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飲食店の「居抜き物件」「造作譲渡」についての基礎知識。出店者が押さえておきたいポイントは?

2017年8月21日

Photo by iStock.com/monkeybusinessimages
お店の物件探しをしたことがある方なら、きっと誰でも耳にしたことがあるであろう「居抜き物件」と「造作譲渡」という言葉。本来より安い費用でお店を開業できる魅力的なシステムですが、実際には気をつけなければならないポイントがたくさんあります。そこでここでは、開業時・廃業時に知っておくべき造作譲渡の基本、気をつけるべきポイントをご紹介します。

「居抜き物件」「スケルトン物件」「造作譲渡」とは何?

お店のテナント物件には、2通りあります。何もないまっさらな状態の物件と、直前に入居していた店舗の内装や設備が残っている物件です。前者を「スケルトン物件」、後者を「居抜き物件」と呼びます。

店舗の「スケルトン」状態とは、トイレもエアコンもないただの箱のこと。賃貸借契約により、退居者にはそれらをすべて撤去する「原状回復義務」が課され、また新たな入居者にはそれらの設備を再度設置する費用と手間がかかります。退居時にはトイレも厨房設備も、家具も、壁紙も、床すらもすべて撤去しなければならず、住居を転出する場合からは想像がつかないほどの手間と費用がかかるのです。

しかし、実際には、前と同じような席数の飲食店を経営したい場合に、前の店の設備を残すことを望む入居者も多いもの。そういったケースでは、退居予定者と新しい入居者の間で内装・設備譲渡の交渉が行われます。この譲渡のことを、「造作譲渡」と言います。

それでは造作譲渡はどのように行われるのか、見ていきましょう。

Photo by iStock.com/g-stockstudio

■造作譲渡料に含まれるもの、含まれないもの

多くの場合、造作譲渡料は「一式」として見積られます。この一式には、内装・エアコン・トイレ・厨房器具等の設備全般が含まれます。一方で、含まれないものもあります。退居予定者の所有物ではない、リースの冷蔵庫などが挙げられます。リース物件は一見してもわからないため、交渉時に必ず確認が必要です。

また、テーブルや椅子などの家具、鍋やフライパンなどの調理器具、お皿やカップなどの食器、レジ、スピーカーなど音響設備は含まれないことが多く、一つ一つの確認が必要です。

■造作譲渡の方法

一から内装・設備工事をするスケルトン物件での開業に対し、居抜き物件での開業は、数百万もの費用が浮くことも多くあります。しかし「この設備にこの高額は払えないから値下げ交渉をしたい」と感じることもあるでしょう。

ちなみに造作譲渡の金額や内容について、交渉の相手は退居予定者であり、不動産屋や大家ではありません。なぜなら、内装を含め店内の造作物はすべて、退居予定者の持ち物だからです。

■造作譲渡の注意点

新規開業において魅力的なことばかりと思える造作譲渡ですが、気をつけたほうが良い点がいくつかあります。

・契約書の内容を確認
まず、大家との賃貸借契約をよく確認しておきましょう。大抵の場合は、契約書に原状回復義務が記されているはずです。

・大家の了承
次に、造作譲渡をすることについて、大家の了承は取れているかを確認したいところです。大家は誰でも、本来ならばまっさらに原状回復してもらうことを望んでいます。造作を受け継ぐことを了承したとしても譲渡料が発生することを快く思わない場合もあります。あとで「そんなことは聞いていない」とならないようにしたいものです。

・造作譲渡のリスク
繁華街の物件など、数年おきに店が変わるような物件では、何オーナーもが譲渡・改装を繰り返し、改装工事時の図面が見当たらないようなケースが多く見られます。本来ならば不動産店や大家が保管すべきものですが、数十年前の図面まできちんと管理できていない場合もあるでしょう。

物件に雨漏りや害虫、配管等の問題が発生したとき、図面がないために原因の追求が難しい場合もあります。造作を買った場合には、大家が対処してくれないことが多いため、留意しておきましょう。

・不用品の処分
「一式」として譲渡された場合、譲渡後の不用品の処分は、譲り受けた新オーナーの責任となります。なぜなら、「一式」とはそこにあるもの全てを含むからです。かといって、絶対に使わない大型の厨房器具などがあった場合、処分費用がかさむこともあります。そんなケースでは、見込まれる処分費用を値引いた譲渡費用にするなど、上手に交渉をしましょう。

・譲渡された厨房器具などが壊れていた場合
一旦、売買が成立したあとは、修理も処分も新オーナーの責任で行います。調子の悪いものはないか、譲渡前に設備の状態を聞いておきましょう。

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■造作譲渡料の交渉のポイント

退居予定者の提示額が、妥当ではないと感じられる場合、大抵は値引きの交渉が可能です。退居予定日までに次の入居者が決まらなかった場合、退居予定者はスケルトンへの原状回復工事をしなければなりません。そのため、適切な交渉を行えば、多少金額を落とせる可能性もあります。

ただし、物件の立地が良く、視認性も良い場合などは、ライバルが現れることも容易に考えられます。競争率の高そうな物件の場合は、あまり粘った交渉をせず、相手の条件をすんなりと飲むことも必要です。

飲食店の出店サイクルが速くなった近年も、造作譲渡の値段はあまり変化していません。しかし最近の傾向としては、スケルトン物件よりも居抜き物件のほうが良い立地であることが多く、また流通して間もない物件も多くみられます。居抜き物件は出店者にとって大きな選択肢となるので、気に入った物件があれば、うまく交渉して確保したいものですね。

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