飲食店従業員の「働き方」について分析。低定着率や長時間労働など課題が明らかに

2018年10月11日

Photo by iStock.com/Tg-pint
2018年6月に働き方改革関連法案が成立するなど、国をあげての取り組みが活発化している「働き方改革」。慢性的な人手不足に悩まされている飲食業界でも、大手外食チェーンを中心に従業員の働き方を意識するお店が増えつつある。そこで今回の飲食店リサーチマガジンでは、飲食店.COMがこれまで集めたデータを基に飲食店の「働き方」を分析。実態を踏まえつつ、飲食店の働き方について改めて考えていく。

定着する人材確保が飲食店の大きな課題


まずは、従業員の定着率について見ていこう。飲食店経営者・運営者に対し、飲食店で働く正社員の平均的な勤続期間を尋ねたところ、「5年以上」と答えた回答が32.8%で最も多く、一部の店舗では定着化が図れていることが伺える。その一方で、「3年」(20.7%)「2年」(29.3%)「1年」(6.9%)「6ヶ月」(1.7%)と、6割近くの人が3年以下の回答を選択。飲食業界は定着率が低いというのが定説だが、それを示す結果となっている。


飲食店経営における悩みや課題について尋ねたアンケートでも、「集客」に続き「人材の採用」を挙げた店舗が多い。人材確保のためにも定着する人材を採用するのが、昨今の飲食店の課題といえるだろう。

シフト管理に悩む店舗が多数


シフト体制で回していくことが多い飲食店では、人材が不足するとそれだけ一人当たりの負担も増加する。人手不足からくる長時間労働など、悪循環に陥ってしまうこともあるだろう。

正社員が十分な休みだと実感する「月8日の休み」を確保するためには、ある程度の人材確保は必須だが、以下のように「人手不足」や「出勤希望日の偏り」といった悩みを抱える店舗も少なくない。「シフト管理」に関するアンケートでは、自由回答において下記のような意見が寄せられた。

「スタッフの希望と店の希望の擦り合わせ。テスト期間などは、休みがかぶりがち」

「学生のテスト期間中の人手不足」

「人手不足なので誰かが休むと代わりを探すのが大変」

「一番の悩みは人員不足により、シフト構成が完成できないこと」

とくにアルバイトが多い飲食店では「出勤希望日の偏り」が問題となりがちだ。しかし、人材不足だからといって安易に採用をするのは避けた方がいい。というのも、学生だけ採用すると、テスト期間など出勤できない日程が被ってしまい、出勤できる人が誰もいない、ということにもなりかねないのだ。営業時間帯にもよるが、日中働ける主婦、時間に自由の利きやすいフリーターなど、ある程度バラつきを持った採用をすることが大切だ。

スタッフの不満や悩みに向き合うことが大切


慢性的な人材不足に悩む飲食店は珍しくはないが、その一方で従業員募集をするとすぐに応募が集まる店舗もある。「従業員の定着率が悪い」「採用募集をかけても応募が来ない」という店舗は今一度従業員「働き方」について見直す必要があるだろう。では、どんな部分を見直せばいいのだろうか?

そこで、求人@飲食店.COMの登録ユーザーに待遇面での満足度(「勤務時間」「休日数・休暇の取りやすさ」「給与・賞与・各種手当の金額」)について実施したアンケートを見ていこう。すると、全ての項目で「低い」「非常に低い」という回答が半数を超えるなど、現状の待遇面で不満を感じる人が多くいることが分かった。とくに、「勤務時間」や「休日数・休暇の取りやすさ」では20%もの人が「非常に低い」を選択しており、長時間労働や休暇の少なさに不満を感じる従業員が多いようだ。


同アンケートでは現状の休日数における満足度についても調査。「月4~5日」休みの人のうち、約9割が十分な休みを確保できていないと回答。一方で、「月8日以上」休みがある人の8割が十分な休みを確保できていると回答した。従業員が十分な休みがあると実感するためには、「月8日以上」の休みが必要であることがわかる。月の休みが8日よりも少ない店舗は、今一度休みの日数を見直す価値があるといえるだろう。


一方で、「働きやすい環境づくりに向けて、勤務先の飲食店ではどのような取り組みが行われているか」という質問に対し、自由回答では以下のような回答も得られた。

「社長含めた幹部との距離を近くする為に食事会や飲みニケーションを積極的に行い、風通しを良くしてストレスやわだかまりをなくしている」

「食材の発注をFAXなどのアナログな手段からWebに切り替えることで、作業効率をあげようとしている」

このようにスタッフの不満や悩みを解消できるよう、店舗によってさまざまな働き方改革がおこなわれている。まずは、スタッフがどんなことに不満を持っているのか、何を改革すればいいのか知ることが大切だといえる。

さて、今回は飲食店のさまざまな働き方について、アンケート結果を基に紹介した。飲食店を経営していく上で、従業員の働き方というテーマは切っても切れない話題。今回のアンケートでも、さまざまな不満が浮き彫りになっていた。「働き方改革」が話題になっている今こそ、うちのお店は大丈夫と目をそらさずに、自店舗の働き方について見直してみてはどうだろうか。

<調査結果引用元>
「飲食店のシフト管理」に関するアンケート調査
「飲食店のスタッフ定着率向上」に関するアンケート調査
「飲食店経営における悩みや課題」に関するアンケート調査

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