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竹田クニ氏が2018年の外食トレンドを探る。飲食店ならではの付加価値どう作り磨くか?

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ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏

2017年の3大グルメキーワードは「健康志向」「SNS映え」「一点特化」と報じられた(『HOT PEPPER』2017年12月号)。グルメランキングでは「スーパーフード」、「甘酒」、「チーズタッカルビ」が上位にランクインしたが、来年はどのようなトレンドが誕生するのか。ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリスト(伝道師)の竹田クニ氏に、2017年のトレンドや2018年以後の予想される潮流を解説してもらった。

『HOT PEPPER』読者が選んだ「2017年流行グルメランキング」

「一過性」か「骨太の背景がある」か、その見極めが大事

私はトレンド論を語るとき、必ず触れるのが「トレンドの背景に消費者のどんな価値観の変化があるのかを読み取っていくことが大事」ということです。

トレンドやブームというものは様々で、短期間で終息するものもあれば、長続きするものもあります。「ハイボール」はビールと並ぶライトアルコールとして完全に定着しました。また昨今、人を集めている「横丁」は新たなコミュニティーとして支持されています。一方、最近の流行、例えば牛カツ、ローストビーフなどは、商品自体が市場に受け入れられたことは事実ですが、今まで以上に存在感を増し店舗数が増えて定着するとは考えにくいように感じます。

トレンドの背景を読むというのは、その流行の裏に消費者の意識や行動、価値観の変化があるかどうかを見定めることです。例えば以前の例で言えば、「バーニャカウダ」。流行した当時は、「産地偽装」「農薬問題」などで食の安全安心が揺らいでいた時期でした。このメニューは素性のしっかりした野菜を使い、自然そのものの味を楽しむ、という自然食志向、健康志向のあらわれであったと分析できます。こうした消費者の価値観は、現在のオーガニック、イートグッドといった考え方、飲食店でいえば漁師直結モデルや農場レストランなどにつながってきているといえます。

このようにトレンドが「一過性」なのか、「消費者の価値観の変化にフィットする骨太なもの」なのかを見極めることが大変重要です。そして冒頭の3つのキーワードに未来に継続する「背景」のヒントがあると考えています。

外食市場の競争環境(作図:竹田クニ氏)

市場の質的変化1 -20世紀とは真逆の、様々な価値観が存在する市場-

キーワードの根底にあるのは、社会の変化と価値観の変化です。世の中が変われば、人の考えも変わり、価値観の変化で市場が質的に変化します。そして、20世紀とこれからの21世紀の外食産業を取り巻く環境は、下の図のように全く逆といっていいほど異なります。

20世紀とこれからの21世紀の外食産業を取り巻く環境

20世紀では、何か流行ると猫も杓子も一斉にブームが拡大する傾向がありました。外食産業でも「チェーン居酒屋」や「イタ飯」が流行ったら、それをフォーマット化して店舗を拡大すれば売上が拡大できました。

それがバブル後の失われた20年を経た今、流行を追い、それを拡大すれば売り上げも自動的に拡大する時代ではなくなりました。この変化は徐々に訪れたがゆえに業界としても気づくのが遅れた、気がついたらそういう時代になっていたというのが現実です。

20世紀は「一億総中流」とも言われましたが、今と比べれば価値観は多様ではなかったように思います。自己表現の手段はブログ、SNSと徐々に多様化し、現代は価値観の多様性を認める社会になっています。

Photo by iStock.com/gregory_lee

「モノ消費」から「コト消費」と言われて久しいですが、今の消費者は「消費の意味は何なのか」ということを問い始めています。「消費の意味」とは、これは○○産を100%使っていて、これを買うことが社会貢献につながるなど、いわゆるエシカル消費(環境や社会に役立つサービスを選んで消費すること)と呼ばれるものです。社会との接続の意味が消費にあり、それが「付加価値」になっていく。20世紀には考えられなかった要素が、消費の判断材料に入ってきています。

美味しいメニューが3つ並んでいた時に、どれを買うか。「安いもの」を選ぶ人、「社会貢献につながる」ものを選ぶという人、「プレミアムなもの」を選ぶ人、理由は様々です。価値観の多様化とは、こうした消費の中における評価のされかたの多様化と言い換えることも出来ます。

これら多様な評価の軸を可視化するのには、「バリューカーブ」という手法が有効です。下の図の例で言えば、同じカレーでも、安価で食べられるカレーと、価格が高くても特徴のある(この場合は安心安全な野菜がたっぷりとれる)「専門店A店」のカレーでは、持っている価値が全く異なります。

この2つのカレーが価格で勝負する必要はありません。価格は「価値」の一項目であり、消費者が何を求めるかによって、評価が違うということなのです。つまり、後者のカレーは価格競争をする必要はなく、価値相応の価格を値付けで売るべきなのです。

カレー店を例にした「バリューカーブ」(作図:竹田クニ氏)

市場の質的変化の一つ目は、このように社会の変化と、それを背景とした消費の価値観の変化によるものと考えられます。

市場の質的変化2 -外食・中食…カテゴリーを超えた競争-

もう一つの市場の変化は、外食、中食…従来のカテゴリーを超えた「食産業」間の競争が発生したことです。

食産業にかかわるテクノロジーは近年、目覚ましい進化を遂げています。つくる、保存する、運ぶ、見せるという技術は、それぞれに圧倒的に進化した結果、コンビニやスーパー、デパ地下、持ち帰り惣菜店で提供される中食のクオリティーも非常に高くなりました。

それだけでなく、コンビニのイートイン、グローサラント(スーパーマーケット内で食べる方法)など、これまでの外食・中食というカテゴライズでは分けられない営業スタイルの店舗が次々と登場しています。特に「ハレとケ」の「ケ」である飲食シーンにおいては外食を脅かす存在となりつつあります。

また「ハレ」のシーンにおいても、レンタルの「パーティースペース」が進化しており、豪華なインテリアと、最新のプロジェクターや音響設備、照明設備などを備え、宴会需要の強力なライバルとなっています。

外食産業を取り巻く4階層の戦いと新興プレイヤー(作図:竹田クニ氏)

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松田 隆

About 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ジャーナリスト松田隆 公式サイト:http://t-matsuda14.com/