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「炭と会話する男」が妻と目指す超繁盛店。浅草『ハレノイチ』の「隠れた名店」戦略

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『博多串焼き ハレノイチ』のオーナー・板木駿一氏と千晴夫人

「炭と会話しながら焼く男」の串焼きが、リピーターの心を掴んで離さない。台東区浅草、浅草ビューホテルの裏路地にある10坪ほどの路面店『博多串焼き ハレノイチ』。オーナーの板木駿一氏(35)は、人気居酒屋を複数手掛ける(株)ベイシックスで修行し、六本木『ジョウモン』の店長時代、トリップアドバイザーで関東地区5万店舗の頂点に立った凄腕でもある。派手な看板を出さない「隠れた名店」路線で2017年9月の開店後、1日の来客3人というどん底を見ながらも月商300万円に到達。「常に200%」を求めているという板木氏に、オープンから突っ走った9か月について話を聞いた。そして『ハレノイチ』の店名に隠されていた秘密とは?

浅草ビューホテルの裏の路地にある『ハレノイチ』。立地へのこだわりベイシックスで培ったもの

繁華街の目立たない立地に「ここでやらずにどこでやる」

取材に訪れた日、浅草ビューホテルの裏で店舗を探したが、見当たらない。やむなく電話をしたら、15mほど先の店舗の前で受話器を片手に持った板木氏が笑顔で「こっちですよ」と手を振ってくれた。「繁華街の、あまり目立たない立地で、看板を出さずに口コミを中心に集客」というベイシックスの手法に忠実な展開を、まずは筆者が肌で感じることになった。

全面ガラス戸の開放的な店内。木目が鮮やかなカウンターと、タイルを使った内装、壁には抽象画のようなデザインが並ぶ。昭和と21世紀が同居するような不思議な空間に、客はセンスの良さを感じつつグラスを傾けるのだろう。

独立のためベイシックスを離れ、1年弱かけて30から40の物件を見たが、どれもピンとこない。焦りも出始めていた時期、この物件に出合った。「間口と店内を見た瞬間に決めて、その日のうちに申し込みました。居酒屋という業態、串焼きのコンセプト、この内装、今までの自分のやってきたことを考えた時に『負けないな』と思いました。表通りに比べて家賃が安く、間口も広いし、個人店には扱いやすい10.8坪。串焼きの炭火も使えるということで『ここでやらずにどこでやる』と思いました」。

店内の様子。カウンターの目の前に焼き台があり、客は串焼きの臨場感が楽しめる

「隠れた名店戦略」。一晩で3人の夜を乗り越え繁盛店へ

ベイシックスの手法はメリット・デメリットがある。それほど良くない立地のため家賃が安くキャッシュフローを圧迫しないのは、その最たるものであろう。デメリットは客に店の存在を浸透させるのに時間がかかることである。立地の悪さをカバーするために表通りに看板を出す方法も考えられるが、逆に「あの店、いいよ」と隠れた名店を目指すのがベイシックスと板木氏が選んだ手法。

「当初に予定していた月商の120%ぐらいにはきています。1年目でここまで売れるのはいいのかなと思います。ただ、坪あたり50万円、60万円売るのを目標にはしています」と言う。こうした上を目指す情熱こそがベイシックスで身につけた強さである。板木氏は続ける。「ガンさん(ベイシックス 岩澤博代表取締役)の常に100%でなく、200%を目指すという志向、その環境で僕は育てられました。今、ウチは坪月商30万円という一般的な繁盛店と言われるぐらいはありますが、それ以上の超繁盛店を目指して、もっともっと上を追求していかないといけないと思います」。

ベイシックスの店舗でも看板を出さずに繁盛店になるには3年から5年かかるという。板木氏がトリップアドバイザーでトップを取った六本木『ジョウモン』は、今でも売上が伸びていると言われる。『ハレノイチ』は開店から9か月。超繁盛店へ、本当の勝負はこれからである。開店2か月目の2017年11月には一晩の来客が3組3人という日があったという。「内心は焦ります。でも、そういう時にその3人のお客さんとどういう会話が、接客ができたのか、喜んでいただけたのかを考えないと。『今日は3人しか来てくれなかった、ダメだった』というのではなく、せっかく来てくださったお客さんに、また来ていただけるような雰囲気づくりを意識しないといけないと思います」。

商売はその日で終わりではない。日々の積み重ねが明日の来客につながり、その繰り返しから繁盛店が生まれるのである。

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松田 隆

About 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ジャーナリスト松田隆 公式サイト:http://t-matsuda14.com/