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飲食店は居心地の良さを求めるだけではダメ。内装デザイナーが考えるポイントは?

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飲食店の口コミなどでも目にすることが多い言葉のひとつに「居心地」というものがあります。飲食店にとって店舗空間が居心地よく作れるかどうかは、繁盛店となるかどうかを決定する、大切なポイントと言えます。

ところで、「居心地」とはなんなのかをじっくりと考えたことはありますか? 居心地のいい店を作りたいと思っても、人それぞれ感じ方が違うものだからこそ、言葉として表現し、それを形にするのは難しいところ。そこで今回は、店舗デザインを考える上で押さえておきたい「居心地」の正体を探ってみたいと思います。

居心地の良さは必ずしも「必須」ではない?

居心地の話をする、と言っておきながらいきなり何を言うんだ……と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、居心地の良さがどんな店にも必要なのかというと、じつはそうではありません。飲食店の業態によっては、居心地をあえて「悪く」することで回転率を高め、売り上げを伸ばす必要がある場合があります。

例えば、ラーメン店で考えてみましょう。客単価が低く、回転率を高めたいラーメン店の場合、居心地が良すぎる店作りをしてしまえば、回転率が低くなり、売り上げに悪影響をもたらしてしまいます。これから出店を考える店舗で、居心地がいい店がいいのか、それとも滞在時間を短くするような店がいいのか明確に決めておきましょう。

ちなみに居心地の良さが求められる業態はいくつかありますが、 例えばカフェに来店する客は「リラックスしたい」「のんびり美味しいコーヒーを楽しみたい」「会話を楽しみたい」という潜在ニーズを秘めています。また、コース料理を提供し、料理はもちろんサービスの質も高く維持したいお店なら、来店客がリラックスして食事を楽しめる環境作りは必須です。居心地が悪い店になれば「せっかくお金を払ったのに、雰囲気が悪い店だった!」とリピートしてもらえないばかりか、店の評判を下げてしまいかねません。

Photo by iStock.com/fiphoto

店の居心地を決める4つのポイント

店の居心地を左右する要素は「体感温度」「席の配置・数」「インテリアや雰囲気」「想定する客層」の4つ。

1、体感温度
体感温度とは、単純に空調による室温だけでなく、日当たりや客席と客席の間の距離感などにも影響されます。客席同士が近すぎれば、座席に座った際に、体感温度が上がる可能性も否めません。

快適に来店客が過ごせる体感温度でなければ、料理がいくら美味しくても店の魅力が半減。居心地の悪い店という印象を与えてしまいます。店づくりをする際は、客の目線で1時間、2時間と長く過ごせる環境かどうかをしっかりと検討しましょう。

2、席の配置・数
一般的に業種別の客席数は、坪あたりレストランであれば1.3~1.5席、カフェであれば1.5~2.5席が基準値となると言われています。しかし、居心地のいい「坪あたり席数」は、席と席の位置関係などにも影響を受けますので一概には言えません。

他のテーブルの客同士が目線を合わせてしまうような席配置になっていないか、またサービススタッフがスムーズにオーダーを取れ、客の様子を見渡せる席配置になっているかどうかなど、幅広い視点で居心地を検討したいところです。

3、インテリア
店のイメージを左右するインテリアも居心地の良さを決定づける重要な要素です。例えば椅子一つとっても、座り心地のいいソファ席にするのか、座面が硬い椅子にするのかによって居心地の良さは変わります。ミシュランガイドで星を獲得したレストランの中には、テーブルに座った際に、客の足がテーブルの脚にあたり、食事や会話を邪魔しないかなども綿密に検討している店舗もあるくらい、インテリア選びは非常に重要です。

4、想定する客層
ここでもう一つ、押さえておきたいのが客層によって、「居心地がいい」と感じるポイントが違うという点です。例えばカップルが多く来店するレストランであれば、2人でゆったり過ごせる個室のある店の方が、居心地が良いと感じます。逆に、1人で来店する客も多いカフェなら、個室よりは開放的で店内の喧騒が程よくBGMのように感じられる空間の方が、居心地が良いと感じられるかもしれません。

Photo by iStock.com/Rawpixel

内装デザイナーたちが考える坪あたりの理想的な席数は?

それでは、具体的にカフェという業態に絞り、居心地のいい席数は坪あたり何席くらいがいいのか、店舗の内装を手掛けるデザイナーたちの意見を見てみましょう。例えば、「株式会社無相創」のデザイナー、上野氏は次のように話しています。

「カフェのスタイルによって異なります。豊かな時間を過ごして頂きたい場合は椅子がゆったりとしたものになり必然的に席数は少なくなります。活気のあるフレキシブルな空間にしたい場合はテーブル・イスもコンパクトになり席数も多くなります」

また、「OFFRECO」のヤマシタマサトシ氏は座席数ではなく、来店するお客様の組数を考慮した席の配置の重要性を指摘しています。

「カウンター席、テーブル席、ブース席、ウェイティング可能なスタンド席、さらに最近では子連れでも気楽に利用できる小上がりのようなスペースを設けたりすることもあります。平面図でのレイアウトだけでなく、立体的に目線のレベルにリズムをつけたり、1名様から団体様まで効率よく対応できるように組んだりすることが理想的です」

店の「居心地」を考える際に、必ず決めなければいけないのは、「どんな店にしたいのか」という、店のコンセプトです。座席数や回転率、客単価の数字ばかりを追い求めると、居心地の良し悪しが正確に判断できなくなる危険があります。活気がある店を演出したいのか、静かに過ごせる店にしたいのかなど、理想とする店のイメージを内装にも落とし込み、居心地の良さを追求してみましょう。


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