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飲食店こそインスタ映えを狙え!創作ラーメン『MENSHO』のSNS時代を勝ち抜く店づくり

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『MENSHO』グループの代表を務める庄野智治さん

今年の流行語大賞は「インスタ映え」。この流れに乗り、飲食業界でも競うようにフォトジェニックな料理が生まれた。

そんな中、数年前から「写真うつり」に着目して店づくりを行ってきたのが、ラーメンクリエイターで『MENSHO』グループの代表を務める庄野智治さんだ。月替わりで登場する「創作ラーメン」は“SNS映えする”と話題で、SNSを通じて多くのファンを獲得。現在は国内8店舗、さらにアメリカ・サンフランシスコにも店を構えるまでになった。庄野さんにSNS時代を勝ち抜くための店づくりのポイントを伺った。

「旬」を感じる月替わりの創作ラーメン

創作ラーメンを作ることになったきっかけを尋ねると、「ちょくちょく通ってくれるお客様がいたので、定番とは違うラーメンがほしいと思ったのがきっかけです」と庄野さん。最初に作ったのは、寒ブリを使った塩ラーメン。定番として提供している豚骨魚介系スープとはまるっきり違うラーメンだった。

「当時は時間もあったので、月に2種類の創作ラーメンを出したこともあります。お客様の中には『定番よりこっちの方が美味しいね』なんておっしゃる方もいました(笑)」

月替わりで登場する創作ラーメンを作るうえで、庄野さんが大切にしているのは「旬」。食材を決め、全店舗の基本となる一杯を作った後は、それぞれの店舗のコンセプトに合わせて味を落とし込んでいく。同じサクラエビを主役にするにしても、アメリカナイズされたつけ麺や和風仕立てのラーメンなど、その味はさまざまだ。

「例えば、2月のテーマは毎年チョコ。これが最初は、本当にまずかった(笑)。でも10年の研究の末、今はちゃんとカカオの風味が感じられる美味しいラーメンに仕上がりました。また通常は1,000円以内に抑えている創作ラーメンも、毎年年末には高級食材を使ってプレミアム感を演出。1杯1500円のものを提供しています。今年はウニをふんだんに使う予定です」

お膳スタイルでつけ麺が楽しめる「一汁三菜つけ麺」

庄野さんが作るラーメンは、意外性のある素材使いが一つの特徴でもある。意外性がありながらも、うまく一杯にまとまっているのは、食材一つひとつの味や魅力を丁寧に表現しているから。それを実現するために、積極的に生産者へ会いに行き、地元の人ならではの調理法をリサーチする。こうして生産地に赴くことで得られた新たな発見が、ラーメン作りに大きな影響を与えている。

「例えば、高知に生姜を見に行ったときに気になったのが、その葉っぱです。生産者の方に聞くと捨てるものだったのですが、葉の部分でスープを作ると、ピリッとした辛みがありつつも爽やかな香りがするスープができました。現地に行かなければ、見つけられないものですよね」

また、生産地に足を運ぶことで食材を大切にする思いが高まり、食材がより良く見える盛り付けを意識するようになった。その盛り付けの美しさもSNSにアップされる理由につながっているが、当初からSNSを意識していたわけではない。あくまでも、見た目の美しさを追求するだけであった。

転機が訪れたのは新宿二丁目に二号店目である『二丁目つけめん GACHI』をオープンした頃。オープンしたのは2011年、ちょうどこの頃はFacebookの国内利用者が1000万人を超えるなどSNSが転換期を迎えた頃。「この頃からラーメンの写真を撮るお客様が増え始めました」と庄野さんは語る。

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戸田千文

ライター: 戸田千文

広島・東京を中心に活動するフリーランスの編集・ライター。これまでにグルメ冊子や観光ガイドブック、町おこし情報誌などの編集・執筆を担当。地方の魅力を首都圏に発信する仕事をするのが夢。おいしい地酒を求め、常にアンテナを張り巡らせ中。