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10月11日、ついに豊洲市場が開場。築地市場移転、メリットある一方で懸念も

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写真は築地市場の様子。Photo by iStock.com/VittoriaChe

「日本の台所」と呼ばれてきた築地市場が2018年10月6日、ついにその役目を終えた。そして10月11日には、新市場となる豊洲市場が開場。築地の水産業者、青果業者、飲食店、物販店など計1,600以上の業者がほぼ丸ごと豊洲に移転することとなった。

豊洲市場は築地市場の約1.7倍、約40万平方メートルの広さを誇り、高速道路や幹線道路などへのアクセスも良好だ。築地からも近く、これまでの取り引きへの配慮もされている。

築地市場との大きな違いは、その構造にある。いくつかの建物で構成された閉鎖型の施設である豊洲市場は、開放的な空間であった築地に比べ、衛生管理や温度管理がしやすいという利点がある。さらに近年の中食市場拡大に合わせて、加工パッケージのできる施設を新設したり、日本初のチーズ市場を展開したりとこれまでにない取り組みを行い、さらなるパワーアップを図っている。

写真は築地市場の様子。Photo by iStock.com/SeanPavonePhoto

一方でこんな懸念も…

しかし、期待が膨らむ一方で、新市場を不安視する声も多い。これまでの築地市場は開放的な平屋構造であり、ターレ(小型運搬車)やフォークリフトでの運搬がしやすかったが、豊洲市場は階数があるために上下の移動も必要になる。

水産仲卸売場棟である6街区にはターレ等の車両が移動できるよう、1階から4階にかけての運搬用のスロープが設置されているが、U字カーブなどがあり、決して移動しやすいとは言えない。さらに全体的には広くなったものの、築地にはなかった店舗間の仕切りが衛生管理のために設けられ、手狭になったと感じる業者も少なくないようだ。

地盤沈下も懸念材料の一つだ。ターレやフォークリフトなどの運搬車、さらに業務用の冷蔵庫など、市場では重量のあるものを多く収納しなければならないが、豊洲の地盤は不安定であることを指摘する声もある。

期待と不安、両方の意見が挙がっている新豊洲市場。築地ブランドを守り、伝統を引き継ぐことができるのか、今後の行方にも注目したいところだ。

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竹野愛理

ライター: 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。