外食業界の未来を創る、ロイヤルホールディングスの挑戦。新店『大江戸てんや』の狙いは?
ファミリーレストラン『ロイヤルホスト』、天丼チェーン『天丼てんや』などを展開するロイヤルホールディングス株式会社の攻めの挑戦が続いている。『ロイヤルホスト』の24時間営業の廃止も記憶に新しいが、昨年11月には研究開発店舗『GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店』をオープン。さらに今年10月2日には、完全キャッシュレスのセルフサービス型店舗『大江戸てんや 浅草雷門店』をオープンした。ITを活用した業務効率化で、グループ全体の働き方改革を積極的に進めている。
同社にとって2店舗目の“キャッシュレスチャレンジ”となる『大江戸てんや 浅草雷門店』。今回の店舗では働きやすさと顧客満足度の向上を図るほか、業務効率化、さらに浅草という土地柄を生かし、「お客様にも従業員にもユニバーサルな環境づくり」を目指していくという。
具体的にどのような取り組みを行っているのか、ロイヤルホールディングス、そしてテン コーポレーションの広報担当に話を聞いた。(『天丼てんや』の運営は、ロイヤルホールディングス株式会社のグループである株式会社テン コーポレーションが行っている)
研究開発店舗『GATHERING TABLE PANTRY』を開業。その後の反応は?
昨年11月にオープンした『GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店』(以下GTP)は、完全キャッシュレス店舗であると同時に、掃除ロボットの導入、最新の調理機器による自社セントラルキッチン食材のさらなる活用、さらにワンシフト(8時間勤務)を軸とした営業時間など、多角的に働き方改革・生産性向上を行うことを目指した、同社初のR&D(研究開発)店舗であった。オープンしてから約1年。利用客やスタッフの反応はどうだろうか?
「昨年11月にオープンしてから、平日は近隣にお勤めのビジネスマン、週末は近隣にお住まいのファミリー客などにご来店いただいています。また、多くのメディアに取り上げていただいたことで、さまざまな業界の方々にもご来店いただいています。ご来店された方の中にはモバイル決済(QRコード決済)に初めてチャレンジする、といったお声もあり、店舗スタッフにいろいろご質問をいただきながら、モバイル決済にチャレンジされている方が多いように思います。お客様からは、席に座ったままスピーディーに会計ができること、財布を持ち歩かずにスマートに会計ができる便利さ、また支払いの履歴がデータとして残ること、さらにポイントが貯まることなどが喜ばれております」
日本ではまだまだ浸透していないモバイル決済だが、店舗スタッフのフォローによりスムーズに運用ができているようだ。では「働き方改革」という側面では、どのような効果があげられたのだろう?
「ほかに同じような店舗がございませんので前後の比較はできないのですが、完全キャッシュレスですと現金管理をする必要がありませんので、営業後に行うレジ締め(売上と現金があっているかの確認)、釣銭の準備や両替、入金作業、報告業務については、想定どおり業務の効率化につながっていると感じています。また、現金管理がないことにより、店長業務において管理・事務業務の割合が少なくなり、その代わりに接客・調理といった“人”が行うことによって価値が生み出される業務に使う時間の割合が増えていることがわかりました。現金がないことで、現金を扱う精神的なストレスもまったくございません」