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飲食店のHACCP導入が義務化。早期導入した『Café&Meal MUJI』の手法と考え方とは?

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取材・撮影にご協力いただいた『Café&Meal MUJI 上野マルイ店』

2020年、食品工場などで扱われる衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」が飲食店への導入を義務付けられることが話題となっている。食中毒などを防止するため、飲食店で細かな衛生管理手法を取り入れることは、決して悪いことではない。しかし、実際にどうすれば良いのか、大変な手間やコストがかかるのではないかと悩んでいる飲食店経営者も多いことだろう。

今回は、国内でも数少ないHACCP導入店である『Café&Meal MUJI』を経営する株式会社良品計画、カフェ・ミール事業部の小松将司氏に話を伺い、HACCP導入の手順やメリットを聞いた。

HACCP認証店に聞く、基本的な仕組みと方法

株式会社良品計画は2013年、カフェ・ミール事業部と経営する国内の飲食店(Café MUJI、Café&Meal MUJI)にて、「マルチサイト SGS-HACCP認証」を取得している。検査・審査登録機関となるSGSジャパン株式会社から認証審査を経て、国内の一般飲食業としては初の取得となった。

そもそもHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、調理・製造過程を確認し、どんな危害要因があるかを鑑み、それに対する対策・管理法を決めて実行する衛生管理手法だ。これまでの衛生管理手法は、出来上がった料理サンプルを確認し、問題がなければ良いという仕組みが一般的だった。

しかし、それでは本当にすべての食品が安全とは言い切れない。そこでHACCPでは原材料から仕入れ、調理工程などを見てどのポイントに問題が出る可能性があるかをピックアップし、実際の調理や製造時にその点をクリアしているかを確認する仕組みを取っている。主に、食品製造工場やホテルなどで利用されてきた方法であり、飲食店の導入はまだ少ない。

一見かなり難しく感じられるが、シンプルに考えると衛生管理方法のルールを作り、それを守ろうとする取り組みのことを指している。「ルールは難しいものではなく、肉であれば火を入れる、牛乳であればすぐに冷蔵庫の中にしまうというような常識の範疇のものを指します」と小松氏は語る。

たとえば『Café&Meal MUJI』では、「からあげ」がメニューとして提供されているが、火を入れる工程がチェックポイントになっている。揚げ上がった温度を75℃以上にすると決めており、芯温を計って確認する。ほかにも、サラダ類は火入れがないため、殺菌がポイントとなる。殺菌液にどれくらい浸ければ良いかを決め、実行している。

潔感溢れるデリのコーナーは、細かな温度管理がなされている

HACCP実行の肝は「記録」

HACCPの手法は、仕入れから調理工程、お客様に提供するまでの過程で問題が起きていないことを示すシステムだ。だからこそ、安全性が確保できていることをお客様に示せるほか、食中毒などのトラブル回避にもつながる。しかし、ただHACCPの手法を実行するだけでは、トラブルが起きた際に本当におこなっているかどうかを実証することはできない。そこで重要なのが、決めたことをきちんと実行していることを証明する「記録」だ。

『Café&Meal MUJI』では、すべてのレシピにおいて各チェック項目がある。加熱、冷却、殺菌、納品、温度計記録などの項目を設け、毎日、調理の度に記録する。ほかにも、開封済みの食品は開封日を記録し、定期的に保存状態を確認するなど、調理以外のところもチェックポイントとしている。

「ヨーグルトなど、調理前の仕入れがチェック項目にある場合は、納品時に状態を確認し、問題があれば返品するようにしています。仕入れに困ってしまうリスクもありますが、繰り返し納品先に伝えることで、認識を深めてもらっています」。

このように、納品の段階で安全かどうかを判断しなければならないこともあるが、安全性を確保していくためには、問題が発生しうるすべてのポイントで安全を確認し、記録を残す。その徹底こそがHACCPの肝となる。ちなみに、『Café&Meal MUJI』では、アドバイザーの衛生管理会社に指導してもらいつつ、HACCP導入をおこなっているそうだ。

多大なコストは不要。今あるものでHACCPを導入できる

意外にも、HACCP導入にあたっては、高価な機械などは必要ない。問題が出る可能性のあるポイントを見極め、記録することが重要であるため、コストをそれほどかけずに実行できる。

たとえば『Café&Meal MUJI』では、まな板や包丁を色分けし、使い分けている。肉は赤、野菜は緑、魚は青といったようなイメージだ。そのことから調理器具を複数揃え、接触しないように収納するスタンドや殺菌灯のある包丁ケースを用意するなどの準備が必要になる。

スポンジは直接シンクに接触しないよう、スポンジ受けを用意し、さらに水はけがよくなるようにスポンジ受けの中にすのこを置く。乾物、スパイスなどは外に置いておくとほこりが混入することがあるため、引き戸にしまっておかなければならないことから、扉付きの収納庫を増やすといったことがなされている。

そのほか、温度計を増やすなどといった細かなコストはかかるが、高価な機械もハイレベルな技術も必要はない。今あるもの、すぐ手に入るもので導入できるのがHACCPだ。

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竹野愛理

About 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。