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繁盛店の“なるほど!”業態アイデア4選。他店では味わえない「体験」で集客!

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写真はイメージ。Photo by iStock.com/7maru

飲食店を繁盛させるには「味」や「サービス」、そして「空間」といった様々な要素が求められる。こうした店の基盤をしっかりと整えていくことが繁盛店には欠かせないが、そこに店独自の「アイデア」を加えることができればさらに強い店になる。そこでここでは、個性が光る繁盛店を4店舗ピックアップ。その業態アイデアを紐解いていく。

■『喜久や 恵比寿店』 -天ぷらを流行の「立ち呑みスタイル」で-
『喜久や 恵比寿店』は、天ぷらをメインにした立ち呑みバー。「天ぷらという文化をカジュアルに、世界に広げていく」をコンセプトに、2015年10月にオープンした。

天ぷらを扱う店舗はこれまで、800円程度で丼物を提供するチェーン店と、客単価10,000円前後の高級店に二極化していた。客単価3,000円ぐらいで天ぷらとお酒を存分に楽しめる同店は、その隙間を上手く狙ったといえるだろう。

この価格帯が可能になったのは、大きく2つのアイデアがあったからだ。アイデアの1つ目は、回転率が上がる「立ち呑みスタイル」を取ったこと。そしてもう1つは、調理法を工夫したことだ。

通常、美味しい天ぷらを揚げるには技術が必要だ。同店では特殊なフライヤーを導入し、経験が浅くても、スタッフが変わっても、一定の美味しさに揚がるように工夫した。また、フライヤーを厳選したことで、豆腐や大根といったこれまで天ぷらには不向きとされてきた素材を提供できるようになり、料理面での差別化にも成功した。こうして、「適正価格で、今までにない天ぷらの楽しみ方ができる店」になったのだ。

■『一口餃子酒場 BLG』 -女子もビジネスマンも大満足の餃子店-
2015年あたりから、「餃子女子」という言葉を聞くようになった。ひと昔前は、餃子に「ニンニク臭い」「油っこい」などのマイナスイメージがあったが、それも大分和らぎ、今や女性からも支持を受けるメニューとなった。

一方で、ビール×餃子がビジネスマンなどに支持され続けていることに変わりはない。『一口餃子酒場 BLG』は、こうした餃子へのあらゆる要求をカタチにした店だ。女性も入りやすいオシャレなバルスタイルで、「ビール」と「餃子」の相性を大切にしたメニューを提供している。餃子は定番から変わり種まであり、同店のグループで消費される餃子は年間30万個にもなるという。

また近年は、健康を気にする男性も増えてきている。そこで同店では、餃子のタネはソイミート、皮はグルテンフリーの玄米米粉を利用した「Soy meat餃子」も提供している。店自慢の味はそのままに、糖質もカロリーも“OFF”できるという。

さらに、記念日等のサプライズにも積極的に取り組んでいる点も面白い。記念日にはフルーツアートプロフェッショナルの資格を持ったスタッフがオリジナルフルーツデザートを用意してくれるという。これまでの餃子専門店とは一線を画す餃子専門店になっているようだ。

写真はイメージ。Photo by iStock.com/fotoVoyager

■『スペイン料理パブロ』 -本場スペインの常識を打ち破る「2色パエリア」を開発-
今年4月、東京・中目黒にオープンした『スペイン料理パブロ』は、「2色パエリア」が食べられる店として注目されている。

パエリアはスペインを代表する料理だが、米料理であるためか、好む日本人は多い。また、その華やかさは「インスタ映え」することもあり人気が高まっている。しかし、米料理なので「お腹に溜まってしまう」「一皿の量が多い」といった理由から、数種をオーダーして味わうことは難しい。そこで同店では、中国の「火鍋」のように、2色に染まったパエリアを開発した。

店主はスペインで4年間修業し、その後「国際パエリアコンクール」日本大会で2年連続準優勝。スペインパエリア協会公認の「パエリア師」である。実力者であるからこそ、本場スペインにない食べ方を取り入れることには躊躇するだろう。しかし、「お客様を楽しませたい」という思いから、このアイデアが生まれたという。

■『ネオ中華バル 好中熊猫』 -レインボーブームの“次”を仕掛ける-
今年8月に大阪でオープンした『ネオ中華バル 好中熊猫』。最大の特徴は、店名の「熊猫(パンダ)」の象徴である「白黒」をメニューに落とし込んだこと。「麻婆豆腐」や「天津飯」など13種の定番中華メニューと2種のドリンクを、竹炭粉を使って真っ黒に染め上げて提供。食器は白で揃え、黒と白の世界を徹底している。

現在も“インスタ映え”ブームが続いているが「レインボー」ブームが終息傾向にあるところに同店は目をつけた。その反対にあるモノクロ映えを仕掛けようと、料理を開発したという。黒色を美容効果もある竹炭粉を使って出す点も女性に受け入れられそうだ。

さて、今回はアイデアが光る繁盛店を4店舗ご紹介した。最近は、その店でしか味わうことができない「体験」が、飲食店の大きな武器になることが多い。もちろん「味」や「サービス」といった基本が伴っていることが重要だが、「アイデア」が集客のきっかけになることもある。ぜひ自店でしか味わえない価値を作ることにチャレンジしてみてほしい。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」