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子育て・介護中でも、障害があっても安心して働ける! 飲食店のホワイト企業を目指す、京都『佰食屋』の働き方

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イキイキと働く『佰食屋』のスタッフたち

飲食店の人手不足がいよいよ深刻化してきている。今年6月の有効求人倍率は、高度経済成長期直後の昭和49年2月以来の高水準を記録。働き手にとっては、引く手あまたの状態だ。

人手不足が常態化し、長時間労働などで現場が疲弊している飲食店も少なくない。店の持続性を考えても、従業員が長く働ける環境を整えるのは経営者や人事担当者にとって急務である。

今回は、「平成27年度 京都市『真のワーク・ライフ・バランス』推進企業賞」を受賞した株式会社minitts(ミニッツ)を取材。代表取締役の中村朱美さんに、利益を上げつつ、従業員が働きやすい環境を整えるために必要なことを伺った。

『佰食屋』の看板メニュー。国産牛ステーキ丼定食 1,000円

店のコンセプトは「100食売り切って、早く帰ろう」

中村さんは大学卒業後、会社員として広報関係の仕事をしていたという。ときには帰宅が深夜になるような激務のために、将来自分が妊娠し、子育てをするイメージが湧かなかったそうだ。そこで、定年退職後に飲食店をやりたいと考えていた夫とともに、「本当に働きたいと思える店」を目指し、会社を設立。2012年11月に念願の店『国産牛ステーキ丼専門店 佰食屋(ひゃくしょくや)』をオープンした。コンセプトは、「本当に美味しいものを100限定で! そして100食売り切って、早く帰ろう」というもの。夫の料理の中でも、中村さんが特に好きだった「ステーキ丼」を武器に、毎日100食限定の店を始めた。

今でこそ、開店前から整理券を求める行列ができ、ランチですべて売り切れるほどの人気ぶりだが、開業当初はなかなか集客できず、夜まで営業している日もあったという。苦しい状況を打破したのは、従業員の行動だった。店の近くに韓国人向けの語学学校があることから、自主的に韓国語を勉強。韓国人のお客が来店したときには、あいさつやメニューの説明を丁寧に行った。それを来店客の一人がブログに取り上げたことで、客数が急激に増加した。

そのような経験から、中村さんは「私たちの最大の顧客は従業員。従業員がお客様にきちんと対応してくれることで、お客様が満足してくれる」と考えるようになり、誰もが働きやすい環境を整えることを経営課題としてとらえるようになったという。

現在『佰食屋』では、面談時に、勤務時間や勤務日数などの希望をヒアリングし、勤務に反映するようにしている。また、子供の送迎時間に合わせて出退勤できるフレックスタイム制の導入や、短時間正社員の採用など、従業員のライフスタイルに対応するさまざまな制度を作っている。年3回の賞与支給があり、有給休暇も完全に消化できる。「これまで子供の運動会に行ったことがない」「家族と一度も夕食を食べたことがない」という人たちが、『佰食屋』で働き始めてからは、趣味や家族との時間を充実させることができているそうだ。

中村さん自身が幼い2人の子供を育てる母親でもある。だからこそ、従業員が子供の成長に合わせて就業できるよう配慮し、「働くことに幸せを感じられるような環境」を整備している。

母親としての経験が、『佰食屋』の働き方にも反映される

余裕を持って人材を雇うことが、良い接客につながる

人手不足の状態が続くと、「休みたくても休めない」という状態になりがちだ。『佰食屋』では、従業員の有給休暇や、1年単位で振り替えできる休日などを設けているため、普段から1~2名多い人数を採用している。このことについて中村さんはこう語る。

「短期的にみると人件費がかさむので、無駄なことのように思えるかもしれません。しかし、従業員みんながプライベートの時間を楽しむことができれば、仕事にも必ず良い影響があると私は信じています。気持ちの良い休みがなければ、仕事は頑張れません。私生活の充実が、良い接客、サービスにつながり、長期的に会社に利益をもたらしてくれるのです」

ゆとりを持って働けることが、経験豊富な従業員の離職防止につながり、顧客満足度がアップするという好循環が生まれているようだ。余暇を生かして勉強に励み、自身のキャリアアップを目指すモチベーションの高い従業員も多く、周囲へ良い影響を与えている。

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三原明日香

About 三原明日香

これまでに、百貨店の会報誌や、フリーペーパー、グルメ冊子、地域の経済新聞などで取材記事を執筆。社会保険労務士や年金アドバイザーの資格を持ち、人事労務の分野にも詳しい。趣味は都内のカフェめぐりで、とくにチョコレートには目がない。