサーチ」では、飲食店を経営する皆さまに、店舗運営に関する様々なアンケートを行っています。 アンケート結果は、飲食店の皆さまに店舗経営のヒントとして活用していただけるよう、レポート記事として公開されたり、 皆さまが利用する業務用商品やサービスなどの開発に役立つデータとなります。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。