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2.5等立地の繁盛店『ゴッチス』に「常連客獲得」のコツを聞く。立地に負けない店づくりとは?

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常連客との仲の良さが窺える

飲食店経営者であれば周知の事実ではあるが、飲食店は「立地が命」だと言われている。立地にはランクがあり、1等立地は繁華街や駅前など、通行量が多く目立つ立地のことを指す。2等立地は繁華街にある主道路の裏道など、発見確率が低い立地、そして3等立地はそもそも商売をするには適さない立地を指す。

1等立地では「衝動来店」が狙えるが、好立地、好条件であればあるほど当然家賃は高くなる。一方で、2等立地以降になると、家賃を下げることは可能となるが、その店を目指して来店する「目的来店」でないと集客が難しい。もちろん店のコンセプトにもよるが、集客力のある立地を選ぶか、コストを抑えられる立地を選ぶか、出店者にとっては悩ましい問題である。

そんななか、2等立地と3等立地の中間的な立地「2.5等立地」に注目が集まっている。池袋から徒歩10分。2.5等立地に店舗を構え、不利な立地をものともせず成功している『ワイン食堂 GOCCHI’S(ゴッチス)』のオーナーシェフ・青山剛平さんに話を聞いた。

人気メニューのひとつ自家製ソーセージ

家賃を抑えることで、コスパ抜群の料理が提供できるように

青山剛平さんといえば、グローバルダイニング出身で有名飲食店の料理長も務めてきた、知る人ぞ知る業界内気鋭のホープだ。そんな青山さんが新天地に住宅街とオフィス街が混在するいわゆる2.5等立地を選んだ理由をまずは聞いた。

「物件がスケルトンで、かつ坪数、間口、店の前のスペースが自分のイメージ通りだったことが大きいです。また、家賃が安い、住宅街が近いということもポイントでした」

繁華街から離れたエリアをあえて選んだ青山さん。そのメリット、デメリットを聞くと……。

「やはり家賃が安いことですね。そのため料理を安価で提供することができ、周りの住人からも重宝されることがメリットです。デメリットは、雨の日は集客が難しい、駅から遠い、場所が分かりにくい、そして人通りが少ないこと。開店当時は店の周りの雰囲気が少し怖かったです(笑)」

『ゴッチス』の名物である豚料理

距離感を意識した接客でリピーター作り

そんなデメリットもなんのその、オープンして間もなく、『ゴッチス』は繁盛店のひとつとなった。人通りは少ないものの、大きな窓から見える約11坪の開放的な店内は常に満席、外飲みスペースもにぎやかだ。手作りのソーセージ、煮豚、ステーキ、農家直送の野菜といったこだわり料理、そしてワインは美味しいものだけを厳選。それをリーズナブルに提供できるのは、物件の金額を抑えられていることも大きいのだろう。

ちなみに天候に集客が左右されることもあると教えてくれたが、集客について心がけていることはあるのだろうか?

「僕らが『いいお客様だなぁ』と思ったら、名前をうかがって、仲良くなって、必ず再来店してもらう。そしてその時は必ず名前で呼ぶ。以上です(笑)」

筆者が以前客として来店したときも、そんな距離感を大切にした接客だったことを覚えている。外が見渡せる店内の大きな窓から、常連客なのか地域住民なのか、道行く人が見えれば気軽に挨拶をしていたことも印象的であった。

「うちの常連さんは、周囲に住んでいる方ばかりです。家が近いこともあって、お客さん同士、本当に仲がいいですね。お客さん50人くらい集まって花見をしたこともありますし、みんなでビーチバーベキューを楽しんだことも。店もお客さんも一緒になって、いっぱい遊んでいます(笑)」

JR池袋東口より徒歩10分という立地

2.5等立地でも成功する秘訣とは?

2.5等立地だから客を大切にしているわけではなく、青山さんや『ゴッチス』のスタッフが、「来てくれる人を大切にしたい」「喜ばせたい」というサービス精神をもともと備えているのだろう。立地のデメリットを追い風に変え、温かな接客を徹底して心がける、その努力こそが2.5等立地で成功する秘訣なのかもしれない。

『ワイン食堂 GOCCHI’S(ゴッチス)』
住所/東京都豊島区南池袋2-10-3 齋藤ビル1F
電話番号/ 03-6912-8819
営業時間/11:30~L.O.14:00(土、日、祝日のみ)、17:00~L.O.23:30
定休日/不定休
席数/21

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逆井マリ

ライター: 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。