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外食上場企業の海外進出が加速。『すき家』は国内の10倍にあたる年100店の出店を計画

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Photo by iStock.com/ekash

外食企業の海外進出が加速している。「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは、中国を中心に年100店ペースでの出店を計画しているほか、元気寿司も2019年3月期までに海外250店舗の達成を目標として掲げている。背景としては日本食の評価が海外で高まっていること、そして、国内では新規出店のための人材確保が困難になってきていることが考えられる。

では、ほかの外食企業の海外進出状況はどうだろう? 気になる企業をいくつかピックアップしてご紹介したい。

■株式会社エー・ピーカンパニー
「生販直結」のビジネスモデルで、地鶏専門の居酒屋『塚田農場』を中心に展開。2001年創業の若い会社だが、国内の店舗数は約200店舗になる。最近は、佐藤可士和氏が空間プロデュースを手掛けた『焼鳥つかだ』『炉端つかだ』を相次いでオープンし話題となった。

海外進出は2012年から。初出店はシンガポールで、現在の海外店舗数は15店舗。シンガポールで『美人鍋 塚田農場』ブランドの人気を確立できたことで今後の海外出店にも意欲を見せており、2022年までにインドネシア国内で20店舗の出店を目指す。ちなみに日本国内では、既存店のリニューアルを中心に進めており、新規出店は控え気味。海外での今後の動向に注目が集まっている企業のひとつだろう。

■株式会社力の源ホールディングス
ラーメン店『一風堂』など全国で約140店舗を展開。女性ひとりでも入りやすいスタイリッシュで清潔な店構えが特徴だ。海外では2008年のニューヨーク店を皮切りに、ほぼ毎年のように出店をしている。

2018年3月にはニューヨーク4店目となる新ブランド『黒帯 KURO-OBI』をオープン。4月にはオーストラリアで5店目、6店目を立て続けにオープンするなど、海外出店には非常に積極的だ。そのほか、イギリス、フランス、中国、シンガポールなど、かなりグローバルに展開しており、現在は全12か国77店舗にもなる。今後も特定の国にこだわらず、日本のラーメン「IPPUDO」を世界中に広めていく構えだ。

Photo by iStock.com/Seung Heo

■株式会社 WDI
20種以上のマルチブランド展開を武器に、『カプリチョーザ』や『ハードロックカフェ』などの人気店を全国に190店舗ほど運営している。海外での初出店は1980年の『トニーローマ ワイキキ店』だ。その後しばらくは海外出店を控えていたが、2007年以降はハワイ、シンガポール、台湾などで出店を加速。現在は全11ブランドで37店舗になる。

■株式会社串カツ田中
2008年に串カツ専門店の『串カツ田中』を開業。関東圏を中心に、全国で店舗数を急速に伸ばし、わずか10年で166店舗にまで成長している注目の企業だ。海外では、2016年にワイキキ店、2017年にシンガポール店をオープン。「SUSHI」「RAMEN」に次いで、「KUSHIKATSU」が世界的に広まっていくのか、今後の動きから目が離せない。

今回は4社の海外進出状況を比較してみた。シンガポールや中国、ハワイを中心に進出している点は共通しているが、企業ごとに強みや戦略は異なるようだ。現地でのスタッフの雇用や教育に課題はあるが、世界を舞台に日本の飲食企業がどのように成長していくのか今後も期待したい。

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大槻洋次郎

ライター: 大槻洋次郎

父親が喫茶店を営む家庭に生まれ、31才の時にカフェで独立開業。個人経営のこだわりカフェの先駆者的存在となった。現在は大手カフェスクールや展示会での講師活動、飲食店の開業支援などを行なっている。現場目線の初心者でもわかりやすいノウハウに定評がある。メディア出演も多数。得意料理はパスタ。