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飲食店の売上アップの鍵を握る「デリバリー」。老舗洋食店、開始3か月で新規客開拓に手応え

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デリバリー商品の準備をする『レストランせんごく春日本店』桜井進店長

飲食店が売上を伸ばすための手段として注目を集めている「デリバリー」。2017年11月に飲食店.COMが行なったアンケートでは、20%の店舗がデリバリーを利用していると回答。今後もこの割合は増加していくことが予想される。

そんな中、1970年創業、欧風料理の老舗『レストランせんごく春日本店』(東京都文京区本郷)は2017年12月からデリバリー事業を開始。売り上げはアップし、新規顧客の獲得にもつながっているという。デリバリーが老舗をどのように活性化させたのか、同店に話を聞いた。

1970年創業、年輩客の「配達はしてもらえない?」が導入のきっかけに

『レストランせんごく春日本店』は(有)レストラン千石が運営する洋食の専門店で、ステーキ用の上質な赤身の肉を細切りにしてハンバーグにする「ステーキ・ハンバーグ」(200g/1280円)が人気を集めている。客単価はランチが1000円程度、夜は1600円から2000円。東京ドームからおよそ500mという絶好の立地で、周辺住民、オフィス街のサラリーマン・OL、東京ドームでの野球、ライブなどのイベント帰りの人が主な客層になっている。従来お弁当(テイクアウト)の販売も行っていて、その売り上げは全体の5~7%に達していた。

多くの固定客に、東京ドームのイベント帰りの新規客で安定した経営をしていた同店がデリバリーの利用を思い立ったのは、弁当を買う客からの声だという。「お客様に年配の方が多いので『配達はしてもらえないのでしょうか』というお問い合わせを結構いただいたのがきっかけになりました」と桜井進店長は説明する。

デリバリーを始めたきっかけは、弁当を買う客からの要望だったと話す桜井店長

デリバリーには配達代行サービスを活用

デリバリーも方法は様々である。昔ながらの蕎麦屋の出前もデリバリーサービス。もっとも、最近ではデリバリーを代行するサービスが都内を中心に広がっており、経営効率から配達は専門の会社に任せるのが主流となっている。『せんごく春日本店』では代行サービスの中から3社を候補とし、担当者の説明とアドバイスを聞き「ファインダイン」と契約した。注文から始まり、配達までのシステム全体を「魅力的だな」と感じたこと、なかでも電話注文を受けつけている点は、年配のお客様の利用を考えたときにとても有益だと感じた。さらに「銀のさら」をはじめとしたデリバリー事業を長年運営してきたことへの信頼、初期費用がかかるだけで、後は注文が入らない限り料金がかからないというシステムのため、リスクが少ない点も決め手だったという。「毎月かかるお金というのがなくて、運用しやすいというのがありました」と同店長。

スタート前には担当者と詳細な打ち合わせを行った。たとえばメニューの作成でも、店内なら前菜を先に紹介するのが通常だが、デリバリーはメインを食べる人が多いので、目につきやすい一番上にメインを持ってくるなどの工夫が必要という細かい点までアドバイスを受けた。

それでも始める前は不安があった。まず、通常の店内業務と並行してやらなければいけないので、作業の負担にならないかという点。さらに弁当を提供する場合との違いが、気になったという。弁当は電話で注文を受け、他の注文の入り具合や店内の混雑状況を見ておよその提供時間を伝えることができた。しかし、デリバリーでは客はファインダインとやり取りするため、ピークの時間帯に注文が重なっても決められた時間に作らないといけない。そのことで、店内の客への料理提供が遅れるなどのしわ寄せがいくのではと心配したのである。

しかし、その2点は杞憂に終わった。ファインダインのサイトから調理時間の設定ができるため、ピーク時には通常の時間帯より少し余裕を持って設定することにした。それだけで作業負荷も、店内の客への対応も問題になることはなかった。最初の1か月はその方法で行い、慣れた2か月目以降は特にピーク帯でも設定を変えることなく対応できている。

