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世界的な評価が高まる日本のレストラン。「アジアのベストレストラン50」で日本勢が国別トップに

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「アジアのベストレストラン50」の授賞式の様子

今年2月に、大手ミネラルウォーターメーカーであるサンペレグリノとアクアパンナがスポンサーを務める「アジアのベストレストラン50」2018年版が発表。その授賞式が3月27日にマカオのウィン・パレスにて開催された。

本ランキングは、アジアの飲食業界で活躍する300名以上の専門家たちによる投票で決定。料理の美味しさだけではなく、トレンド性や発信力、シェフのスター性なども評価の対象になる。今年で6年目と日は浅いように感じるが、趣向に違いはあれ、昨今ではミシュランガイト同様に権威あるランキングとして認知されている。

今年は日本勢が過去最多の計11軒ランクイン

ランクインするレストランやその順位が激しく変動することでも有名な「アジアのベストレストラン50」。今年は日本からは国別で最多となる、計11軒のレストランがトップ50入りを果たした。

頂点を勝ち取ったのは、バンコクのインド料理レストラン『ガガン』。4年連続で1位の座を守り抜いた『ガガン』に続いたのは、昨年11位だった東京・神宮前の『傳』(「日本のベストレスラン賞」も同時受賞)。そして3位には、昨年14位だった東京・神宮前の『フロリレージュ』が輝いた。また、大阪・本町の『ラシーム』は17位、東京・銀座の『イル・リストランテ ルカ・ファンティン』は28位で初のベスト50入りを果たした。

見事栄光を勝ち取った日本のレストランは以下の通り。

2位  『傳』(東京・神宮前)
3位  『フロリレージュ』(東京・神宮前)
6位  『NARISAWA』(東京・南青山)
9位  『日本料理 龍吟』(東京・六本木)
17位 『ラシーム』(大阪・本町)
20位 『レフェルヴェソンス』(東京・西麻布)
27位 『鮨 さいとう』(東京・六本木)
28位 『イル・リストランテ ルカ・ファンティン』(東京・銀座)
34位 『HAJIME』(大阪・肥後橋)
38位 『カンテサンス』(東京・品川)
48位 『ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ』(福岡・西中州)

大阪・本町の『ラシーム』が初登場で17位にランクインし、他の新規入賞レストラン7軒を抑え、本年度の「最上位の新規入賞レストラン賞」を受賞。また、トップ10常連店の『NARISAWA』オーナーシェフ・成澤由浩氏が「シェフズ・チョイス賞」を受賞。今年20位にランクインした東京・西麻布の『レフェルヴェソンス』は「アジアのサステナブル・レストラン賞」の初の受賞レストランとなった。

3位に輝いた『フロリレージュ』の料理。素材に経産牛を用いるなど、メッセージ性の強い料理を得意とする

日本=和食だけではない。世界に認められた日本人スターシェフ

3位にランクインしたフランス料理店『フロリレージュ』のオーナーシェフ・川手寛康さんは、昨年行った『Foodist Media』のインタビューでアジアのベストレストランのランキングについて上位を狙っているとハッキリと宣言していた。

「今後はアジアベスト50の中でも上位、ワールド50でも50位以内を目指しています。世界中からお客さんが来てくれれば、僕たちが発信することを知ってもらう機会も増えます。世界に出れば出るほど、『日本にはすばらしい料理人がたくさんいるのに、それがムーブメントにつながらない』ということにもどかしさを感じてしまいます。(中略)和食にこだわらず日本らしさを表現しつつ、新しい価値観をクリエイトして衝撃を与えるようなレストランを作らないと、世界では戦っていけないかもしれません。僕ら料理人は、イノベーティブという同じ土俵で切磋琢磨していく必要があるのです」

今年のランキングで日本勢は、2016年度の「10店舗ランクイン」を上回る好成績を残し、国別では堂々のトップとなった。過去のランクインの状況を調べてみると、昨年は日本と同数首位でタイとシンガポールが9軒、2016年は日本とシンガポールが同数首位で10軒ランクイン。2015年・2014年・2013年は中国が最多であった。決して数だけで語れるものではないが、日本勢が健闘していることが6年の歩みからも分かる。今年の結果は、世界に向けて積極的に情報発信しているクリエイティビティなレストランが日本に増えてきた証拠なのかもしれない。今夏、スペイン・ビルバオで開催される予定の「世界のベストレストラン50」にも注目したい。

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逆井マリ

ライター: 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。