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飲食店に広がる働き方改革。人手不足の解消に「時短正社員」も。雇用促進なるか?

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Photo by iStock.com/Kavuto

大手外食企業で「多様な働き方」を受け入れる動きが活発化している。これは昨今の深刻な人手不足を背景に始まったもので、労働時間を短く限定した正社員制度を導入することで、子育てや介護などで働く時間に制限がある人を雇用しやすくする狙いがある。働く側はアルバイトとは違い正社員待遇で就業できるので、充実した福利厚生が得られ、企業によっては賞与が支給されることもある。

焼肉店『牛角』や居酒屋『甘太郎』を展開するコロワイドは、働く店を限定する「限定社員制度」を6月から導入した。勤務地は通勤できる地域内の店舗に限られているが、時短勤務が認められており、週に20時間の労働時間があれば「社員」として勤務できる。社員になれば店長職に就けるほか、夏と冬の賞与も支給されるようだ。

また、『ガスト』や『ジョナサン』を運営するすかいらーくグループも、「地域正社員」に対して一か月単位の変形労働時間制度を採用。業務計画に応じて、4時間から12時間までの5つの勤務パターンの中から、自由にシフトが組めるようになっている。地域正社員とは勤務地域を限定して働く社員のことで、年2回の賞与支給、65歳まで働ける定年制度など、通常の社員と変わらない待遇で勤務することが可能だ。

Photo by iStock.com/Koji_Ishii

様々な飲食企業に広がる「働き方」改革

こうした「働き方」改革は大手外食企業のみならず、様々な企業に広がりを見せている。たとえば『焼鶏あきら』や『Nagaoka Sakumo』などを手掛けるソルト・コンソーシアムは、月間労働時間に上限を定め、これを超えた場合は休暇を取れる仕組みを試験的に運用。飲食店は一日の勤務時間が長くなる傾向にあるが、月8~10日ほどの休暇をとることで、他業界に比べても平均的な労働時間になるように調整している。休暇日数が増えても給与は減額されないため、従業員のモチベーション向上にも繋がっているようだ。

また、『串焼き もんじろう』などを運営するグッドスパイラルも働き方改革に積極的だ。2016年には月6日だった休みを月8~9日に。閉店時間も24:00から23:30に変更し、スタッフ全員が終電で帰宅できるように配慮した。これによりスタッフの定着率が改善し、結果、熟練のスタッフが多く在籍することで売上も向上。人材を確保しながら業績を伸ばす好循環が生まれている。

大手外食企業に加え、さまざまな店舗で始まっている「働き方」改革。場合によっては人件費を圧迫したりと一時的な痛みも伴うが、働き手にとって魅力的な環境をつくることができれば、より優秀な人材を確保でき、また長期雇用にもつながる。そうすれば結果的に採用コストを抑え、経営的にも良い影響を与えていくだろう。

飲食業界は人手不足という逆風に立たされてはいるが、これが大きな改革をもたらす風に変わっていくのかもしれない。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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