ファインダインでは、店内が忙しい場合、デリバリーの調理時間を長めに設定することも可能

予想を超える注文に「こんなに売れるんだ!」

実際に始めてみると、ファインダインから「この程度の注文は入るでしょう」という予想を超える注文が入ってきて、うれしい悲鳴であった。開始から3か月で全体の売り上げのおよそ3%を占めるまでになっている。「気が付いたらデリバリーのための容器がなくなっていて、『こんなに売れるんだ』と驚いたほどです」と言う。注文回数が画面に表示されるため、数字が増えていくと従業員の気持ちも上昇していく。なかには3日連続で注文してくれる客もいた。また、初めての客だと「美味しい料理でリピートしていただこう」と、やはり力が入るという。客からの声はファインダインを通じて入ってくるが「注文が届くと嬉しくなる」「美味しくて毎回頼んじゃう」などの声が寄せられた。

弁当と合わせると全体の1割近くがイートイン以外での売上。デリバリーでは食器の上げ下げ、注文を取る、皿洗いなどの手間がなく、席を占めることもない。さらに「シェフの手が空いていた時間に注文が入るようになり、それらを含めて経営効率の改善になりました」と同店長は笑顔を見せる。

配達地域を見ると、千代田区など店舗から遠い場所からのオーダーがよく入ってくる。「普段は足を運んでいただける場所ではない」と思い、マーケットの拡大を感じている。デリバリーでの注文は、看板の「ステーキ・ハンバーグ」、「せんごくステーキ(リブロースステーキ)」が多い。

デリバリーの人気メニュー「ステーキハンバーグ200g」 1,960円

最も良かったのは売上、確実な配達員確保も評価

実際に利用を始めて3か月、桜井店長が最も良かったと感じるのは売上面。デリバリーを含めて前年同日比増ということも多く、新たな顧客確保につながったのを実感できている。また、料理が出来上がる前には必ずファインダインの配達担当が店に来て、温かい料理をすぐにパックして配達できるという、当たり前のことが確実にできているのもありがたい点。リピートする客も少なくないことから、おそらく温かいまま料理が届いているであろうことを実感している。

そしてデリバリーへの進出は店舗の従業員にもいい効果を与えている。例えば雨の日に客足が遠のきがちになり店内に空席が目立つこともあるが、雨の日にこそデリバリーの注文が増える。ネットで注文が入ると「ファインダイン入ったよ~」とスタッフも明るくなるという。

デリバリーへの進出は従業員にもいい効果を与えている

今後はデリバリー客へ店内営業のアピールを

今後の課題は、デリバリーで届けた客に店内や弁当のアピールをしていくこと。現在、デリバリーの際に入れるチラシを制作中で、近々スタートさせる予定である。わざわざデリバリーで注文してくれる客、特にリピーターは店内にも来てくれる可能性が高い。非常に期待のできる客層であるから積極的にアピールしていくという。またデリバリーの比率を現行の3%から5%にアップして、弁当と合わせたイートイン以外の売上を10~12%とすること目標としている。「店外比率が増えれば、店内の接客の時間を増やすことができて、サービスをさらに充実させることができるのではないかと思っています」と桜井店長は様々な可能性を考慮している。

さらに「ファインダインさんの仕組みだと自分たちが接客できない、商品説明ができないというのがありますから、今後は商品説明のカードを入れていこうと思っています。お客さんの声はファインダインさんが間に入って届けてくれるので、店側からの声をお客さんに伝える工夫を考えています」。

新しい販路の確立によって、1970年創業の老舗が新たな発展のステージへと進みつつある。ファインダインなどのデリバリー業者が、新しい時代の飲食店のあり方に貢献しているのは間違いなさそうだ。

1970年創業。地元住民に愛される街の人気店だ

『レストランせんごく春日本店』
住所/東京都文京区本郷4-25-8 レッチフィールド本郷4丁目 2F
電話番号/03-3815-5606
営業時間/月~金11:00~L.O.16:00、17:00~L.O.22:30、土日祝11:00~L.O.22:30
定休日/無休

■ファインダインの詳しい情報・お問い合わせはこちらから
https://www.finedine.jp/partner/

[提供]株式会社ライドオンエクスプレス

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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