外食業界の“今”がわかる。「外食総研セミナー」で語られた消費者の動向と繁盛のポイント
9月25日、ホットペッパーグルメ外食総研主催の「外食総研セミナー」が開催された。同セミナーは、ホットペッパーグルメ外食総研がユーザーに対して行ったアンケートをもとに、外食&中食市場動向を分析するというもの。
今回は、そこで発表された2017年度の外食&中食市場の動向及び、飲食店のリピート実態についてまとめていく。飲食店経営者にとって有益な情報も多いので、店づくりの参考にしてほしい。
2017年度、外食&中食タウンランキング
首都圏の外食市場規模ランキングを見てみると、5年連続で「新宿(代々木)/1,495億円」が1位。2017年度はこれに、「東京・日本橋・大手町(人形町)/1,119億円」、「銀座・有楽町/1,100億円」が続く形だ。同ランキングでTOP10に入った街の市場規模は、軒並み前年度よりプラスとなっているが、6位の「渋谷・表参道(原宿)/745億円」のみ、-8.5%と減少傾向にある。
また、外食市場規模において最も伸び率の高い街は、前年度比+22.4%で「海浜幕張/138億円」。1位の海浜幕張をはじめ、都心部より縁辺部の街のランクインが目立つ結果となった。
2017年度、外食&中食動向
2017年度の外食&中食市場では、外食や中食の「利用回数」および「単価」が前年度よりも増加。外食市場は4兆752億円(首都圏、関西圏、東海圏の合計)、中食市場は1兆1,614億円(首都圏、関西圏、東海圏の合計)と、ともに前年度よりも市場規模が拡大している。それぞれの実態について、詳しくみていこう。
■外食市場動向
性別、年代別に市場規模のシェア率を見てみると、「男性/40歳代」(13.9%)が高い結果に。業態別の市場規模シェア率では「居酒屋」が高く、全体の22.4%を占めている。
また、昨今の外食市場動向で着目したいのが、「一人夕食市場(外食)」だ。職場や学校仲間、友人などと一緒に食べる人の割合が減り、1人で夕食を取る人が増加している。一人夕食市場規模は、2013年の結果と比較し、約1.2倍に拡大(2013年=3,019億円、2017年=3,580億円※首都圏、関西圏、東海圏の合計)。性別、年代別に見ると、30代・40代男性の割合が大きいのが特徴だ。
■中食市場動向
中食市場規模は首都圏・関西圏・東海圏の合計で1兆1,614億円。前年度比+5.9%と勢いを感じさせる。中食の購入場所を見てみると、「スーパーマーケット」(62.3%)や「コンビニエンスストア」(28.7%)の需要が高いことがわかる。その一方で、「外食店のテイクアウト」(16.0%)を挙げる人が、2015年から毎年伸び続けていることにも注目したい。売上拡大の一手として、デリバリーやテイクアウト事業に乗り出す店舗も多く、これから一層期待が高まる市場だといえる。
飲食店のリピート実態&要因調査
続いて、首都圏の男女におこなった「飲食店リピート実態&要因調査」の結果を見ていこう。1週間(調査日:2018年2月23日~2月28日)あたりの外食回数は平均で2.97回。とくに、「昼食」として外食を利用する人が多く、その平均は1.35回であった。また、一週間に利用した飲食店舗数の平均は2.65店で、そのうち平均0.67店が初めて利用したお店だという。
外食における「リピート利用」の割合は、77.5%。男女問わず、年代が上がるほどリピート利用が占める割合が高くなっていくということが分かった。全年代における同調査の「初回利用」の割合は22.5%だが、20代・30代の女性の場合、30%以上が「初回利用」となっており、他の世代に比べると「初回利用」の占める割合が高いのが特徴だ。
なお、「初回利用」「リピート利用」ともに、店選びで重視されているポイントは、「料理・メニュー」と「価格の安さ・コストパフォーマンス」。美味しいものをお得に食べたい、という消費者の考えが反映された結果と言えるだろう。とくに女性は、「料理・メニュー」を意識する傾向が強いようだ。
変化を続ける、外食&中食市場。個性を発揮するのはもちろん大切だが、常にアンテナを張り、消費者の動向を探ることも忘れてはならない。ぜひ今回紹介した調査結果を店づくりに役立ててほしい。