魚や野菜の価格はどうやって決まっているの？ 食材の価格の決め方、高騰の理由を解説

近年、自然災害の影響により食材の価格変動が激化しています。夏は猛暑と天候不順のため白菜などの一部野菜の値段が上昇。また地震によって流通ルートの寸断や停電があり、牛乳や野菜の他、さんま、スルメイカなどの鮮魚類の出荷が停滞、品薄状態が続き、価格が高騰しています。しかし、こうして日々変化する食材の価格は、一体どの時点でどのように決められているのでしょうか。今回は食材の価格の決め方について解説します。

Photo by iStock.com／aluxum

食材の価格を決めるのは、基本的に中央卸売市場とされています。中央卸売市場とは、地方公共団体が農林水産大臣の認可を受けて開設した卸売市場のこと。生産者から届いた食材は、まずここに出荷されます。生産者が組合を通さずに直接お店や消費者に食材を販売することもありますが、基本的には卸売市場を通して流通されており、こちらで取引される値段で食材の価格が決まります。

市場に持ち込まれる食材が災害の影響で不作になれば、供給より需要が高まり、取引価格も高くなり、それが世間の価格に反映されます。逆に豊作の場合は、需要に対し供給過多となり価格低下を起こします。

中央卸売市場では取引を公正かつ効率的に行うために、「せり」、「入札」、「相対（あいたい）」の3つの方法を主軸にして、仲卸業者や売買参加者への販売を行っています。

■せり
売主（卸売業者）のせり人が卸売場で、仲卸業者や売買参加者に競争で値を付けさせ、最高の値を付けた人に売る取引方法。卸売市場での生鮮食料品の標準的な方法となっています。水産物は午前4時から、青果物は午前5時から、食肉は午前10時30分から行われます。

■入札
仲卸業者又は売買参加者が紙片に単価など必要事項を記入して卸売業者に渡し、その中で一番高い値段をつけた人がその品物を買うことができる取引の方法。

■相対
卸売業者と買い手が販売価格及び数量について交渉のうえ、販売する方法。

Photo by iStock.com／SuzanaMarinkovic

上記のような仕組みで価格が決められる食材ですが、とりわけ変動が激しいのは、魚と野菜といわれています。なぜ変動しやすいのか、理由を見てみましょう。

■魚の価格変動
魚の価格は水揚量が増加した場合に下落し、水揚量が減少すると上昇します。水産物は天然資源であり季節性を有することから、生産量による変動が大きくなります。

旬の魚が安くなる理由は、市場に多く出回るからです。しかし潮が悪かったり、台風などで漁に出なければ魚の入荷量は減少し、必然的に魚の値段が高くなります。例えば今年はサンマが豊漁でしたが、北海道胆振東部地震の前後は水揚げ量が減少し一時高騰しました。現在は戻って仕入れ値も下がっています。

■野菜の価格変動
野菜は台風などの天候によって生産量が変わりやすいという特徴があります。天気がよくてたくさん野菜が市場に入荷した時には野菜が安く、逆に入荷が少ない時には、野菜の量より買いたい人が多いので、野菜の値段が高くなります。

最近は地震の影響で一部の野菜が高騰した他、長雨や高温、干ばつに伴う生育の低下などにより、にんじんが高値水準での取引となりました。また、各地台風や日照不足などの影響を受け、ほうれん草、きゅうり、ねぎなどの価格が昨年よりも上がっています。

このように食材の値段は様々な要因によって、日々変化しています。普段から情報網を張っておけば、普段の食材の仕入れはもちろんのこと季節のメニュー開発に役立つのではないでしょうか。


「飲食店ドットコム 食材仕入先探し」では、こだわりの食材を扱う仕入れ業者をたくさんご紹介しています。食材の仕入れ先をお探しの方は、マッチングサービスをご利用ください。